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誰にも媚びない孤高のS級ヒロインが、最近なぜか俺にだけ優しいのだが ~ドS級美少女の瑛理子先輩は、俺が好きすぎてデレを隠し切れない~  作者: みなもと十華@3/25二作同時発売
第2章 瑛理子先輩は俺にだけ優しい

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第36話 ヤンデレなランチタイム

 気まずい。どうすれば良いんだ、この状況は。


 俺と瑛理子先輩がじゃれ合っているところを、弁当を持ってやってきた真美さんに見られてしまった。

 そのまま体育祭はお昼休憩に入り、変な空気のまま一緒に昼食となったのだが……。


「ねえ、何で万里小路さんまで居るのかな?」


 真美さんの視線が、ちゃっかり俺の隣を確保している瑛理子先輩へと刺さる。

 真美さんがレジャーシートを広げたところ、何故か瑛理子先輩も入ってきたのだ。


「わ、私も昼食にしようと思ったのよ」


 拗ねたような照れたような、瑛理子先輩は不思議な顔をした。


「むぅううううううっ!」


 ああ、真美さんが怒ってる。すっごい威圧感を感じる。

 俺を挟んで反対側にいる瑛理子先輩を、めっちゃ睨んでいるぞ。


「万里小路さん、俊くんに変なことしないで!」

「あ、あれは偶然よ。途中で止めるつもりだったの」

「瑛理子先輩、踏む時に『えいっ!』って言いましたよね?」


 俺がツッコむと、瑛理子先輩は顔を背けてしまった。


「し、仕方がないじゃない。大崎君を見ていると踏みたくなるのよ」

「それは分かる!」


 シィィィィーン――


 突然、凛が同調して場が凍った。


「姉ちゃん! ずっと気配を消してたのに、突然なにを言ってんだよ」

「しょうがないでしょ。私が穏便に収めようとしてるのに」

「余計にややこしくなってるけど」

「あんたが誘い受けしてるのが悪いのよ。このドSホイホイ」

「誰が誘い受けだ」


 ドロドロドロドロドロ――


 真美さんの方からドロドロした気配が漂ってきた。さっき感じたような、甘く蕩けるような中に、狂気を孕んだようなオーラが。


「俊くん♡ 踏んでほしいならお姉ちゃんがしてあげるね♡」

「えっ、あ、あの真美さん?」

「ごめんね♡ 俊くんの好みに合わせてあげられてなくて♡ これからは容赦なく踏むからね♡ 足とかお尻とかで♡」


 ゾクゾクゾクゾクゾク!


 真美さんからドSオーラが立ち上がり、俺の腰の奥がゾクゾクと震えた。

 これまで感じたことのない強烈なドSオーラだ。むしろ真美さんが一番女王様なのでは?


「ふ、踏まなくてもいいですから。瑛理子先輩も姉ちゃんも冗談を言ってるんですよ」

「うふふふふっ♡ 大丈夫だよ♡ もう手加減しないからね♡」


 俺が何とか誤魔化そうとするも、真美さんのハイライトが消えた目には光が戻らない。むしろ、もっと闇落ちみたいにドロドロした。

 何とかしないと。


「ほ、ほら、お昼にしましょうよ。真美さんのお弁当、楽しみだな」

「俊くんに食べてもらうために、朝四時に起きて作ったんだよ♡」


 真美さんは真っ直ぐ俺を見つめた。

 病んだような曇ったような、その顔を見ていると、俺の中に罪悪感のようなものが込み上げてくる。


「た、楽しみです。でも、無理はしないでくださいね」

「無理じゃないよ♡ 私、俊くんのためなら何でもするよ♡」


 そんなことを言われると……。真美さんが超過保護だからって、本当は俺が好きなのかと誤解しちゃうだろ。


「俊くんが『したい』って言うなら裸になるし、『死ね』って言ったら今すぐ死ぬよ♡」

「それはダメぇええええ!」


 真美さーん! 正気に戻ってぇええ!


