第40話 反撃のヤンデレ
ピンポーン!
日曜の午前中、目を覚ました俺が洗面所で顔を洗っていると、玄関からチャイムの音が聞こえてきた。
ピンポンピンポーン!
「あれ? 誰も居ないのか。ふあ~」
あくびをして目を擦りながら玄関へと向かう。
どうせ回覧板か何かだろ。
「はーい、今開けます」
ガチャ!
「しゅ、俊くん♡ おはよう」
ドアの隙間から顔を出したのは、まさかの真美さんだった。陽の光に照らされた髪が天使の輪のように輝き、美の化身のような神々しさだ。
「あっ、ま、真美さん。お、おはよう」
突然の来訪で、言葉が出てこない。朝から真美さんの顔を拝めるなんて。
「急にきてごめんね」
「いえ、大丈夫です。真美さんならいつでも歓迎ですよ」
「うふふ♡ 俊くんってば♡」
真美さんは、俺に優しい笑顔を向ける。最近ちょっと怖い感じだったのは気のせいかな。
「俊くん♡ 今日は凛ちゃんもご両親もいないでしょ。おやつを作ってきたの」
「嬉しいです。でも、何で親が留守なのを知ってるんですか?」
「あっ、えと……」
真美さんは一瞬だけ視線を逸らすと、すぐに俺を見つめて口を開く。
「そんなの女の勘だよ」
「そうでしたか。凄い勘ですね」
「えへへ♡」
女子って凄い勘が鋭いんだな。五感を超越した第六感でも持ってるのか。
「ふぇ♡ ずっと俊くんの家の前でストーキングしてたなんて言えないよぉ♡」
「何か言いましたか?」
「なんでもぉ♡」
真美さんは優しく笑う。
ストッキングって聞こえた気がしたけど、気のせいのようだ。ストッキングは穿いてないから。
「上がってください。真美さん」
「うん♡ おじゃましまーす」
ふわっ!
靴を抜いた真美さんが上がると、蕩けるような良い香りが漂ってきた。
俺の股間をダイレクトに刺激するような、何とも言えない官能的な匂いだ。
いかんいかん! 真美さんをエロい目で見ちゃダメだ。
「こっちです」
自然な流れで自室へと向かい、ローテーブルを挟んで真美さんと向かい合って座ってから気づいた。俺は、二人っきりの家に真美さんを入れてしまったのだと。
「え、えっと……これは……」
「懐かしいね♡」
緊張でしどろもどろの俺を他所に、真美さんは懐かしそうに部屋を眺めている。
「子供の頃は一緒に遊んでいたのに、大きくなってからは部屋に入ることもなくなっちゃったよね」
「真美さん……」
「でも、こうしてまた部屋に入れたのは嬉しいな♡」
「お、俺もです」
胸の奥に強烈な懐かしさと甘酸っぱさが込み上げてくる。子供の頃に憧れた、近所のお姉さんへの想いが。
あの頃は、いつも一緒だった。
でも、いつの頃からか、異性として意識したり、急に恥ずかしくなって……。真美さんと距離を取ってしまったんだよな。
「俊くん、お腹空いてるでしょ。食べようか」
そう言って真美さんはランチクロスを開いた。
重箱のふたを開けると、中からはたっぷりの粒あんを使ったおはぎが現れた。
「じゃーん! 尻もち」
「ん? 牡丹餅かな?」
「あっ、尻おはぎの方が合ってるよね」
「尻?」
真美さんは何を言っているんだろ?」
「俊くん♡ おはぎってね、春に食べると牡丹餅、秋に食べると御萩って言うんだって。今は夏だから何でいうのかな」
「そうなんですか。真美さん、物知りですね」
「どっちも尻で半殺しにするんだけどね♡」
真美さんから物騒なワードが出て、俺の下半身がキュッとなった。
「あ、ごめんごめん♡ 半殺しっていうのはね、米を半分だけ磨り潰したのを言うんだよ。だから牡丹餅も御萩も半殺しなの」
「そ、そうなんですね」
何だろう。やっぱり最近の真美さんは少し怖いような。俺の中のセンサーがビンビン危険信号を出している。
ドSの波動を感知しているのだが!
