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「会長!」

「かいちょう?!」

驚きのあまりハモってしまったが、そこには四乃森朱里が立っていた。

「ここでは人の目もあるから、生徒会室で話しましょう」

場所を生徒会室に移し、

「そっか、槍ヶ岳さんには見られてたかぁ」

証拠の動画を見せつけられ、茶目っけを出して会長は舌を出す。

「どういうことなんですか?」

言いよるヒカリに

「なんのことかな?動画はもう消えてなくなってるようだけど?」

「え?え?」

焦ったヒカリが動画を探すもスマホの中のどこにも今見た動画はなくなっていた。

きっと朱里がハッキングして証拠隠滅をしたのだろう。未来人の仕事は素早い。

「でも、この動画はありますよ」

そう言ってヒカリは想太が鼻の下を伸ばして膝枕されてる動画を見せる。

「それは、仕方ないなぁ。私が想太くんを膝枕してたら、想太くんがエッチな目で私のこと見てたのは事実だからなぁ…」

「いや、待ってくださいよ!消すんなら、こっちの動画も一緒に消してくれないと」

「私は君のセクハラ動画があってもぜんぜん構わないけどな」

狐につままれたような顔で警戒心も露わにスマホを隠しながら、

「生徒会長は何者なんですか?」

槍ヶ岳ヒカリは問い詰める。

「うん、そうだなぁ…」

話し出す前に、ヒカリの頬に触れ、そこから首筋に手を伸ばす。

「槍ヶ岳さんは、インフルエンサーなんかより記者に向いてるかもしれないね。でも、隠し撮りはマナー違反じゃないかな?」

襟元の小型カメラを手に取って、机の上に置く。

どちらも油断も隙もない。

「まぁ、別に隠すことでもないから、教えてあげてもいいんだけど・・・知りたい?」

「え?そんなに軽いものでいいんですか?」

想太が驚いて聞き返すと、

「だって現在の世の中って情報過多じゃない。馬鹿みたいなフェイクニュースだって、みんなすぐに信じたりして。なんだっけ?ワクチンにマイクロチップが入ってるだっけ?そんなコストかけられる時代じゃないわよ。製造過程で秘密保持できるわけないし、ほんと陰謀論とか馬鹿馬鹿しいったら」

「私、結構そういうネタ好きで投稿してるんですけど?」

「あら、そうなの?槍ヶ岳さんは恥ずかしくないのかしら。嘘の動画あげて拡散して」

「嘘かどうかなんて分からないじゃん!」

思わずヒカリが声を荒げると、

「あのね、昔から賢い人は怪力乱神を語らずって言うの。不確かなことは口にしないって意味ね。もちろんあなたたち若い世代の人は現実から目を背けるために、ゴシップや陰謀論に興味を持つものだけど…」

たしかに会長が未来人だとしたら、何十年も前の俺たちなんかは文明レベルの低い世代って思うのかもしれないな、と想太は思いながら、会長も存外話が長いな、と苦笑してしまった。

「コホン、話が逸れたわね。私の秘密、教えてあげるけど、他言無用にして欲しいの。まぁ、別に噂が広まっても私は大して困らないんだけど、槍ヶ岳さん、たぶんあなたの信用が落ちるから滅多に言わない方がいいわ。動画投稿するなんて、もってのほかよ。あ、想太くんの膝枕動画は投稿してもいいけど」

余計な一言を添えて茶々を入れる。

「それで、会長は何者なんですか?」

ヒカリが興味深々と詰め寄ると、四乃森朱里は不敵な笑みを浮かべながら宣言する。

「私は未来人よ、一年前からとあることを目的に、この学校に潜り込んでいるの。えっと、目的は言っていいのかな?想太くん?」

衝撃的な事実をあっさりと話されて、槍ヶ岳ヒカリはどう解釈していいかまだ分からないようだ。

「やめてください、軽々しく人の秘密を話すのは」

「まぁ、いざとなったら、記憶改変装置は当然あるから、あんまり心配しなくていいよ」

怖ろしいことをサラっと言う。

「で、ここから本題。想太くん、槍ヶ岳さん、あなた達生徒会に入りなさい。これは確定事項です。入らなければ記憶を消しますからね」

そして有無を言わさず二人は生徒会に入ることになったのだった。

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