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次の日、朱里を屋上に呼び出して相談をすると、朱里は腕を組んで顎に手を当てて考え込む。

その姿がいちいち様になるのだから、美少女というのは神に愛されている。

「おかしいわね、なんだか早すぎるわ…」

「ええ、俺もそう思いました。有名になってまだ1週間足らずなのに」

「そうね、想太くんみたいに元々親しい人間を疑わざるを得ないわ」

「俺は…!」

とそこで言葉を飲み込んだ。昨日のメッセージのやり取りを思い出すと、自分も予備軍であると自覚してしまったのだ。

「分かってる…分かってるわ…」

朱里は申し訳なさそうに想太を見て、

「やっぱり、まだ好き?」

「当たり前ですよ…俺にとっては、お互いの想いが通じたと思った瞬間に関係を断ち切られたんだから…」

「そう…そうよね…ほんとごめんなさい…」

朱里は辛そうに顔を顰める。

想太はそれを見て、フッと肩をすくめて笑う。

「でも、それも御法川のためなんですもんね?」

屋上から校庭で部活動をしているサッカー部を見下ろしながら、フェンスにもたれかかって空を見上げる。

「だったら、俺、今は我慢します。我慢して今回のこと全部終わったら、今度は俺から御法川に告白します。それはちょっと楽しみだな。前の時は御法川に先を越されたけど、次は俺の方が絶対好きって言えるもんな」

「どうしてそんなこと言えるの?」

「だって、俺は御法川のこと四六時中考えて、悩み続けてる。愛の試練ですよね、これって。でも、御法川は今、仕事のことで精一杯だから、きっと俺のこと思い出す時間なんてこれっぽっちもないんだ」

言いながら、また少し胸の奥が痛む。もしかしたら、御法川の心の中の想太のスペースはどんどん小さくなってしまうのかもしれない。

「そうだね、うん…ありがとう、想太くん…あのね、そう言ってくれて、私ほんと胸のつかえが取れた気がする。私、ほんとにこんなことしていいのかなって、どこかで引っかかってたの。いくら御法川さんの命を守るためだからって」

「俺は何も知らずに守れないくらいなら、どんなに辛くても知って守れる方が一万倍いいです」

「うん、そうだね、想太くんはそういう人だよね」

朱里は、晴れやかな笑顔で、

「そしたら次は私がキューピッドになってあげる♡モテない想太くんの恋を全力でサポートしてあげるわ」

朱里が楽しげに、そしてなぜだか幸せそうな表情を浮かべたことに、想太は何か既視感を一瞬覚える。

「まさか、会長、俺の将来のネタバレしようとしてます?」

「フフ、違うわよー。前にも言ったけど、想太くんは特異点なの。想太くんの周りだけ、【ゆらぎ】続けるから、私にも結果がどうなるか、予想もつかないのよ。未来にいた時は、【ゆらぎ】の結果を知ってたけど、私が現代に来て、私も【ゆらぎ】の一部になった時点で、私にとっても全部の予測は不可能になったの。だから、誰がストーカーかも断言することができないの。私も事象に干渉しているから…だから、こんなに早くストーカーが現れるなんて、実は想定外だわ」

「ちなみに会長がいた未来のストーカーはどんな奴だったんですか?」

「それは、ほんとただの熱狂的なファンよ…それこそ御法川さんとはなんの関係もない人だったの。でも、今回はその線は消えたかもしれない。うーん、バズらせたのは失敗だったのかなぁ?」

「ちょっと待ってくださいよ!計算づくじゃなかったんですか?」

「だって手っ取り早く事件を解決するには、時間軸を早めたいじゃない。ほんとは御法川さんのブレイクは秋のことだったんだけどね…まぁ、そこまで待ってたら、ねぇ…」

「ねぇってなんですか!おかげで俺は…」

「御法川さんとキスし損ねた?そんなにキスしたかった?」

子供っぽい表情で聞いてくる朱里はいつもの調子を取り戻したようだ。

「まぁ、それはそれとして、犯人は身近にいる顔見知りの線が強いわね…学校関係者か、事務所関係か…」

「どうやって絞り込みます?」

「犯人は御法川さんの鞄に手紙を入れてるわけよね?それじゃ、そこに罠を仕掛けましょう。想太くん、ちょっと道具仕入れに行くわよ」

そう言って2人は屋上を後にしたのだった。

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