「ほらほら、私の尻おはぎ食べて♡」
真美さんが、熱い瞳を俺に向ける。いつかのように狂気を孕んだような目で。
「あ、あの、真美さん?」
「ほら、あーん♡」
「えっと……」
「俊くんはね、もう一生、ずっと私のあーんで食べるんだよ♡」
真美さんの圧が凄い。ヤンデレっぽい目と、ド迫力のGカップ(推定)と、全身から漂うムラムラした気迫が。
「ほぉら、俊くんはお腹の中まで私に染められちゃうの♡」
「ああぁ……」
ジリジリと俺の方に寄ってきた真美さんだが、遂に距離がゼロになってしまった。
左手で俺を抱き、右手で箸を使う。おはぎを一つ掴むと、俺の口に運んできた。
「はい、あーん♡」
「あーん」
「どう、美味しい?」
「はい」
真美さんのおはぎは、めちゃくちゃ美味しかった。本当にフェロモンでも入っているのかと思うくらい、甘く蕩ける官能的な味だ。
「ほら、もっと私に体を預けて♡」
真美さんにされるがまま寝ころんでしまう。膝枕のように真美さんに寄り掛かると、まるで授乳されるような体勢にされてしまった。
「うわぁ……」
膝枕されたまま見上げる巨乳は凄まじかった。
重力に逆らうようド迫力のGカップ(推定)が突き出ていて、真美さんの顔が隠れている。
「ほら、どんどん食べようね♡」
むぎゅ!
「くあぁ……」
真美さんが前屈みになり、俺の顔が膝と胸に挟まれてしまった。天国のようなサンドイッチだ。
「あ、あの、真美さん?」
「うふふっ♡ いっぱい飲んで……じゃなく食べてね♡」
「ええぇ!」
本当に赤ちゃんにされたみたいだ。
今、一瞬だけ『飲んで』って聞こえた気がする。本当におっぱい飲みたくなっちゃうじゃないか。
「はい、あーん♡」
「あーん……もぐもぐ……このままじゃダメにされちゃう」
「良いんだよ♡ ダメになっても♡ ダメになろっ♡ 俊くん♡」
授乳体勢のまま『あーん』で食べさせられ続ける。
こんなプレイを続けていたら、本当にダメになってしまいそうだ。
しばらくしてやっと解放された俺は、真美さんに背を向けながら息を整える。
お、俺は何をやっていたんだ。幼馴染のお姉さんと変なプレイを……。
あああぁ、こんなのエッチすぎるだろ。もう真美さんをエッチな目で見てしまうぞ。
「あっ、えり……」
一瞬だけ瑛理子先輩の笑顔が脳裏に浮かび、胸がチクッと傷んだ。
瑛理子先輩を支えたい。夢を応援したい。一緒に執筆したいのに。
でも、俺は真美さんのことも好きで……。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
ふと背中に悪寒が走り振り向くと、真美さんから強烈なドSオーラが出ているところだった。
「えっ、真美さん?」
「俊くん♡ 今、他の女のことを考えてたよね? ねえ? ねえ?」
ゾクゾクゾク!
「あの、真美さん?」
「悪い俊くんだね♡ 悪い子にはお仕置きしないと」
真美さんに押し倒された俺は、床に仰向けにされてしまった。
「さっき言ったよね♡ お尻で半殺しだって♡」
「ひぃいいいい!」
俺の顔を跨いだ真美さんが、そのまま腰を落としてきた。
ムッチリとした大きなお尻が、俺の顔の上に。
「うわぁああ! ちょっと待って!」
「待てないよ♡ 俊くんは、お尻で半殺し決定っ♡」
むぎゅぅぅぅぅ~!
ドSへと豹変した真美さんに、俺は強烈なお仕置きを食らうことになってしまった。
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