彼の無限の心
こんにちは。これは私が作成しているダークファンタジーのライトノベルです。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
一九四五年八月六日、そして八月九日。
それは人類の歴史における最悪の二日間であった。
いや、それ以上に、地球の歴史そのものにおいて最も忌まわしい日々だった。
だが、愚かな人間たちはそのことを知らなかった。
きのこ雲が全てを呑み込み、地獄の苦悶の精を空に溶かしていく中、
一つの影がその光景を遥か遠くから見つめていた。
白きマントに顔を覆われたその姿。
彼はミアキスの人型存在であった。
名は——ゼンタイ。
彼こそ、あらゆる多元宇宙を司る全能の神である。
ただ彼だけが、その悲劇の真の意味を知っていた。
そして、人類がそのとき気づかぬまま生み出してしまった、
史上最悪の発明がもたらす災厄の本質を理解していた。
その光景を見ながら、ゼンタイは涙を流した。
それは今、まさに目の前で起きている悲劇に対してだけではない。
この世に核兵器という怪物が産声を上げたことで、
避けがたく訪れる未来の悲劇に対しても流された涙であった。
このエピソードを楽しんでいただければ幸いです。次のエピソードもすぐにアップロードします。