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異世界転移の……説明なし!  作者: サイカ


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 まずは浅瀬で髪を洗う。


持っていたヘアブラシで髪をとかす。

トリートメントとかないし髪をとかしながら洗おう。


この葉っぱ中々の泡立ちだ。

水で髪を洗うことなんて滅多にないけど、モコモコの泡と水の組み合わせも気持ちがいい。


髪を洗い流しタオルハンカチを使い身体を洗う。

スリップを着たまま水に入る。

何だかいけないことをしている気分。

お湯ではないけど肩まで浸かる。


ふぅ―――――――――


ようやく一息つけた気がする。

それにしてもキレイな湖だ。少し泳いで見ようかな。


背泳ぎをして空を見上げると……何だか泣けてきた。


見たことのない大きさの月に泡立つ葉っぱ、突然の移動能力に空まで飛べるようになったらしい。


異世界だなぁ……………異世界かぁ…………


この世界で私が知っているのは三毛猫さんだけ。


もとの世界で不幸だったわけでも、事故にあったわけでもない。

仲の良い家族とやりがいのある仕事、彼氏はしばらくいなかったけど幸せだった。



だから………帰れるなら帰りたい………



涙がとまらない。

こっちの世界に来てから涙もろくなった気がする。



ひとしきり泣いて顔を湖で冷やす。

スッキリした。


せっかくだし飛ぶ練習をしてみよう。


肩まで浸かっている水中からでもいけるかな?

イメージしてみると身体が浮上し水上にでる。


スリップが張り付き身体のラインが丸見えだ。

気にしない!まだ薄暗いし居るとしても森の動物だけだ。


フワリと浮いたまま爪先を水に着けて進んでみる。

気分は白鳥だ。


今度はさらに高く浮いて見る。

周りを見渡すと遠くに街のようなものが見える。

さらに奥には大きな………あのお城?

反対側の森を抜けたところにも街のような灯りがちらほらみえる。

まだ早朝にも早い暗さだから、パン屋さんとかかな。


………違う大陸だとかそんな遠くには移動していなかったみたい。


再び湖の真ん中らへんに戻り水面をジャンプしながらクルクルと廻る。

そうしているとスリップもパンツも乾いてきた。

フェイスタオルで拭こうと思ってたけど必要ないみたい。


―――ふと森の方に何かの気配を感じた。



こちらに近づいてくる。

ガサガサと森を抜け、湖に向かい岸のギリギリまで歩いて出てきたのは―――――――



 あの巨大な熊だった。



水に入れないのか岸ギリギリのところでこちらを見ながらうろうろしている。

不思議と最初に出会ったときの恐怖心はない。


ゆっくりと巨大熊の方に近づいていく。

熊さんの目線の高さに浮かぶ。


見つめあう。


やはり瞬間移動の時に感じたあの感情は巨大熊のものだったみたい。


何がそんなに悲しいのか悔しいのか何でそんなに怒っているのかわからない。


私まで感じてしまう程悲しく激しい感情は巨大熊をとても苦しめている気がして、涙が溢れる。


私を追いかけてきてくれたの?


思わず両手で巨大熊の頬を包む。


すると――――


私達の周りを光の粒がキラキラと舞う。

瞬間移動する時と違って何だか暖かい。

一瞬巨大熊が私の知っている熊くらいの大きさになったと思った瞬間…………


光の粒と共に消えた――――



空を見上げると夜明けが近づいているのがわかる。



私は熊さんをどうしたのだろう。

触れた瞬間激しい感情は消えた気がしたけど……


熊さんを救えたと思うのはおこがましいことだろうか。




何だかこの世界で2人目の知り合いを失ってしまった気分だ。

いい出会い方ではなかったけれど命のやり取りをした仲だ。

けれど、熊さんが穏やかに逝けたならそれでいい。



この世界は私の知らないことだらけだけど、私の身体は着々とこの世界に馴染んでいる気がする。


飛び方もだいぶ様になってきたし、何となくあの瞬間移動もコントロールできるような気がしてきた。


また湖面の真ん中まで戻り考えみる。


この世界で私は異質なのだろうか。

魔法はあるということだろうか。

この顔立ちは?

黒髪は珍しくないだろうか。


考えてもわからない。


明るくなったらお城とは反対側にある街に行ってみようかな。

お城では王子っぽい人と目があったから不法侵入とかで指名手配されていたら怖い。


よし。そうしよう。


ピョンピョンと勢い良く岸へ向かう。


向かった先の草むらが揺れる。

水を飲みにきた動物かな。




ん?…………うそ!?



突然の事に驚き慌てる。

現れたのは人間の男性!? 上半身裸の。


こ、言葉は通じる!?


飛んでるの見られてるけど大丈夫!?


そもそもこの人…いい人なの!?


そこまで考えて、ハッとする……


  止まれない!!


ど、どう、どうするんだっけ!?



もぉ―――――――――!!



「避けてぇ――――――――!!」



叫んだものの、彼は避ける事なく両腕を広げて受け止め体勢に入る。


そして――――――


―――――彼は見事に私を受け止めてくれた。





この世界で………


いや、人生で初めてのラッキースケベである。




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