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32 アーニデヒルト発現

それは突然だった。

光り輝くように、アーニデヒルトが姿を現したのだ。

「アーニデヒルト様?」

ナーディアが夢で見ていたのは、アーニデヒルト自身の目で見ていたので、姿を見たのは初めてであるが、銀の髪と薄らぐ姿にこの世の力でないと確信する。


「誰?」

横から声がして、部屋の中にはナーディアだけでなく、アルチュールがいるのを忘れていたと思い出した。

それほど、アーニデヒルトの出現は衝撃的だったのだ。


「ナーディア、石を集めてくれてありがとう。おかげで、姿を作れるぐらいの力ができたわ。

そちらはアルチュール・ヴィスタルね?

いつも石の中から見ていたわ」

ナーディアに微笑む様子からは、処刑された時の壮絶さはうかがいしれない。


石と言われて、アルチュールもわかったらしい。

不思議な石だと思っていたが、まさかこんな事が起きるとは想像もしてなかった。

それに、アーニデヒルトは人外の美しさであった。

アルチュールは美しいものが好きなのだが、アーニデヒルトの美しさは、自分より美しいと認めざるを得なかった。

「負けた・・・」

アーニデヒルトに対して、アルチュールの初めての言葉がコレである。

すぐに失言したと気づいたらしい。

「失礼いたしました、美しい方。

はい、僕がアルチュール・ヴィスタルです」


アルチュールはアーニデヒルトに挨拶をしてから、ナーディアを見た。

「ナーディア嬢は、だから石を集めていたんだね?」


「いえ、お姿を現したのは初めてで」

夢で見ていたと説明するには、どう説明したらいいかわからず、ナーディアは首を横に振る。


「私は身体が砕け散ってから、長い年月を経て力が戻ってきたのでたくさんの人間に声かけたけど、応えてくれたのはナーディアだけだったわ」

アーニデヒルトの言う事はナーディアにはわかるが、夢を知らないアルチュールに説明が必要かと、ナーディアが補助をする。

「アーニデヒルト様は、他の世界から来られた時に力を使い果たして、あの河原で身体が砕け散ったそうなの」


「なるほど」

他の世界からと聞いて、アルチュールもこの異常な状態を理解する。


「そう、元の世界で死にかけた状態で覚醒して、呪いに力を使ったから、ココに来るのが精一杯だった」

悲しげな表情でアーニデヒルトは言う。


『この地の祝福は消えた。空が晴れる事はない。雨が降ることもない。大地がこの国を呪うだろう。 お前達が逃げた地を、呪いが追うだろう。 私を(おとし)め、お前達を助けた者も(むく)いを受けるがいい』

ナーディアの頭に浮かんだのは、夢の中の言葉。

アーニデヒルトは、この言葉を実行する力があるということなのか。あまりに巨大な呪いに、ナーディアは身震いする。


「さて、お前達の話を聞いていた。

私も横領の冤罪をかけられてな、それに気が付いた者が罪を(かぶ)せられるとは腹立たしい。他にも罪は捏造されたが、許せるはずもない」

アーニデヒルトからゾットする冷気が漂う。

「裏帳簿が証拠になるであろう、隠し場所はわかるが、今の私の力では現物に触れる事はできない。もっと石が集まれば、可能だろうけど」


「アーニデヒルト様、砕け散った全ての石を集めるのは、到底無理だと」

ナーディアは、アーニデヒルトの巨大な竜体の全て集めるのは不可能だと思う。


「全てではない、ナーディアに集めてもらうのは、私の身体の核の部分だけよ。

それが集まれば、力を復活させられる」

アーニデヒルトは拳を握って、これぐらいと見せる。

「それで、話がもどるけど、裏帳簿の隠し場所を教えるから、貴方達、盗みなさい」


「えええ!?」

ナーディアとアルチュールの声が重なった。


読んでくださり、ありがとうございました。

やっと、アーニデヒルトを出せました。

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