8.オープン ザ ドア
――――数日後、ギルド前。
「こごが、ギルドという名のハロワ……」
オレはギルド前にいた。
「おにいちゃん、本当に一人で大丈夫ー?」
「大丈夫だって。余裕余裕」
―――― 遡ること今朝のこと。
オレは数十年ぶり(前世を含めて)にワクワクしてる気がする。
ふふ、このオレのユニークスキル【ジンクス】。
カッコイイカッコいいかっこよー!ベッドでのたうつ。
さて、数日の検証で仕様はなんとなくわかった。室内ではもう十分。非常に実際に実戦検証してみたいぞ。
これだ。この勢いで、検証ついでにクエストに行くんだオレ。いやもう、こんな気持ちは数十年に一度、今を逃すと、二度とやらない自信しかない!勢いに乗れ!
ドタドタドタ バン!
「リアーー!」
リアの部屋を開ける。ノック忘れた。
「おお!? どうしたの?」
お約束の着替え中である。
「あ、ごめん!」
バタン!ドアを急いで閉める。
…………ガチャ
「や、別にそのまま入ってきて良いんだけどな」
着替えを済ましたリア。どうやら、むしろ意識されて少し照れ気味であった。
「それで、どったの?」
髪をとかしながら話す。
「うむ。リア、オレを」
「んん?……ゴクリ」
「この家から追放してくれないか?強制的に。今すぐ」
「何がどうした自宅警備員よ……」
―――― 現在。
こうして、なんとか運命(習慣)に逆らうかのような重いオレの体を、無理に引っ張って貰って、ここまできた。まさか自主的(?)にハロワに来ようとは。
「じゃあ……だいぶ色々不安しかないけど、私は大学だから、何かあったらスマホで連絡してね」
「うん、任せろ。不安しかないその気持ちはわかる。しかし大丈夫、オレには幸運があるから、ふふ」
「(運任せなのがさらに不安さを増してるんだけど!(ガビーン)でも、楽しそうだな)……ユニークスキル、過信禁物って女神様も言ってたから気をつけてね」
「だーいじょうぶだって。ささ、いってら〜」
リアは心配そうに去っていった。
さて……………………。
う…………いざ入ろうとすると怖いな。一瞬、帰ろうかと思ったが、リアに頼んでここまで連れて貰ったのだ。リアを守るため。リアを守るため。リアを守るため。そう自己暗示強めで、ギルドのドアを開けることが出来た。
ガチャ……。