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フォーグレンの神官  作者: ありま氷炎
第6章 南の攻防
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フォーグレンの神官99

「くう!」


 アルビーナの苦しげな声が響く。センは鞭を槍に変えると、アルビーナの体を突き刺そうと動かした。

 アルビーナは火弾を放つと、かろうじてセンの動きがとめた。そしてその隙に上空に飛び逃げる。しかし、センは息も乱さず、アルビーナの後を追いかけた。

 センの火の矢がアルビーナの足に刺さる。


「くっ!」


 アルビーナは地面に降り立つと足から矢を抜いた。矢は宙に溶けるようにして消える。顔を上げると間髪いれず、センがアルビーナを追ってくるのが見えた。

 アルビーナは半ばやけくそぎみに鞭を振り回す。センは鞭をその槍で巻きとると、宙に投げ捨てた。


「!」


 センが槍を握り締める。


 だめだわ!センの馬鹿!


 アルビーナは死を覚悟して、目を閉じた。



 ☆



「くそ!」


 デイは吐き捨てるようにそう言い、ネスの攻撃を避ける。先ほどの戦闘で地面に叩きつけれたせいか、体がきしんで思うように動かなかった。


「デイよ。十七年前の大神官様の仇。今日こそ討たせてもらう!」


 バランスを崩し、地面に降りたデイにネスはそう言うと剣を振り上げた。


「!!」


 血しぶきが上がるのが見えた。しかしその血はデイのものではなかった。デイは自分を庇うように覆いかぶさった者の顔を見て、目を見開く。


「セン…?」

「セン!?」


 ネスは自分が切ったのがセンだとわかり、動揺を隠せなかった。


「……なんでお前が……」


 デイは力なく自分に覆いかぶさるセンの暖かさを感じながら、呆然としてつぶやいた。



 虹色の龍との戦いは有利に進むことはなかった。


 ターヤ……。

 水の女神を倒す方法がひとつだけある。


 ふと焦るターヤの脳裏に火の神の声が響いた。


「それはどういう方法なの?」


 ターヤは放たれる白い炎を避けながらそう尋ねた。


 ワタシと同化するのだ。

 そうすればワタシの力が水の女神より上回るだろう。


「……」


 ターヤは火の神の言葉に答えを出せなかった。

 ロセはターヤのそんな様子に気づかないようで戦いに集中している。


 このままでは勝ち目はないぞ。

 

 火の神の言葉がターヤの心に響く。


「ぐおっつ!」


 虹色の龍の尾がロセを襲い、ロセは地面に叩きつけられた。


「ロセさん!」


 ターヤは地面に降り立ち、ロセに駆け寄る。


 どうするのだ?

 ターヤ……。

 

 火の神は虹色の龍の炎を、その炎で相殺させながらターヤにそう語りかけた。



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