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異世界転移の……説明なし!  作者: サイカ


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 日曜日。ジェイドは帰ってきているかな……


帰って来ていたとしても疲れきって眠っているかもしれない。


昨日のジェイドがしていた仕事を思い出す。


私が訪ねていったら寝ているところを起こされてしまうかもしれない。


忍び込もう。いや、言い方を変えよう。


こっそり会いに行こう……もし寝ていたら夜にでももう一度行ってみることにしよう。


お昼過ぎに結界を張り空から教会へ向かう。


教会に来るたびに一応試してみてはいるのだけれど、今日もやってみようか。



神様……………………



返事なし。


とはいえ最近は質問攻めではなく日常の報告、主に動物達の可愛い様子を報告している。


もし神様が創ったのだとしたら……グッジョブです。とお伝えしておこう。


あと一応まだ期待しています。私がこちらに来た事には意味がある……と。

無くても怒らないから1回出てきてみて欲しい。怒らないから。


よろしくお願いします。と、神様との一方的なお喋りを終えてジェイドの元へ向かう。


帰って来ているのか部屋がどこなのかもわからないけれど……


子供達が集まって遊んでいる所に行ってみる。

みんなの笑い声と楽しそうに走り回っている様子を見ていると、昨日お城で聞いた話が信じられなくなる。


ここにはいない。


やっぱり寝ているのかな……


建物をグルリと回り開いている窓から中を覗きながら移動する。


いた。眠っている。


そっと部屋の中へ入りベッドに近づく。


ジェイド…………ボロボロになっている。


手はマメがつぶれて痛々しい……肩も重い石や土をあの天秤棒で何度も何度も担いだから擦りむけてアザにもなっている。きっと他のところも……


ヒール……


そっと頭を撫でると手を捕まれた。


起きたのかと思ったけれど目はつぶったまま。寝ぼけているのかな。手を布団の中に入れてあげようとしたら


「誰……?」


覚醒しかけているのか目はまだ開いていない。


急いで結界を解いておく。


「こんにちは、ジェイド」


そっと話すとジェイドが目を開ける。私を見つめて


「お菓子のお姉さん……?」


覚え方…………


「そうだよ、トウカだよ」


するとジェイドがフワリと笑い


「本当に来た」


といった。


? 私が来ることを知っていたの?


ジェイドが起き上がり自分の手や身体を確認している。


「治ってる……いつもは治るのに5日はかかるのに」


ということは傷が治ったとたんまたあそこでボロボロになって帰って来るの?


「大丈夫だから……泣かないで」


泣きそうな顔をしていたみたい。


ふぅ……ジェイドが頑張っているのに私が泣いてはいけない。


「私が来ること、わかっていたの?」


「うん。ノクト殿下とオリバー様がきっと来るだろうって」


エスパーか。


「お二人もここに来たんだね」


「うん。もう少しだけ頑張ってくれって、終わりは見えているからって言ってた」


だから俺、頑張れる。と微笑む彼は以前ビリーとバリーと話していた時のように絶望はしていなかった。


ノクトとオリバーが来てくれていた事が嬉しい。


そっか……と微笑むと彼も頷く。


「ジェイドはあの洞窟が何のために掘られているのか知っているの?」


「戦争だよ。彼らは戦争を起こそうとしている。もうすぐ全てのトンネルが繋がるんだよ」


「彼らって?」


「国境の街に送られた元貴族だよ。この計画は彼らの間で何年も受け継がれて進められてきたんだ。その間に彼らの数も増えていって……ここ数年でだいぶ進んだと思う」


昨日お城で聞いた話と合っている。



「彼らはリアザイアを攻めようとしているの?」


「両方だよ。リアザイアもザイダイバも。トンネルが繋がればそれが可能だって彼らが言ってた」


「前にここでジェイドが話をしていたビリーとバリーは何をしているの?」


「彼らは……お姉さんはいつ見たの?」


ハッ……! 忘れてた飛んでる時に見たこと。


「たまたま? 通りかかったみたいな……?」


「……ふぅん……彼らはリアザイアの元貴族でこの国から逃げてザイダイバに住んでいるから滅多にこちらには来ないけれど、来た時は作業の進み具合をみているよ」



「ジェイドはこの事どうして知ったの?」


「っ……それは……たまたま彼らが話しているのを聞いちゃったんだ」


? どこか痛いのかな……一瞬言葉に詰まったような……


「何年も……孤児院の子供達も手伝わされているの?」


「うん。孤児院出身で今もトンネルを掘っている人はたくさんいるよ。でもなぜ掘っているのかは知らないと思う」


仕事があるだけ有難いって言ってる。とジェイドが寂しそうに言う。


成人したら孤児院は出ていかなければならなくて……それまでに働き口が見つからないこともある。そんな時はキツイ仕事でもしがみついてやっていかなければ生きていけない……と。


確か孤児院にはジェイドと年の近い女の子もいるはずだ。


「女の子達はどんなお仕事をしているの?」


「仕立て屋さんとかお手伝いさん、食堂や石鹸を作る仕事もあったかな。みんな手がボロボロになって帰って来るよ」


どんな仕事も大変だね……そう言って微笑む彼は最初にあった頃より逞しく感じる。


今度来るときは私特製のムカの葉エキス入りのバリバナ軟膏をたくさん作って持って来よう。



そろそろジェイドには休んでもらわないと。


起こしてごめんね、と言い立ち上がるとジェイドにまた手をつかまれた。


「トーカ……お姉さん、ありがとう」


そう言って手のひらを見せて嬉しそうに笑う。可愛い。


「何のこと?」


とりあえずとぼけておこう。


また来るね、そう言って窓に向かって歩き出したけれど間違いに気付いてドアへ向かう。


ジェイドは何してるの? って顔をしている。


部屋を出る瞬間何か聞こえたような気がしたけれど気のせいかと思った。


誰もいないことを確認して結界を張る。


ジェイドとの会話を思い返しながら山の家に向かっていると何か違和感を感じた。何だろう?


何かが引っ掛かったけれど家の庭に熊さん親子とキツネさん親子、三毛猫さんとココさんまで外に出ていたので思考がそちらに奪われた。



この違和感の正体とジェイドの部屋を出る瞬間、彼が「ごめんなさい」と言っていたという事を私は後に知ることとなる…………



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