表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移の……説明なし!  作者: サイカ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/251

73


            73




 1週間お休みを頂きました。


お仕事をしているわけではないからお休みと言うのかわからないけれど、少し長めのホームシックも終わったことだし、1人でゆっくりしようと思った。


隣国へと連なる山の上を飛んでみる。豊かな緑に動物達。


高く高く飛んでみる。綺麗な空に広い世界。何だか心がスッキリとして全ての事に感謝したい気持ちになる。


この世界の事を知っていこう。私が生きていくこの世界。



山の上に戻りやっぱり冬は雪が積もったりするのかなぁと考えながら進んで行くと街が見えてきた。


あれが国外追放の境目の街か。行ってみようかと思ったけれど、街に一番近い山の中腹に煙が見えた。


……山火事? 大変だ! 燃え広がったら動物達が! あと街も!


急いで煙の出ている方へ飛んでいく。火は見えないけれど煙が凄い。煙? 湯気? 湯けむりだ……ここって…………


温泉! 見つけちゃいました。


きゃ――――っ!! 温泉!! 天然の!! 嬉しい!!


入るのにちょうど良さそうな所を見つけて周りをキョロキョロ。

人が来ているような雰囲気はないけれど、来ようと思えば街からも来れる場所。でも時間も体力もかけてわざわざ来ない……というか知られていないんじゃないかな? ここ。


秘湯っぽい。私だけの……? いや、私と動物達のかな。


うわぁ! 日本の温泉みたいに整えてみようかとも思ったけれど、自然なこのままの感じもいい!


肩まで浸かれそうな深さがある窪みや半身浴が出来そうな窪み、岩盤浴が出来そうな平な岩なんかもある。


スーパー銭湯かっ!


これは毎日通ってしまいそう。とりあえず足だけ浸けてみる。

気持ちいい…………


後でタオルと着替えと桶もいる……温泉卵も作れる!お酒を持ってきて星空を見ながら湯船で一杯なんて贅沢も出来ちゃう!


夢が広がる……


とりあえず一旦家に戻って三毛猫さんに報告だ!


文字通り飛んで帰り三毛猫さんにダイブッ!

避けずに受け止めてくれる三毛猫さん好きぃっ!


興奮状態の私の頬にピタリと肉球をあてて、落ち着いてと言いたげに私を見ている。


あーでこーでと三毛猫さんに話して誘ってみたけれど、行っておいでというように「ニャー」と鳴かれやっぱり断られた。


その日の夜、着替えとタオルと桶と卵を持って三毛猫さんをナデナデしてから温泉に向かった。


お酒はまた今度にした。


夜、月明かりにてらされた山は静かに見えるけれど夜は夜の息づかいが感じられる。


温泉の湯気が見えてきた。今夜は月も星も綺麗にみえる。


卵は紐で編んだネットに入れて温泉に浸けておく。


山の中、誰もいないとわかっていても外で……しかもこんな広いところで全裸になるなんて恥ずかしい…………とは一瞬も思わず、さっさと全裸になってクリーンで全身キレイだけれど、何となく温泉気分を味わいたいので手順を踏んで身体をパプルの泡で洗う。


髪をまとめ上げてゆっくりと湯船に浸かる。



はぁぁぁ――――――――――・・・・幸せぇ――――



この世界は元いた世界と似ている。こういう小さな幸せを感じることも多いのかもしれないと思うと嬉しくなる。


今度は明るいときにもここに来てみよう。


しっかり温まってから温泉を出てパジャマを着る。服ではなくパジャマを持ってきちゃった。外だからかちょっとだけいけない事をしている気分。


温泉卵も持ってご機嫌で家に帰り三毛猫さんに報告しながらお肌に化粧水をつける。

心なしかスベスベになったような……気のせいでも嬉しくなる。


卵も割ってみたらちゃんと温泉卵になっていた。美味しい。



さてと、しばらく1人でゆっくりとは言ったものの魔法が使えるということもあって家の事は割りと早く片付いてしまう。


だからと言うわけではないけれど、明日からお忍びでお城で働いてみようと思う。メイドさんに紛れて働いていたら魔法は使わないし、またいろいろな話が聞けると思う。


それに一般常識とかメイドとしての働き方も身に付くしいいんじゃないかな。


そして仕事の後の温泉……とお酒。決して気持ちよく温泉に入るためとか仕事終わりの美味しいお酒を飲むためとかではない。たぶん。


三毛猫さんにもその事を話してどうかな? と聞くと賛成してくれたのか「ニャン」と言ってくれた。


身体も温まって髪も乾いたのでベッドに入る。

うとうとしながら明日は早起きをしようと考えていたらいつの間にか眠りについていた。



翌朝気持ちよく目を覚まし朝早くお城へ向かう。

例の備品室みたいな部屋へ行きメイド服を拝借する。


メイド服は白と黒のクラシカルなエプロンドレスに小さめのキャップ。

目と髪の色を明るい茶色にして髪はまとめ上げてキャップを被せる。


今回はだて眼鏡もかけて、より完璧な変装に仕上げた。



ソッと部屋を出て何となく忙しそうなキッチンに行ってみようかと思って歩きだしたけれどキッチンがどこかわからない。とりあえずうろうろする。


するとあのメイド長っぽい人に出くわした。

私に気が付くと近づいて来た。


「おはようございます。私はメイド長のメリッサです」


「おはようございます。メリッサメイド長。私は……」


な、名前……偽名……


「私はノワー………コホン。ノアです」


危ない。行きつけの猫カフェノワールの名前を出すところだった。


アレ?……この世界にはないし別によかったのかも?


それより偽名いろいろ考えていたのに……いきなりきかれたら全部忘れた。


「ノア、よろしくお願いします。早速ですが、一緒に来てください」


「あ、はい! こちらこそよろしくお願いします!」


やっぱりメイド長だった。なんかシャキッとしちゃうんだよね。


「まずはテーブルセットを覚えていただきます。テーブルクロス、ナイフ、フォーク、スプーン、グラス、ナフキン、お花の飾付けです」


「お花は毎朝庭師が摘んできたものを飾付けます。食器やテーブルクロスは……メアリ。こちらへ来てください」


「はい。何でしょうかメイド長」


「メアリ、こちらはノアです。テーブルセットを教えているところです。食器とテーブルクロスのある場所を教えてください」


「はい。かしこまりました」


私をメアリさんに頼んでメリッサメイド長はどこかへ行ってしまった。


「あの、メアリさん。ノアと申します。よろしくお願いします」


「ノアさん。メアリです。こちらこそよろしくね」



そう言って微笑むメアリさんはあの時王妃様のお部屋までご一緒した先輩メイドさんだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