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52 アーニデヒルト降臨

ガタ、ガタッ!! ガタン!

3人共立ちあがり、言葉なく立ち尽くしてアーニデヒルトを見つめていた。

最初に口を開いたのは、ユークリッドである。


「ナーディア、それが石を集めていた理由か?」


『話は聞いてました』

ユークリッドに答えたのは、ナーディアではなくアーニデヒルトだ。

『私が姿を見せれるようになったのは、つい最近です。

最初は何もできなかったけど、ナーディアが石を集めてくれたから力が戻ってきたの。

ナーディアは、私の力が集まるとは知らなかったはず』

アーニデヒルトはナーディアの夢に共有させたことは言わない。

『ナーディアが石を集めることで、気が狂っていると言われたのも知っています。

それでもナーディアは石を集めてくれて、私は姿を現せるほどの力を戻せました』

アーニデヒルトはナーディアの横に立つ。


「この方は、アーニデヒルト様。私はこの街に来たことはないけど、アーニデヒルト様がダルトン子爵のこの屋敷を探ってくれたから」

ナーディアが全部を言わなくとも、3人は全容の理解はできる。

不思議な力のあるアーニデヒルトならば、瞬時に移動も隠された部屋への潜入も可能なのだろう。


「アーニデヒルト様、お姿を見せていただいて感謝いたします。

ナーディアが言葉で説明したとしても、納得はできなかったはずです。それほど、我々にはナーディアの情報が正しすぎて不審だったのです」

ユークリッドとエルフレッドが、貴婦人に対しての礼をアーニデヒルトにする。

触れることはかなわないので、手を胸にあて深く礼をした。


アーニデヒルトはイレーヌに視線を向けると微笑んだ。

『貴女、勇気をだして頑張ったわね』


イレーヌの瞳からボロボロが涙が(あふ)れ出た。

「アーニデヒルト様、ありがとうございます」


ナーディアがイレーヌの肩を抱きよせる。

『良かったわね、ナーディア。自分を信じてくれる人間がいるのは何よりの宝だもの』

アーニデヒルトが言うと、ナーディアは小さく頷く。

アーニデヒルトは冤罪で母を処刑され、信じてくれる人もなく石を投げれられてギロチンの刑にされたのだ。


『ところで、ナーディア』

アーニデヒルトは泣いているイレーヌの頭をなでるが、そう見えるだけで実体はない。

『ここに来て感じるのよ。もっと北に欠片があるわ』


「ちょっと待ってください。まだここが始まったばかりなんです」

ナーディアにはテトの敵討ちが絶対だ。


『だそうよ。侯爵、協力しているのだから、取り逃がすようなことはしないでね』

早く北に行きたいとアーニデヒルトは、トレファン侯爵に圧力をかける。


アーニデヒルトの存在に慣れると、それに屈するようなユークリッドではない。

「アーニデヒルト様、すでに王都に軍隊の要請をしております」

隠し部屋から戻るとすぐに、宰相に子細を連絡したのである。護衛の一人に手紙を持たせて早馬で向かわせたので、そろそろ王都に着く頃だろう。


『わかったわ。そろそろ戻るわ』

言葉と同時にアーニデヒルトの姿が薄くなり消え去った。


「父上がお前を自由にさせた意味がわかった」

それまで黙っていたエルフレッドが興奮しながら話す。

「どうやって石の存在を知ったのだ?

そもそもアーニデヒルト様は何者なのだ?」

矢継ぎ早の質問に、ナーディアも話が長くなりそうと覚悟するが、それを止めたのはユークリッドである。


「エルフレッド、私も気になるが、今は令嬢達を休ませるのが優先だ。

今日は、とても疲れたろう」

ユークリッドに言われれば、エルフレッドも納得する。

聞きたい事はイロイロあるが、おいおいに聞けばいいだろう。


読んでくださり、ありがとうございました。

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