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46 エルフレッドとユークリッドの夜

読んでくださり、ありがとうございます。

その夜、エルフレッドとユークリッドの部屋では会議が行われていた。

「姿はナーディアですが、別人になってます」

兄であるエルフレッドは、記憶の中のナーディアと比べている。


「お前は留学で3年も国を出ていたからだが、国内にいた私もびっくりした」

ユークリッドもエルフレッドを肯定する。

「変わってしまう程、苦しんだのだろう。王太子との婚約は間違いだった」


「エルフレッド、お前は知らないかもしれないが、ナーディアは王都の河原で石を集めていたらしい。

それで気が触れたと噂が流れたのだ」


「叔父上、それは父上からの手紙で知っています。噂がでてからもナーディアは河原に行っていたとか、父上が意味なく許可を出すはずがありません」


「私もそれは思う。高位貴族の当主は皆思っていたよ。娘に悪評がついてなお許可が出るには理由がある。

それを王太子殿下は理解できなかったようだ」

すでに婚約が解消されているが、それによって貴族側と王家との亀裂は大きくなっている。

トレファン侯爵家の当主として噂を探ってみると、イースデン公爵家と対立する家系にたどり着く。


ヴィスタル侯爵家のことは令嬢の単独であり、今回、娘を差し出して来たのは、ヴィスタル侯爵当主の謝意なのだろう。

『ナーディアの盾ぐらいにはなるだろう』

それはヴィスタル侯爵家としての真意かもしれない。


それから二人は、ガナッシュの港街での詳細、ダルトン子爵とグランデの街での疑惑でお互いの情報を合わせていく。

「ヴィスタル侯子は、横領の件で宰相室から出れない状態だ。ガナッシュに行ったのも療養とい名目で石を集めに行った。

たかが石にイースデン公爵が許可をした。

今回のダルトン子爵は、石を集めている時にナーディアが目をかけた子供を殺した」

「すべてが石に繋がる」

「横領に気がついたのはヴィスタル侯子となっているが、だからと言って簡単に裏帳簿のような重要な証拠が手に入ることはない」

「地方から平民を集めるのは、珍しいことではない。それが異常な集め方だと、ナーディアはどうやって知ったのだ?」

二人の会話は止まらない。

ナーディアへ疑問、石という存在、容認するイースデン公爵。


「ナーディアとの婚約解消で、王家は多大な慰謝料を払うことになりましたが、王太子が側妃と望んだ娘の家にも父上は慰謝料を請求しています。

王家とイースデン公爵家との婚姻を失くしたのだから法外な値段です。

あの家は爵位を維持できないでしょう。

他にも、王太子と関係のあった娘達の家にも少なくない慰謝料を請求しました。婚約者がいるとわかっていて、そのような関係になったのだから自業自得でしょう。

低位貴族の娘ばかりでしたからイースデン公爵家は低位貴族に恨まれることになるかもしれません」

エルフレッドは父親のイースデン公爵から聞いた話をする。


「だが、代官に横領されていた補助金が正しく使われだしたら、人民の心はイースデン公爵家に向けられるだろう」

「イースデン公爵家ではありません。ナーディアに感謝がむけられるんです。グランデの街の件もそうだ。

圧倒的多数の平民がナーディアを指示するでしょう」

エルフレッドとユークリッドは意見が共通している。


「ところで、ヴィスタル侯爵令嬢ですが、伯父上にお任せしますよ?

僕は婚約者がいますから、疑われるようなことになると困るのです」

王太子の二の舞は御免です、とエルフレッドが言い切る。

選択の余地もなく、ユークリッドが苦笑いをする。

「ご令嬢は苦手だよ」

「伯父上は人間全般がでしょ?」


話がそれました、とエルフレッドがナーディアが描いたダルトン子爵の屋敷の見取り図を出す。

どうしたら、行ったこともない屋敷のことを知っているのだ?

ナーディアが、ダルトン子爵の馬車を追いかけさせた護衛にも話を聞いたが、屋敷の存在を調べるのが精一杯だったと証言している。


ナーディアの言動をイースデン公爵が容認している。

通常ではありえない、何かがある。

その結果としてガナッシュの港街での代官の横領の発覚があるなら、なおさらだ。

エルフレッドとユークリッドは、自分達が大きな変革の中にいるのだと思い、打合せにも熱が入る。



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