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フォーグレンの神官  作者: ありま氷炎
第7章 最後の戦い
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フォーグレンの神官116

「あ~、無駄な時間を浪費した!」


 兵士と王子を叩きのめし、不機嫌そうな顔をしてミシノはそう言った。

 ツゥリが逃げる姿が見えたが、兵士と王子に邪魔され後は追えなかった。


「ま、いいか。一人は捕まえたし……。アルビーナ!」


 まだ気を失ったままのズウの姿をちらりと見て、ミシノは龍を戦っているアルビーナにところへ飛んだ。


「あら、ミシノちゃんじゃない。どこいってたのよ!」


 ミシノはアルビーナの隣で剣を振るキリカの姿に一瞬唖然とする。


「ミシノ!」


 アルビーナはそう叫ぶと、炎の壁を作り水の龍の白い炎を防いだ。


「ありがとう、アルビーナ」


 ミシノは自分を守ってくれたアルビーナに微笑む。


「ミシノ!あのねずみ野郎は捕まえたの?」

「ごめん~」


 龍の攻撃をさけながらのアルビーナの問いに、ミシノは舌をぺろりと出して謝る。


「まあ、いいわ。一人は捕まえたものね。あいつに聞けば」

「聞くって何?」


 二人の会話にキリカが興味本位に口を挟む。

 しかし、二人が答える間もなく、水の龍の炎が吐き出される。キリカの疑問は解決されないまま、戦闘が再開した。




「母上、父上。早くここからお逃げください!」


 マオはマシラとリエナがいる塔に駆け昇り、乱暴に王室の扉を開く。しかし、部屋ががらんとしており、人影は見なかった。目を凝らすと王座の後ろの床に人が倒れているのが見えた。 


「母上!!」


マオはそれがリエナだとわかり、慌てて駆け寄る。


「マオ……?」


 抱き起こしたリエナが目をうっすらと開き、マオは安堵の息をつく。


「母上……。塔から退避してください。もう城はだめです」

「マオ、街はどうなの?民の避難は完了したの?」

「ほぼ完了しました。ロセ達の水の神官が戻ってきて、今龍と交戦中です」

「そう……よかったわ」


 リエナはそう言うと、マオの手をとりゆっくりと立ち上がる。


「母上。父上は逃げたのですね?」

「……ええ」


 マオの問いにリエナは目を閉じる。

 妻として王妃として、マシラの側にずっといた。

 情けない男だった。

 しかし、王して最低限のことはするだろうと思っていた。


 止めるリエナを気絶させ、マシラは逃げた。


「母上!ここは危険です。さあ、逃げましょう!」


 マオは立ちすくむリエナにそう声をかけると、その腕を掴み、塔の王室を出る。

 城は龍の襲撃に会い、崩壊しつつあった。


 駆け降りる塔の窓から、龍と戦う者達の姿が見えた。


 その中に、弟マギラを殺した元神官、ミシノの姿を見た気がした。

 弟マギラが何をしたか、知っていた。

 

 弟ではあったが、マオはマギラのしたことを許せなかった。

 

 もし無事であれば、罪を解こう。


 罰せられるのはミシノではない。

 マギラだ。


 塔の出口が見える。


 マオはリエナの腕を掴み、塔を出ると龍を背を向け走り続けた。




「ゲイン!」


 地面に激突したゲインを火の龍の炎が襲う。

 ヤワンはゲインの前に立つと氷の壁を作り炎を防ぐ。


「火の神!」


 無防備な龍の後頭部にロセが切りかかる。しかし龍はその尾を使い振り払った。ロセの体は空を飛び、建物の壁にぶつかる。

 火の龍は急降下すると、氷の壁をつくるヤワンをその鋭い爪で襲った。


「くうううう!」


 ヤワンの右腕が宙を舞う。血が飛び散る。


「ヤワン!」


 ゲインはヤワンを抱き、その傷口を手を押さえると、龍から離れた。


「火の神!」


 二人を追おうとした火の龍に、壊れた壁から立ち上がったロセが氷の矢をお見舞いする。


 すでに水の神官は、ロセ、ヤワン、ゲインを残すまでになっていた。


「これ以上殺させるものか!火の神!」


 ターヤの行方はわからない。

 しかし、仲間を殺した火の神を許せなかった。


 ロセは剣を握りしめると火の龍に切りかかった。


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