表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人口の半分が転生者の異世界で、ギルド職員の俺は今日も尻拭いをしている。  作者: 永久保セツナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/6

第4話 転生者はスローライフやハーレムに憧れるらしい

「クロ、聞いた? また辺境の村で騒音問題があったらしいよ」


 同僚で恋人のルナがそんな話題を持ち出してきて、クロは「またか……」と天を仰ぎたくなった。

 いつもの、転生者が引っ越しをした結果だ。

 このネイバーランドの人口の半分は転生者なわけだが、なぜかみんな口を揃えて「スローライフがしたい」と語る。


「誰もいないような場所で、チートスキルを使って自給自足で生きていきたい」


 そんな夢を抱いた転生者たちが、次々と街から出ていった。

 そして――辺境の村は人口爆発を起こした。


 なぜかスローライフ志望の転生者に限って、農業系のチートスキルを持っている。

 その結果、あっという間に作物が大量生産され、市場はパンク。

 農作物の価格は、見る間に暴落した。

 現地人の作物はまったくといっていいほど売れなくなった。その結果、農業をやめて街に移り住み、ギルドから依頼を受けてモンスター狩りのその日暮らし……。


「……転生者なんて、優遇措置がなくても生きていけるだろ」


 クロが思わずこぼすと、ルナも「王様にとっては有用な人材だからね……」と苦笑している。

 ここまで転生者が手厚く保護されているのは、そのチートスキルやチートアイテムなどが王侯貴族にとって価値があるからだ。

 要は利用価値があるから生かされている。


「ライター、だっけ。魔力が切れてもいつでも炎魔法が使えるチートアイテム」


「なんであれ、氷魔法とか他のバージョンないんだろうな」


 ……まあ、そういうのは転生者にしか分からない。

 とりあえずおいといて。


「辺境の村から転生者が大量に流入したことによるご近所問題、スローライフとやらのための喫茶店の乱立。そこでの客の取り合い。本当に転生者ってろくなことしないよね」


 ルナは大きく肩をすくめた。

 そこへギルドマスターからお声がかかる。


「おーい、クロ。なんか来てるぞ」


 マスターはそれだけ言い残してさっさと執務室に戻ってしまった。

 ――たまには自分で応対すればいいのに……。

 クロは苦々しい思いを抱えながら、受付へ急ぐ。


「ハーレムがね、作りたいんですよ」


「そんな案件、ギルドに持ってこられても困るんですが」


 転生者ってやつは頭わいてんのか?

 クロはゴミを見る目で転生者に冷たい視線を送った。

 男は「パーティー申請すればいいんでしょ?」と全くへこたれていない。


「パーティーに女の子だけ入れれば、実質ハーレムになるじゃん」


「はあ……お好きにどうぞ」


 こうして、パーティー名『酒池肉林』を登録した転生者。

 早速ギルドに登録されている女性冒険者を物色する。


「なんか、美人で巨乳の女エルフとかいないの?」


 知らねえよ、という言葉を飲み込み、「パーティーメンバーを募集してはいかがでしょうか?」と提案した。


「応募された方の中から、面接などで確認してメンバーを選出される方もいらっしゃいますよ」


「なるほど、名案だ!」


 そして、パーティー『酒池肉林』のメンバーを募集する男であったが……。


「男しか応募が来ねえよお!」


「『酒』と『肉』がよくなかったかもしれませんね」


 クロには言葉の意味があまりよくわからないが、多分他の冒険者も、「酒と肉が味わえるパーティー」と誤解した線が強い。

 そして、酒と肉を食べたいのは、この世界においてはだいたい男性が多い。

 こうして、転生者のハーレム計画は破綻したのであった。


 ……今日もクロの胃は痛い。


〈続く〉

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