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arch the rainbow  作者: AKIRA
1/3

プロローグ

・人生はサッカーであり、サッカーこそが人生。


by マラドーナ(元アルゼンチン代表)

「マイボール!」


「ボイ! ボイ!」


「パス! 早く」


 いろんな人の声が響き渡るフィールド。その中では一つのボールを奪い合っていた。

 実力が均衡するチーム同士の試合のためか、どちらもゴールが中々奪えずにいた。そんな試合をしてる最中、俺は出番を待ち、ストレッチを入念にする。

 すると突然、俺は監督に呼ばれ、その声に反応して俺は監督の方へと向かった。

 途中、同じように出番を待っている仲間に肩を叩かれる。


「頑張ってこいよ!」


「期待してるぜ!」


 そんな短い言葉が心地いい。俺は、はい、と短く答える。

 監督のところまで行くと、やはり選手交代のようだ。もちろん俺が出る。

 ピッチ内の審判に声をかけ、丁度ボールが外に出たのをきっかけに、試合を止め交代を指示された選手を外に出るように促す。

 俺は出ていくチームメイトとタッチをする。すると出て行くチームメイトは息も絶え絶えに俺に声をかけてくれる。


「後は…、任せた…」


 その声からは悔しさが滲み出ていた。表情を見なくても分かるくらいに。ただ俺は、はい、と答える事しか出来なかった。

 そして思いを受け止めた俺はピッチに足を踏み出す。


 ---ドクンッ


 瞬間、心臓が高鳴り、体中を駆け巡る血液が沸き立つような感覚が襲う。

 足が思うように動かない。心臓の鼓動も休まる事を忘れたようだ。

 このままではいけない。そんな事を思えば思うほど、思うように動けなくなっていく。


「大丈夫か~?」


 そんな声がしてくる。


「やってやろうぜ! じゅんちゃん!」


 また他の奴が声をかけてくる。

 不思議とその声が聞こえてくると、体の緊張がほぐれてくる。

 仲間の声が俺を一人じゃないと教えてくれて、不安が無くなっていく。


「はい!」


 心の底から出した声は、思いのほか大きな声となった。

 相手選手の困惑したざわつきと、仲間達の笑い声が聞こえてくる。

 俺は少し恥ずかしくなった。


 ---でも、もう大丈夫。


 審判が笛を鳴らし、試合が再開される。

 途中からの出場だから、俺に残された時間は少ない。それだけは残念だ。

 でも今はこうやってサッカーが出来る事が嬉しい。

 すると俺の足元にボールが早速転がってくる。同時に迫ってくる相手の選手の声や気配も感じた。


 ---邪魔するなよ。今俺は嬉しいんだ。


 でも俺はそんな事気に留めず、ボールを止めて指示を待つ。


「隼! そのまま~!」


 声が聞こえすぐに足を振り上げる。そしてそれをそのまま声のする方に振りぬいた。

 ボールは気持ちのいい音を立てて飛んでいく。




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