第1話 バグまミれのセ界にきてしまッた……
「放課後またサッカーしようぜ。お前ボールな」
「なんかすげえ古くせえギャグだな」
放課後いつも通り勝利とサッカーの練習をしようと思い茶化すように話しかけた。
「まあいいだろ。とりあえず放課後、終わったらすぐ下駄箱な」
「おお分かった。そういえば放課後って予定あったような……あれ裕二?」
目を閉じながら横にいる裕二に話しかけたその時、なぜか世界が歪むような感覚がした。
「あれ、裕二?……どうした?裕二?」
「おおおままおまえええのまええのおれがおれはゆゆゆ」
なぜそう思ったのか分からない。だがドット絵の裕二らしきものが目の前でうごめいているように感じた。
「おおまままええしょううしょりか?たたすすすけけけけ」
「な、なんだこれは?!何が起きている!?どうした裕二!裕二!!?」
画面が歪む感覚がした。とてもじゃないが見ていられない。酷い目眩がした時の気分の悪さを感じながら勝利は瞼を閉じた。
「……うごっ…………うわああああああああああああ!!」
自身のいびきで勝利は思わず目が覚める。だが先程の違和感や目眩は特にない。周りを見返しても何の変哲もないただの自分の部屋しかなかった。
「っといけね!遅刻する!」
勝利がベッドから起き上がりいつも通り学校への道を辿ると、さっきまで夢に出ていた裕二が俺に向かって叫び出す。
「よう!勝利。今日もサッカーしようぜー!お前ボールな」
(あれ?この光景見た事あるぞ?)
なんとなく既視感を感じたが俺はあえてスルーした。
(直視したくないものってあるよな。ありえないけど悪夢が現実にはなってほしくないし)
そう考えていると裕二が不思議そうにこちらを伺う。
「あれ?お前今日の放課後ってなんか用事ある系?」
「いや別にそんなんじゃないけどって危ない裕二!!」
2人揃って考え事をしていたのもあったが、どうやら予知夢のようなものだったらしい。気づいた時には裕二の後ろに大型トラックが突っ込んでいた。反応が遅かったせいで多少の力でしか押し出せない。どうやら俺の人生もここまでのようだ。
「………………うわあああああああああ!!!避けろおおおお」
(もう遅いですって運転手さん……)
クラクションの音が響き渡る中眠るように俺たちはしんだ。
「………………うわあああああああああ!!!!!!」
「貴方たちさっきからうるさいわよ……」
「え、しっ失礼しました!って貴方誰?」
裕二が聞くと薄紫の髪色の女性がこちらを蔑むような目で答えた。
「いいですか?寝ながらぎゃあぎゃあ言ってるところ悪いけど今目の前で話してる相手は女神であるこの私しし、わ、わたわたがしの名前わは、ウンディーネ」
「はあ、ウンディーネさん……ですか」
「……なんかこの人おかしくね?」
裕二がいつも通りナンパするような口調で彼女に話しかけているが……妙だ。まるで映し出されたスクリーンの映像がうねるかのように彼女が映し出されている。というかここはどこだという疑問もない裕二の様子も変だ。
「あの、というかここはどこなんです?」
「全くあなた達、きて早々それなの?もっとイウコトアルデショアル?」
「いや、やっぱりおかしいって!?」
代わりに言ってやったぞと一人相撲していたのもつかの間。ウンディーネと名乗る女性の様子がやはり変で。先程から怪しい中国人のような喋り方をするので、勝利自らはっきりと問う事にした。
「……大丈夫ですか?」
「ジ、実は私女神なんですけれども!……さっきから話しづらいわね……まあいいわ、よく聞いてちょうだい」
「女神?あの、女神級にお美しい的な?」
「黙りなさい!」
この人本当に大丈夫なんだろうか?漫才のようなやり取りに勝利が困惑すると彼女がこう話した。
