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フォーグレンの神官  作者: ありま氷炎
第6章 南の攻防
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フォーグレンの神官97

「!」


 眼下でラズナンと話すロセ達が見えた。しかしアルビーナの注意はそこではなく、街門で繰り広げられるセンとカネリの戦いに目がいった。


「何やってるのよ!セン!」


 アルビーナは舌打ちをすると、街門へ飛んだ。


 弟子センから放たれる攻撃にカネリは苦戦していた。

 戦ってみて改めでセンが如何に力のある神官か思い知らせされた。


 絶え間なく撃たれる火弾、そして鞭による物理的攻撃。

 今のセンは疲れを知らないのか、攻撃は連続して放たれた。


 地面に叩きつけられたカネリに向かって、センが鞭を振り下ろした。


「!」


 しかし鞭がカネリを傷つけることはなかった。


「大神官様ともあろう御方が、何苦戦してるのよ!」


 アルビーナがカネリの前に立ち、センの鞭を掴んでいた。


「やっぱり年には勝てないってこと?あたしがセンより強いこと、今日こそ証明してあげるわ!」


 アルビーナは嫌味たらしくそう言うと、鞭を放し、回し蹴りをセンにお見舞いする。センは後ろに飛ぶとそれを避けた。



 ☆


 ターヤ、ロセ、ティアナ、ネスに囲まれ、ラズナンには打つ手がないはずだった。

 しかしラズナンは腕を組み、悠々とした態度を崩さなかった。


「強情な娘たちよ。われが今こそ水の女神の本当の、力を見せてやろう」

「な?!」


 驚くターヤ達の目の前でラズナンの姿が光りはじめる。そして人の形が崩れ、龍に変化した。


「ま、まさか…。水の『神石』は確かにここに……」


 ネスは手の中で水の『神石』を再度見つめる。


「そうか!」


 ネスがその可能性に気づいた時はすでに遅かった。『神石』は光り輝くと龍の姿のラズナンに向かって飛んだ。そして光と龍が融合する。




 やはり、ラズナンの中に水の奴が……。

 

 眩しい光に目を細める中、ターヤの脳裏に火の神の声が聞こえた気がした。


 光がやみ、現れた龍は、美しい虹色の鱗も持つ龍だった。


 ターヤの頭上に紅蓮の龍が現れ、威嚇するように咆哮を上げる。


 水の女神め。

 かの血を引くものと融合し、力を増したか。


 火の神の忌々しそうにつぶやく声がターヤの脳裏に響く。

 そして紅蓮の龍は虹色の龍に飛び掛った。




 眩しい光がミルの視界を覆った。

 光が止み、目を再び開けるとそこにデイの姿はなかった。


 ミルは悔しげに顔を歪めると、このことをネスに伝えるため、街に向かって飛んだ。



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