僕の幼馴染がイケメン女子になったワケ
僕、来崎宗也の幼馴染はとても顔が整っている。
小さな頃から一緒にいたのでそこまで意識したことはないけど、友人たちが言うにはそうらしい。
まぁたしかにクラスメイトの女子たちとは一線を画すほど整ってるとは思う。
そんな幼馴染の女の子…倉敷海音はちょっと変わっている。
僕たちが中学二年生くらいの時だっただろうか?
海音が突然伸ばしていた髪を切って、キザな王子様になってしまったのだ。
なにか失恋でもしてしまったのかと思ったけど、それを聞いたら無言で叩かれた。
当時の僕にはデリカシーが足りなかったのだろう。
まぁとにかくだ…海音は俗に言うイケメン女子というものになったのである。
いや、別に悲しいとかいうわけではない。
その影響で海音が好きじゃなくなったりするとかいうわけじゃないからね。
それにイケメン女子な海音のほうが、以前の綺麗な感じの海音より僕の好きなタイプだし。
まぁ、以前の海音も好きだけど。
話を戻そうか。
僕と海音は高校2年生になった。
海音がイケメン女子モードから以前の状態に戻ることはなく、めちゃくちゃモテている……ほとんどは女子だけど。
なんで僕とつるんでいるのか分からないが、まぁありがたいので構わない。
えっ?高校ではボッチなのかって?
そういうわけじゃないけど、あんまり社交的ではないから友人は少ないね。
だけど海音が話しかけてきてくれてるから、その影響で話すようになった友人は少なくない。
というか僕の友人の半分以上が海音経由だと思うね。
「ねぇ、海音。思ったんだけど、なんで海音は中二の時に髪を切ったの?」
二人っきりの帰り道で、隣の海音になんとなく聞いてみる。
最初は失恋でもしたのかなって思った。
だけどそれは違うということを知った。
ほかの人からしたらどうでもいいことなのかもしれないけど、僕はどうしてか知りたかった。
「うーん…そうだな。強いて言うなら、私はね…強欲なんだ。欲しいものは手に入れないと気がすまない…そんなわがままな心を宿してるんだ。」
「だけど…それと同じくらい、欲しいものに尽くすんだ。覚えてないかい?君が中二の夏に言ったことを。」
「『好きなタイプはかっこいい女子』って言ってただろう?言いたいことは分かったよね…宗也。」
僕は今、どんな顔をしているのだろうか?
長年一緒にいた幼馴染に告白まがいのことをされて、平静を保てていられるだろうか?
いや…どっちでもいいか。
平静を保てていようと、なかろうとどっちでもいい。
僕はその問いに答える術を持っていない。
僕が誰かとお付き合いすることを考えたことがないからだ。
僕が無理に返事をしようとしたことを見抜いたのであろう海音が、僕の唇に人差し指を押し当てる。
「まだ答えはいらないよ…宗也。でもそうだね。誰かと付き合いたいと思ったら、できるなら私と付き合うということも考えてほしい。返事はいつでも構わないからね。あっ…でも、できれば大学に入る時までがいいな。」
そう言って、笑みをこぼす海音。
その姿はサマになっており、僕の瞳に焼き付いた。
海音が僕の手を取って歩き出す。
海音の浮かべている笑顔を見て思う。
この可愛らしい笑顔を守っていきたいと。
いつか彼女の期待に応えられるようになろう。
あれから3年、ようやく僕は『僕の幼馴染がイケメン女子になったワケ』を知った。
ほんの少しの関係の変化とともに。




