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悪化する地球

サンブック国から遠く離れた地域は、すでに人が生きられる場所ではなくなっていた。

大地は灼熱の板金のように赤く焼け、昼間は摂氏90度を超える。空気そのものが肌を焼き、息を吸うたびに肺が灼ける感覚が走った。

高層ビルの街並みは影だけを残して沈黙し、窓ガラスはすべて熱で溶けて垂れ下がり、舗道は歪んで波打っていた。


バリアを新たに設置する計画は、こうした地域ではほぼ不可能だった。

機材は高熱で即座に故障し、作業員はわずか数分で熱中症に倒れる。

それでも、死の土地から逃れようとする人々は後を絶たなかった。


国家サチ国境沿い(サンブック国内)

そこには果てしない人の波が押し寄せていた。

避難民たちは熱さを凌ぐだけのぼろぼろの靴で、ある者はボロ布を被り、ある者はただ汗と灰にまみれた姿で、数十キロにわたって列をなしていた。

悲鳴、すすり泣き、子どもの叫び声が、灼けた空気の中でかき消されずに響き渡る。


一人の母親が、幼い子どもを抱えながら前へとにじり寄った。

腕の中の子どもはぐったりとしており、顔色は土のように青ざめている。

母親は泣きながら叫んだ。

「お願い……お願いです……! 子どもだけでも中に入れて……この子が、もう……!」

声は掠れ、涙はすぐに蒸発して消えていった。


国境ゲートの前に立つ国家サチの国民たちは、汗まみれの顔で必死に列を制御していた。

防護服の中は蒸し風呂のようで、酸素マスク越しの声も震えていた。

「許可が下りるまで……頼む、待ってくれ……! 私たちだって、全員を助けたいんだ……!」

だが、背後には既に何千人という人々が押し寄せており、押し合い圧し合いで倒れる者が続出していた。


近くで老人が咳き込み、膝をついた。

隣にいた青年が肩を支え、「もう少しです、頑張ってください!」と必死に声をかける。


しかし国家サチの国民が首を横に振り、低く言った。

「これ以上入れれば、中の物資が持たない……」


ゲートの奥、サチの臨時収容所では、既に水や食料が限界に達していた。

白衣姿の医療班が慌ただしく動き回り、日ごとに増える熱中症患者を必死で看護している。


「もう点滴が足りない!」

「冷却パックも残りわずかだ!」

叫び声が交錯し、誰もが自分の手が足りないことを悟っていた。


夕暮れ時、空は鉛色から血のような赤へと変わり、遠くでは黒い嵐雲が渦を巻いていた。

それは熱と砂塵を含んだ嵐で、逃げ遅れた人々を容赦なく飲み込んでいく。

列の最後尾で、それを見た避難者の一団が悲鳴を上げ、必死に前へ押し寄せた。

国家サチの国民たちは盾を構え、声を張り上げる。

「落ち着け! 押すな! 子どもが踏み潰されるぞ!」


しかし、人々の目には恐怖と絶望しか映っていなかった。

誰もが知っていた――この国境の向こうだけが、まだ生き延びられる唯一の場所だと。


そして、その門の前で、国家サチの国民たちもまた震えていた。

彼らの心の奥底にも、同じ問いが渦巻いていた。


「誰を救い、誰を見捨てるのか」


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