「うふふ♡ 冗談だよ♡」

「冗談に聞こえなかったけど……」

「ほら、お昼にしよ♡ はい、召し上がれ♡」


 真美さんが弁当箱を開いた。豪華な三段重だ。


「俊くんの好きそうなおかずをいっぱい作ったからね♡ これが腋飯わきめしだよ♡」

「イカ飯かな?」

「こっちが尻クリームコロッケ♡」

「蟹クリームコロッケかな?」


 尻って聞こえた気がしたけど、気のせいだよな。絶対、蟹クリームコロッケだよ。

 どれも豪華で美味しそう。


「コホン」


 俺が真美さんの弁当に見入っていると、反対側から瑛理子先輩が咳払いしているのが聞こえた。


「どうかしましたか、瑛理子先輩?」

「あ、あの♡ わ、わた、私も……」

「えっ?」

「私も、お弁当を作ってきたの♡」


 そう言って、瑛理子先輩は真っ赤な顔で弁当箱を差し出した。


「ええっ! あの瑛理子先輩が料理だと!」

「わ、悪い!?」

「悪くないです」


 少しだけ口を尖らせた瑛理子先輩は、そっと弁当箱を開いた。

 中には、味付けされたような色のご飯と、焦げた玉子焼きが入っている。


「お、美味しそうな炒飯ですね」

「おむすびよ」

「えっ……」


 し、しまった! おむすびだったのか!

 ボロボロなので炒飯かと思ってしまった!


「あ、えっと、こっちの玉子焼きも美味しそう」

「それは目玉焼きよ」


 しまった! これ、目玉焼きだったのか!

 潰れてるし混ぜ混ぜだから、てっきり玉子焼きかと思ったぞ。実はスクランブルエッグかと予測したけど、気を利かせて玉子焼きって言ったのに。


「ど、どうせ私は料理がド下手糞よ」


 瑛理子先輩が拗ねてしまった。

 プイッと横を向く仕草も可愛いと思ってしまう。


「食べます。瑛理子先輩の弁当も食べますから。一緒に食べましょう」


 こうして、奇妙な四人による昼食が始まった。

 俺の左側には、挙動不審の瑛理子先輩。

 右側には、ドロドロと闇&病みオーラを出す真美さん。

 正面は、さっきからオロオロしている凛だ。


「はい、俊くん♡ あーん」


 一発目、真美さんが必殺『あーん』を繰り出した。蟹クリームコロッケを箸でつまみ、俺へと向けてきたのだ。

 これに、瑛理子先輩の威圧感……というより殺気のようなものが強まった。


「えっと、人が多いので……」


 いくら校庭の隅といっても、周囲には生徒が多い。こんな場所で『あーん』なんてしたら、クラスで噂になってしまいそうだ。


「ほら、俊くん♡ あーん♡」


 真美さんの顔は、有無を言わせぬ迫力がある。ヤンデレっぽい目でグイグイ迫る様は、完全にクレイジーサイコ女王様だ。


「はい、あーん」


 仕方なく俺は、あーんで食べることにした。


「もぐもぐ」

「どうかな、美味しい? 私の尻クリームコロッケ」

「はい、凄く美味しいです」


 外側はサクサク、中はトロっとクリーミーで、コクがあり凄く美味しい。やっぱり真美さんの味がするような? でも、蟹が入ってない気がする。


「凛ちゃんも食べるよね?」


 続いて真美さんは、凛にも差し出した。


「えっ、わ、私は遠慮しようかな……」

「凛ちゃん! 食べるよね!」

「はい……」


 どうした凛、また目が死んでいるけど。


「お、おお、大崎君♡」


 声がして振り向くと、さっきより更に挙動不審になった瑛理子先輩がいた。

 真っ赤な顔で目を泳がせながら、箸を掴んでいる。箸先をブルブル震わせながら。


「どうしました、瑛理子先輩?」

「は、はい、あーん♡」

「えっ?」


 俺は幻覚でも見ているのか?

 あの瑛理子先輩が、俺に『あーん』しているのだが。


「えっと、瑛理子先輩、頭でも打ったんですか?」

「私は正気よ! 何よ何よ、私も『あーん』してあげようと思ったのに!」

「すすす、すみません」


 やっぱり瑛理子先輩がおかしい!? 何で真美さんに対抗しているんだ?


「でもどうしたんですか? いつもの瑛理子先輩なら、そんな優しいことしないですよね。むしろ、足でご飯を掴んで、『ほら、エサをあげるわよ』とか言いそうですけど」

「私を何だと思っているのよ!」


 何だと思っているって、怖くて凛々しい女王様だけど、たまにめちゃくちゃ可愛くなる先輩女子とかかな。


「なにニヤニヤしているのよ! お望みなら足で食べさせるわよ!」

「手でお願いします」


 足で食べさせるのもご褒美っぽいが、衆人環視の中でやったら人生お終いだ。


「ほ、ほら♡ いくわよ♡」


 照れているのか耳まで赤くした瑛理子先輩が、震える手でご飯を俺に向けてきた。



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姉喰い勇者と貞操逆転帝国のお姉ちゃん!

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ブレイブ文庫 第1巻
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