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第4話:迷宮に訪れる商人

主人公がダンジョン拡張に向けて計画を練っているときだった。迷宮の入り口近くに設置したモニターに、妙な動きが映り込んだ。


画面には、一人の中年の商人風の男が慌てた様子で森を駆け抜けている姿が映っている。その背後には、野生のゴブリンが3体追いかけていた。


「なんだこいつ……商人か? こんな危険な場所で何をしてるんだよ。」


主人公は呆れた声を漏らすが、画面の中の商人の切迫した表情を見ると、内心放っておけない気分になる。


「セリア、あいつをどうするべきだと思う?」


「彼を助ければ、何か有益な情報や物資を得られるかもしれません。あるいは、ダンジョンと外界を繋ぐ手段として利用できる可能性もありますね。」


「確かに……まぁ、助けてみるか。」


主人公は迷宮の罠を操作し、スライムたちに指示を出した。


「スライムたち、あの商人を追いかけてるゴブリンを排除しろ!」


商人は荒い息をつきながら迷宮の入り口に近づいていた。


「くそっ、ここに逃げ込むしかないのか……でも、ここに入ったら命が――」


彼が迷宮の入り口を見上げている間にも、ゴブリンたちが迫ってくる。その瞬間、スライムたちが飛び出し、ゴブリンの進行を阻んだ。


「な、なんだ……スライム?」


スライムたちは跳ね回りながらゴブリンたちに攻撃を仕掛ける。一匹のゴブリンがスライムの反撃を受けて転倒し、そこに主人公が仕掛けたトゲの罠が発動。鋭い棘が地面から飛び出し、ゴブリンを貫いた。


残りの2体のゴブリンも、スライムたちの連携攻撃により次々と倒されていく。


「す、すごい……!」


商人は恐怖と興奮が入り混じった表情でその光景を見つめていた。


ゴブリンを倒したスライムたちが退却し、商人が腰を抜かして座り込んでいる様子を主人公は画面越しに見ていた。


「なんとか助かったようだな。あいつ、迷宮に入ってくるつもりか?」


「恐らくそうでしょう。外の森よりも迷宮内の方が安全と考えたのかもしれません。」


セリアの言葉通り、商人は恐る恐る迷宮の入り口へと足を踏み入れてきた。


「……そこの商人、聞こえるか?」


突然の声に、商人は驚いて辺りを見回した。


「だ、誰だ!? どこにいる!?」


「俺はこの迷宮の主だ。あんたを助けたのは俺だよ。」


「迷宮の主……?」


商人は戸惑いながらも、迷宮内部の声に従い、安全なスペースへ案内された。


迷宮の休憩所として設けられた空間に商人が入ると、ようやく安堵した表情を見せた。


「た、助かりました……。お礼の言葉もありません。」


「ここならしばらく安全だ。何があったのか話してもらおうか。」


商人は息を整えると、震える声で話し始めた。


「私はこの近くの村から町へ物資を運ぶ商人です。最近、この辺りに新しい迷宮ができたという噂を聞きましてね。迷宮周辺には珍しい鉱石や素材が手に入るという話を聞いたんです。ですが、そのせいで魔物が活発化していて、今回のように襲われてしまったんです。」


「なるほどな……迷宮ができたことで周辺の環境が変わったわけか。」


主人公は商人の話を聞きながら、自分の迷宮が外界に与える影響を考えた。そして、一つの疑問が頭をよぎる。


「……ところで、助けたのはいいけど、この恩はどう返してくれるんだ?」


その問いに、商人は慌てて荷物を漁り始めた。


「もちろん、お礼はさせていただきます! これ、私が運んでいた商品です。剣や盾、保存食、それから冒険者向けのテント……どれも価値のあるものです。ぜひ受け取ってください!」


画面には商人が提供した物資が一覧として表示された。


選択肢:

1.剣と盾をモンスターに装備させる。

2.保存食を資源ポイントとして変換する(+150ポイント)。

3.商人を迷宮に常駐させ、今後も物資を提供してもらう。


主人公は少し考えた末、商人を迷宮に常駐させることを決断した。


「その商品を渡すだけでなく、いっそのことここを拠点にしてくれないか? その代わり、定期的に物資を提供してくれれば助かる。」


「えっ……! 迷宮を拠点に?」


商人は驚いた表情を浮かべたが、しばらく考えた後、深く頭を下げた。


「本当にここで商売をしてもいいのでしょうか? 安全が保障されるなら、ぜひお願いしたいです!」


「ここならゴブリンや魔物に襲われる心配はない。それに、俺が作る迷宮は冒険者が次々と来る場所だ。そういう奴ら相手に商売するってのも悪くないだろ?」


「なるほど……! 確かに、冒険者が集まる場所なら需要が高まりますね!」


商人の顔に明るさが戻り、荷物を整理し始めた。


「では、ここを拠点にさせていただきます! まずはこの保存食と簡易テントを物資として提供させていただきます。そして次回、町から新しい商品を仕入れて参ります!」


商人が迷宮に常駐することで、主人公のダンジョン運営は新たな可能性を手に入れた。


「これで物資の供給も安定するし、場合によっては外界の情報も手に入る。悪くない取引だな。」


セリアが穏やかな微笑みを浮かべる。


「人間との協力関係は、ダンジョン運営をさらに広げるきっかけとなります。今後、商人を通じて物資や情報を得ることで、迷宮をより強固なものにできるでしょう。」


「いいね。こいつを上手く利用させてもらうよ。」


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