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誰にも媚びない孤高のS級ヒロインが、最近なぜか俺にだけ優しいのだが ~ドS級美少女の瑛理子先輩は、俺が好きすぎてデレを隠し切れない~  作者: みなもと十華@3/25二作同時発売
第2章 瑛理子先輩は俺にだけ優しい

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第35話 好きな人にはドS責め

 瑛理子先輩のもとへ走った俺は、迷いなくその手を取った。


「先輩、俺と一緒に走ってください」

「えっ?」


 戸惑う瑛理子先輩を他所に、俺は無言でゴールに向け突き進む。恥ずかしくて先輩の顔を見られない。

 俺に手を引かれている瑛理子先輩は、何が起きているのか理解できていないようだ。


「ちょっと大崎君! これは何なの?」

「な、何も言わず俺に協力してください」

「周囲の生徒が凄く盛り上がっているわよ」

「告白イベントだから当然です」

「ええぇ……」


 先輩の言葉どおり、選手も観客も大盛り上がりだ。

 女子の黄色い声援や、男子からの茶化すような声。カップル成立で沸き立つ拍手。

 こんなの居たたまれない。


 結局、俺は五位という微妙な順位だった。

 この際順位など関係ない。早くこのイベントを終わらせないと。

 そんな気分のはずなのに、瑛理子先輩と繋いだ手を離したくない。


 ゴール地点では、新しく誕生したカップルたちが、周囲の目も気にせず熱愛モードになっている。

 手を伸ばし告白する男子に、頬を染めてその手を取る女子。発情したかのように二人で抱き合って喜ぶカップルなど。


「えっ……これって……」


 周囲を見渡した瑛理子先輩が、茫然と立ち尽くしている。いつもは女王様みたいなのに、今は借りてきた猫みたいに。


「瑛理子先輩、こういう意味です」


 俺が『好きな人』と書かれた借り物競争のカードを見せると、瑛理子先輩の顔がボフッと湯気が出そうなくらい赤くなった。


「えっ♡ お、おお、大崎君♡ そ、それ」

「すみません。先輩しか思いつかなくて」

「えええっ♡ わ、私っ? ふ、ふーん、私だけなのね♡」


 口を尖らせる瑛理子先輩だけど、どこか嬉しそうに見える。


「大崎君って、望月さんじゃなかったのかしら?」

「真美さんは幼馴染ですので」

「そ、そうなのね♡ 私を選んだんだ♡ ふふっ♡ うふふっ♡」


 やっぱり瑛理子先輩が嬉しそうだ。

 気のせい……じゃないような?


「それにしても先輩、三年なのにこのイベントを知らなかったんですか?」

「うるさいわね。いつも体育祭の日は、隅で本を読んでいたのよ」

「そうでしたか」


 瑛理子先輩らしいというか何というか。


「「「ヒューヒュー!」」」

「何だよあいつ! 孤高の女王に告りやがったぞ!」

「羨ましい! あの超絶美少女を独り占めかよ!」

「くっそ! 今夜はお楽しみか!? こんちくしょう!」


 応援席から俺たちを茶化す声が飛ぶ。中には俺への嫉妬や罵声まで。

 丸木戸まるきど学園四大S級女子の一角を落としたと誤解されているのか。

 目立ちたくないのに、思い切り目立ってしまったような。



 校庭の隅まで移動したところで、俺は瑛理子先輩と繋いでいだ手を離した。


「あっ」


 瑛理子先輩が一瞬だけ寂しそうな顔をした気がする。


「助かりました、瑛理子先輩。もうカップルのフリはしなくて良いですよ」

「えっ?」

「こんなの頼れる人が瑛理子先輩しかいなくて。陽キャイベントなんて困りますよね」


 シュバッ!


「って、痛ぁああ!」


 瑛理子先輩の手刀が、俺の脇腹に命中した。


「先輩、痛いです。何するんですか」

「うるさいわね。黙ってお仕置きされてなさい」


 瑛理子先輩の顔が、羞恥と怒りの混じったような顔になっている。


 シュバッ! シュバッ!


「だから痛いですって。瑛理子先輩のツッコミは痛いんですよ。もう少し手加減してください」

「私の女心をもてあそぶだなんて、良い度胸してるわね! もう許さないわ!」

「な、何の話ですか!? 俺は陽キャイベントを乗り切ろうと」

「もうっ♡ もうもうっ♡ 何よ何よ! 一人で舞い上がってた私が馬鹿みたいじゃない!」


 どうしちゃったんだ、瑛理子先輩は。今日は一段と挙動不審だぞ。


「とりあえず落ち着きましょう、先輩」

「落ち着いていられないわよ! 何よ、好きな人だなんて」

「ですよね」

「他人事みたいに言わないで! 私が勘違いしちゃったらどうするのよ!?」


 瑛理子先輩が勘違いだと……それはそれで……。


「勘違いされたら嬉しいような」


 ボフッ!