「あなた達シンデマス。で、ですのでこうやって転生させる為に適当な……じゃなかった……適切な人間としてここに呼ばれたわけです」
「はあ」
「今適当って言われなかった?裕二?」
「というか本当に私が女神だと信じてます?わ、た、しは女神なんですって!女、神、様!」
この人本当に女神なんだろうか?女神を名乗る不審者の間違いではないだろうか?勝利が悩んでいると彼女が必死に話し続ける。
「いいですか?これは指名です!……とある世界から助けを求められ色々あってこのような力を授かったのですが……」
「ちょっと待って!?アレはかの有名なゲームボーイアドバン〇!」
「おい、色々危ない気がするぞ裕二」
「ですのでこれを利用して世界を破滅の危機から救おうとしたのです!……ですが」
「あの、ひょっとしてなんですけど」
俺達やっぱり死んでたってのはもう情報量多いからさておき、なぜだろう……先程からおかしい裕二といいなんか嫌な予感がしている。
「実は転生させる代わりにこちらの世界を救って頂きたいのです」
「おい!?ちょっと待て!!なんかこの世界の地面やばすぎないか?」
「というか裕二!お前色々色変わってるぞ!?」
というのも裕二の服含め口の辺りがピンクのモザイクと化しているのだが……本人はまるで気づいていないようだ。
「こちらはバグ、通称バグノリアと呼ばれる細菌に感染した世界で……」
「ちょっっっと待て!?なんかチート〇グみたいな世界になってないか?」
ここはまるでゲームのバグを無理矢理発現させたかのような世界。勝利は焦りながらもそう確信した。
「さあ!早くあの世界をどうにかしなさい!もしどうにかできたら優秀なサッカー選手にでも何にでもしてあげるわ」
「いやあの!何とかってどうやって!?」
「それもそうねー」
勝利が世界が見える透明な扉から押されながら聞くと、彼女はひょうきんな口調で答える。
「こんな所に無防備で行っても予想がつくから〜一つだけステータスをMAXにしてあげましょう」
「「ステータス?」」
「ほらステータスってゲームでもあるでしょ?」
「まあそうだけど」
「裕二、やっぱりこの人やばいって」
ステータスっていうとゲームにある攻撃力とか防御力とかだろ?と裕二が言うがやはり色々やばい気がしている。
「ということなので攻撃力と防御力、どっちをMAXにしたい?」
「それは当然攻撃力ですよ女神様!……悪いな勝利、これだけは外せないんだ」
「いや基本どっちでもいい派だけど嫌な予感しかないから防御力でいいよ」
「まじかよーサンキュー!じゃあ俺が攻撃力MAXで勝利が防御力MAXな」
これで美しき女神様の為に戦えるとかなんとか言ってる裕二を放っておく勝利。もし防御力MAXだったらこんな世界でも太刀打ちぐらいはできるかもしれない。
「では行ってらっしゃい〜もし本当にこの世界をどうにかしたら本当に世界一のサッカー選手にしてあげるぽよ〜」
「というかなんでサッカー選手目指してる事知ってるんだ?」
「さすが女神様!俺達の夢の詳細まで知ってるとは……感極まる!」
「いやおかしいだろ裕二」
こうして俺達2人組はよく分かりたくもないバグだらけのと勝利は思ったが……。
「なんで裕二の顔がピクセルサイズの〇ービィみたいになってるんだ!おかしいだろ!?」
「まあ気にするなよ裕二、バグノリアって細菌に感染しただけだろ」
「いやいや色々気にしろよ裕二」
透明な世界の扉から抜け出した勝利は思った。これ結局あのウンディーネとかいう女神のせいなのではと。
「まあ……お察しのとおり私の単なる操作ミスなんですけどねぼぼぼぼぼぼぼぼぼ……」
そう言いながら女神は虹色の塗料を吐き出した。流れ出る塗料はまるで滝のようだった。
「やっぱりこいつのせいじゃないか!?」




