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115 バーミリオンとゾーテック

「楽しそうですね」

バーミリオンを治療しているゾーテック・ホフマンが声をかける。

デセウスの医療班も、ケガ人の治療が追い付かない状態である。


「ああ、手ごたえがあった。あんな男と思わなかった」

バーミリオンは傷のない利き腕で握りこぶしをつくる。


「僕も近くで見てました。もっと優男のイメージでしたが、剣の腕はなかなかでした」

ゾ―テックも同じことを思っていたらしい。

バーミリオンも傷は多い。アルチュールと互角の戦いをしたからだ。

「こんな戦場ではない違う所で、お会いしたかったですね」


「それは、無理だな。僕達は相容(あいい)れない」

バーミリオンの横顔は、かつて女性を侍らしていた頃とは違う。


(うめ)き声に周りを見ると、ベッドに寝かせきれない数の兵士達。

戦争という現実を直視して、王の在り方を考えている。


新しい武器を揃えても、人心が付いて来ているか?

その武器は、アトラス王家の資金を偽造紙幣と代えて持ち出したものだ。

アトラス王国王妃という協力者がいたから出来たのであるが。


戦場で最前線に立つのは平民の兵士達だ。

バーミリオンは自国も平民を大事にする国ではなかったが、この惨状を見ると考えさせられる。

バーミリオンは前線にでたから知ったが、王族や貴族は後方で痛みをしらず命令をだすのみだ。


「僕は逃げてばかりだな」

婚約者がありながら女性との遊行にふけり婚約解消も当然なのに、ナーディアに側に居て欲しいと願っている。

トレファン侯爵達が王位譲渡を叫んだ時も、一番に逃げ出した。

デセウス王家が偽造紙幣を作らせて、アトラス王家の私財とすり替えたと思っていても追及をしない。

「とんだ腰抜けだ」


「殿下」

ゾーテックが包帯を巻く手が止まる。

「それで、どうされたいのですか?」


バーミリオンは首を横に振る。

「わからない、やっと気づいた。

このまま戦争を続ける必要がないが、止める手立てがない。

僕は無力だ」


「遅いですが、遅すぎることはないと思います」


「あの時、お前だけが僕が女性と懇意にするのを止めた。今になって、それがどれほど重要かわかる」

バーミリオンは、頭を下げた。


「お供しますから、現状を打破しましょう」

「そうだな」

バーミリオンもナーディアの心がすでにないのを分かってはいるが、諦められない。

ゾーテックの言う通り、遅かったのだろう。

だが、この戦争は手遅れではない。

これから急激に死傷者が増える。その前になんとかしたい。



読んでくださり、ありがとうございました。

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