 また瑛理子先輩の顔が真っ赤になった。沸騰しそうな感じに。


「へ、へぇ♡ 嬉しいのね♡ ふーん」

「はい、瑛理子先輩みたいな可愛い彼女がいたら最高ですよね」

「ふへっ♡ ふへへっ♡」

「でも瑛理子先輩って、怖いし料理はド下手糞だし意外とポンコツだし、彼女ってイメージじゃないですよね……って、あれ?」


 いつの間にか、瑛理子先輩の威圧感が急上昇していた。どうしてこうなった?


「大崎君、あなた私をからかっているのかしら?」

「めめ、滅相もない」

「さっきから紛らわしいのよ。私をからかって楽しんでいるのね」

「ちょ、何をするんですか」


 ギュッ! グイグイグイ!


 俺をベンチに押し倒した瑛理子先輩は、上から嗜虐心たっぷりの表情で覗き込んできた。


「もうお仕置きするしかないようね。ここで踏もうかしら? 走って汗ばんだ靴下で顔を踏むわよ」

「ちょ、ちょっと待って! ここは人が多いですって!」

「ちょうど良いわね。皆にあなたが私の奴隷だと教えてあげましょうよ♡」


 瑛理子先輩は片方の運動靴を脱ぎ、紺ソに包まれた足を向けてきた。

 いつもは黒ストなのに、体育の時は紺ソなのだろうか? これはこれでレアというか魅力的というか……。


「って、そんなこと考えてる場合じゃねえ!」

「ほらほら♡ 足で口を塞いでから、つま先を鼻に押し当ててあげるわ♡」

「そんなマニアックな責めは勘弁だぁああ!」


 瑛理子先輩、俺に変態的フェチを植え付けるんじゃねえ! そんなのされたら、もう戻れねえぞ!


 両手で必死に瑛理子先輩の足を止めようとしているのに、自然と力が緩まってしまう。もしかして、俺は敢えて踏まれたがっているのか?

 これはしょうがないんだ! 瑛理子先輩の足が魅力的すぎるから!


「あらあらぁ? 抵抗が弱いわよ」


 そんな俺の考えは、すぐに先輩の知るところとなった。


「どうしたのかしら? やっぱり踏まれたいの?」

「ち、違います」

「ならもっと抵抗しなさいよ。このままじゃ皆の見ている前でお仕置きされちゃうわよ」

「ちょ、それは! ああ!」

「ふふっ♡ うふふっ♡ 大崎君ったら♡ 本当に面白いわね♡」


 いつの間にか瑛理子先輩の機嫌が直っていた。

 まさかドSプレイで仲直りできるなんて。

 もし俺たちが付き合ったりしたら、毎日ドSプレイされそうで怖いのだが。まあ、付き合うなんて恐れ多いけど。


「あはは♡ ほらほら♡ 踏まれたいのかしら♡」

「やめろぉ~」


 そんなアブノーマルな遊びをしている俺のもとに、誰かの足音が近づいてきた。


 ザッ、ザッ、ザッ、ガサッ!


「俊くん、何をしているの?」


 ゾクッ!

 俺の耳に甘く蕩けるような声が響いた。その瞬間、俺の体の奥底から震えが走った

 声は優しそうなのに、言いようのない狂気を孕んでいるように聞こえたから。


「えっ、あれっ、ま、真美さん? 真美さんですよね?」


 声で真美さんだと気づいたけど、上から迫る瑛理子先輩の足で顔を向けられない。


「ちょっと、瑛理子先輩、真美さんが」

「えいっ!」


 ピトッ!

 俺が力を抜いた瞬間、瑛理子先輩の足が顔の上に乗ってしまった。

 運動して汗をかいたからなのか、やっぱり瑛理子先輩の靴下は蒸れていた。汗と足の臭いとフローラルな香りが混じった、何とも言えない官能的な匂いが、鼻いっぱいに広がる。


 ああぁ、久しぶりの瑛理子先輩の足責め……。これは癖になる……。


「俊くん!」

「んんっ! ぷはっ、ま、真美さん!?」


 真美さんの声で我に返った。急いで瑛理子先輩の足をどけた時は、もう遅いと気づく。

 俺は、とんでもない失敗をしてしまったのだと。



 ドS責めで仲直り。でも真美さんが大激怒?


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 よろしくお願いします。

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姉喰い勇者と貞操逆転帝国のお姉ちゃん!

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ブレイブ文庫 第1巻
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