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82 王妃の所業

「シシティーナ!」

王は王妃の名を呼びながら、王妃の部屋の扉を開けた。


先触れもなく、ノックもなく突然開いた扉に飛び上がるように驚いたのは、部屋に控えていた侍女だ。

王妃が祖国から連れて来た高齢の侍女である。

「妃はどこだ?」

王妃の部屋の居間には王妃の姿はないが、侍女が居るので部屋のどこかにいるのだろう。


王は侍女が止めるのも振り切って、王妃の寝室に続く扉を開けた。

王の後ろには宰相と護衛が続いていたが、王妃の寝室に入るわけにいかず、王妃の私室の居間で待機することにした。


王妃の寝室から大きな音が聞こえて、王を守る為に護衛が寝室に飛び込んだ。

そこで見たのは、王が半裸の王妃をベッドから引きづり落として殴っていた。

「陛下!」

おやめください、と護衛が王と王妃を引き離した が、王の興奮がおさまることはない。

なぜなら、王妃のベッドには男がいたのだ。


「拘束しろ」

指示を出したのは王ではなく、宰相だ。

「王妃陛下も身柄を拘束させていただきます」

宰相は侍女に王妃の衣服を整えるように指図をして、茫然(ぼうぜん)としている王を椅子に座らせた。

「陛下、王太子殿下をお呼びしましょうか?」

王が頷くと、護衛の一人が王太子の執務室に向かう。


王太子バーミリオンが王妃の私室に着いた時には、王妃と男は拘束されて、今の椅子に座っていた。

「これは、どういうことですか?」

王太子は事情を聞いていないが、父親の様子と、母親と男が拘束されていることで察したようだ。

「王妃という立場でありながら、男をひきいれていたのですか?」


宰相は護衛に男を地下牢に連れて行かせると、人払いをして護衛を一人残すとあとは部屋から出した。

王妃の部屋にいるのは、王、王妃、王太子、宰相と護衛が一人である。


「陛下、先ほどの男が、王妃陛下の祖国の商人であります」

その言葉に、王は落ち着きかけていた気持ちが再燃する。


「お前は情人が持ってくる偽造紙幣を、王家の財産の紙幣と入れ替えて渡していたのだな!」

もう一度殴ろうとする王を王太子が止める。

だが、それは決して王妃を守る為でなかった。

「母上、どういうことですか?」


宰相がバーミリオンに、王家の金庫室にある私有財産の紙幣は偽造紙幣にすり替えられている、と説明するとバーミリオンの顔色が変わる。

「母上!?」

バーミリオンはグランデの街で、偽造紙幣を見ている。大量の紙幣がすでに流通していると杞憂をしていたが、王家の金庫室にあるとは思いもしてなかった。

「国賊であるな」


「偽造紙幣、なんのことかしら?」

王妃は殴られて腫れた頬を冷やしながら言う。


状況からして王妃が一番怪しいが、王妃がしたという証拠はない。

それを王妃も分かっているのだろう。


バーミリオンは、母親の所業に悔しくて涙がでそうだった。


「情人を優遇するのは、殿下も同じことを元婚約者にしてました」

宰相が、バーミリオンに言い放った。


読んでくださり、ありがとうございました。

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宰相有能すぎて 無血革命できそう
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