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111  国の方向



ユークリッドの戴冠式を中心に予定が作られ、新体制の下で王宮の機能が働き始めた。


新体制が順調に進んでいるのは、いくつかの要因がある。


王都の騒動は、犯人の検挙と軍の警備強化で落ち着きを取り戻していた。

何より、ユークリッドの頭上に竜が出現したのを、多くの人間が見たことが大きかった。

王太子バーミリオンが行方不明であるものの、王が大人しく軟禁されていることも大きい。

元々、高位貴族の力が強く、要職は王家の影響が少なかった。

幽閉されている王妃の実家である隣国デセウス王国からの横やりが入ってこない。

王太子とイースデン公爵令嬢との婚約解消後すぐにイースデン公爵を中心にしたクーデターの準備が始まって、新体制の骨組みが作られていた。

一番大きいのは新しい王を、ユークリッド・トレファン侯爵が受託したことである。


長年、王の側で王の采配の調整をしてきた宰相は、不安材料の懸念もしていた。

その最たるものが、行方不明の王太子バーミリオンである。




バーミリオンは自国から逃走して、母の祖国であるデセウス王国に来ていた。

アトラス王国に比べ小国である国だが、軍が強化されていることに驚きを隠せない。

この国の規模で、これだけの武器を揃えるのは容易であない。

「ここか」

思わず声がでてしまい、バーミリオンは舌打ちをした。

偽造紙幣製造と補助金横領、両方に母が関わっていると知った時に、薄々に感じていた事が現実になっていた。

偽造紙幣と交換した王家の私財は、デセウス王家に渡り、武器購入に使われていた。


「バーミリオン、ここにいたの?」

声をかけてきたのは、シェラビー・デセウス。

バーミリオンの従妹であり、デセウス王国の第1王女である。


「ああ、探したのかい?」

バーミリオンは笑みを浮かべると、シェラビーの手を取った。

王女には婚約者が入るが、まだ結婚しているわけではない。

この国で権力を得るために、バーミリオンは王女に目を付けたのだ。


デセウス王は強欲である。

軍を強化しているのには、野心があるのだろう。

『王国奪還のために、アトラス王国王太子が旗を挙げた』

バーミリオンがいれば、堂々とアトラス王国に進軍できる。

だが、バーミリオンには軍の強化だけでは不可能だと思っている。トレファン侯爵の頭上に現れた竜。

あの姿が、頭から離れない。

デセウスでの発言力の強化と、軍の統括権。

その為に、バーミリオンにはシェラビーが必要なのだ。


そして、自分から国をとりあげた貴族達の顔を思い浮べると、激しい怒りが湧いてくる。

勝利したあかつきには、ナーディアを献上させよう。そして、ナーディアの婚約者は戦争で殺そう。


「バーミリオン、考え事?」

シェラビーが首をかしげて、バーミリオンをうかがう。

「ええ、いろいろ考える事が多くて。

シェラビーのことも考えてましたよ」

ぼかして答えれば、シェラビーは都合のよいようにとって頬を染める。


バーミリオンがエスコートするシェラビーの腰に腕を回しても、シェラビーから抵抗はない。




読んでくださり、ありがとうございました。

バーミリオンがきな臭くなってきました。

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