表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/39

37 打倒、俺様ナルシスト

読んでくださり、ありがとうございます。

ナーディアの抵抗は、バーミリオンとの婚約を解消しようとした時からすでに始まってます。

アルチュールが自分の部屋に戻ると、残されたのはナーディア。


「アーニデヒルト様」

石に呼びかけると、少し光ってアーニデヒルトが現れた。

『どうしました?』


「悔しいんです。

 どうして、あそこまで言われないといけないんですか?」

あの場で言い返せなかったけど、アルチュールの言葉はきつい。

『アルチュールはきっと、ナーディアが何も言わないから同意していると思ってるわ』


「あんな人と結婚したら一生文句を言われるのよ。お父様には悪いけど、一緒に逃げて」

家に戻ってアルチュールと結婚させられるなら、逃げる。

バーミリオンとの婚約が解消できないなら、逃げようとした時から考えが変わっていない。


『私も話を聞いていて、アルチュールは自分の価値観を押し付け過ぎていると思ったわ。 だからって逃げても捕まると思う』

アーニデヒルトも前世での自分は、夫と話し合いが足りなかったと思っている。すれ違ううちに、夫には愛人ができ、愛人を重用するようになった。

もし、どこかで勇気を出して夫に進言していたら、結果は変わったのかもしれない。

『アルチュールは、何もかも自分の思い通りになってきたのでしょうね。』

侯爵家の嫡男であの美貌だ、子供の頃からちやほやされていたに違いない。


「アルチュール様の鼻をへし折ってさしあげます!」

たしかに、アルチュールの言い分も分かっているが、言い方がある。

まず、自分の思った事を言えるようにならないと。


『それで、何か案はあるの?』

アーニデヒルトに問われて、ナーディアは首を横に振る。

アルチュールは生まれもった美貌だけでなく、努力家で剣技も学業も一流になり、宰相補佐になった人間である。

自分に厳しく、他人にも厳しいのだ。

「私だって、公爵家の教育と王家の教育を受けたわ。武術はできなくても、刺繍やフラワーアレンジならアルチュール様に負けないわ」

淑女教育なら負けない、とナーディアが豪語する。


アーニデヒルトも王妃として最後を遂げたが、ナーディアと似た環境である。

しかも、地位に寄ってくる人間は多くいるが、真の友人はいないという共通点も同じである。

ナーディアはアルチュールの妹イレーヌと友人であったが、ナーディアが気が触れたと噂されると離れていった経緯がある。

アーニデヒルトは夫に裏切られて冤罪をきせられた、ナーディアは婚約者に不貞をされ婚約解消という点も似ている。

アルチュール打破、というキーワードでナーディアとアーニデヒルトの作戦会議という女子会が始まる。

『でも、アルチュールはナーディアを気に入っていると思うのよ』

「アーニデヒルト様、アルチュール様との結婚は確定事項です。あの性格と一生付き合わないといけないんですよ? 矯正が必要です」

うんうん、そうだよね、でしょ、と笑いながら、アルチュール対策を練っていく。

ささやかだけど、偽りなく本音を話せる関係の気安さと安らぎ。


それは、裏切られて長い年月を一人で過ごした悲しみも、ギロチンの恐怖と怒りも、アーニデヒルトの心の中に落ち着かせていく。

許すことはないが、もう戻ることはない過去。


そしてアルチュールに対して特効策はないが自分一人じゃない、アーニデヒルトも一緒だと思うと、ナーディアも声を出す勇気がでるような気がしてきた。

地道に抵抗していこう、と思うのだ。


『そろそろ眠ります』

薄く姿が揺れると、アーニデヒルトの姿は消えてしまった。

ナーディアもあくびをすると、そのままベッドで寝息を立て始めた。

話疲れたアーニデヒルトは夢にも出て来ず、ナーディアの眠りは深く落ちていった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