フォーグレンの神官29
真っ赤な火の龍と銀色の美しい水の龍がお互いを牽制していた。
すでに水の神殿の天井は全体の三分の一が破壊され、青い空が見えていた。
大多数の神官は怪我をしており、床の上で動けない状態だった。動けるものは仲間を神殿の外に出す作業を進めていた。
龍の側にいる大神官のキィラは穏やかな表情を崩さず、銀色の龍の動きをみていた。対峙するアルビーナは眉を潜め、二つの龍の戦いを目で追っていた。
キィラとアルビーナから少し離れたところで、センが、そしてロセとターヤがデイ達と闘っていた。
センは手に炎を作り出すと、剣を受け止めた。
直に受け止めると何らかの術にかかる可能性があることをセンは知っていた。
デイは舌打ちをするとセンから離れる。
「おしかったな。お前も俺の収集品にしようと思ったのだが…。ミシノとお前、さそがし美しいものができるだろうな」
「ミシノ?!」
ズウとトゥリを相手にしていたロセがふとデイの言葉に顔を上げた。
「ロセさん!」
「悪い!」
ロセがよそ見をした隙にズウの水弾が放たれる。それをロセの前に立ち、ターヤが鞭で真っ二つにした。
ロセは次々と放たれる水弾を剣で弾き飛ばしながら、頭はミシノのことを考えていた。
アルビーナの側にいるはずのミシノの姿が見えないことに疑問を感じていた。だいたいミシノはデイを嫌っていたはずだった。ミシノの仲間のアルビーナがデイと行動を共にしていること自体がおかしいことだった。
ミシノに何かあったのか?
「ロセ、ずいぶん油断してるじゃないか!」
「ロセさん!」
ふと気がつくと、ズウの剣がすぐそこまで迫っていた。ロセは剣でそれを受け止めると、至近距離から水弾を放つ。
「うおぉお!」
ずずーんと音がしてズウの体が壁に叩きつけられる。
デイがおとなしく話すとは思えなかった。
ならば手下であるズウに聞くのが手っ取り早かった。
「ズウ。あんたに聞きたいことがある」
ロセは衝撃で動けないズウの首に剣先を向けた。
「ミシノはどこにいる?」
「お嬢ちゃん、よそ見してるとあぶないよ」
様子が急におかしくなったロセを見ながらターヤはトゥリを相手にしていた。昨日は緊張していたが、調子を取り戻したターヤにとってトゥリは相手ではなかった。
「ロセさん!」
ズウの剣がロセを狙う。
「頭にくるなあ。お嬢ちゃんの相手は俺だ!」
ターヤの視界にトゥリは割り込むようにして入った。そして弓矢を小剣に変えるとターヤを襲う。
「!」
ロセの姿がトゥリに隠される。しかし、ロセの心配よりも今は自分のことが先だった。ターヤは鞭で剣を巻きとり、宙に投げ捨てる。そして火弾を作り、トゥリにぶつけた。
「くう!」
トゥリはなすすべがなく火弾によって吹き飛ばされる。
「僕の勝ちだ。おとなしく負けを認めろ」
力なく床に伏したトゥリにターヤは静かにそう言った。




