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ノシュカトがお粥を完食してくれた。
食べさせていた親鳥こと私も大満足。
食欲もあるみたいで良かった。
食器を片付けるため一度部屋を出る。
キッチンでサンドイッチを食べてから、三毛猫さんのお皿もまとめてクリーンをかける。
ノシュカトの右足を確認させてもらおうともう一度部屋へ向かいドアの前に立つと……
…………泣いている…………?
また後で来ようかな。今はゆっくり休んでもらおう。
庭に出てみると、雨が弱くなってきている。
そろそろ止みそう。
ノバルトにノシュカトの意識が戻った事と、右足の状態も確認して知らせないと。
午後お城に行ったら会えるかな?
ノシュカトにもお兄さん達と会った事があると言っておいた方がいいよね。
ご両親にも私の事を知ってもらおうと思う。
ひとまず王族とオリバーだけにしてもらうつもりだけれど……彼らの出方次第ではノシュカトをお城に戻した後にこの国を出て行く事になるかもしれない。
私も覚悟を決めなければ。
午後にお城に向かうとして、私がいない間にノシュカトが外に出てこの家の場所を知られたら困る。
結界の外には出られないようにしておき、周りの景色も見えないようにしておこう。
温室の様子やリライの雫を集めたりと庭仕事をしていたらあっという間にお昼になった。
お昼ご飯は細かく切った野菜とキノコのリゾットと野菜をクタクタに煮込んだスープにしてみる。
ノシュカトの部屋へ行くとすでに起きてベッドから立ち上がっていた。
「立ち上がって大丈夫ですか? 右足はどうですか?」
「トーカ……ありがとう。見てくれ、右足を失う覚悟をしていたが元通りだ。本当にありがとう」
確認するまで怖かっただろうな……
「良かったです。お腹は空いていますか? ご飯を食べるともっと元気になれますよ」
「ありがとう。いい匂いがする。いただくよ」
せっかくベッドから出たのだから街で買った男性用の服に着替えてもらい、ダイニングで一緒に昼食を食べることにした。
「猫? なのか? 珍しい色をしている……」
そうだった。うちの三毛猫さんってばこっちの世界では珍しいんだった。
キツネさん達と三毛猫さんの分も用意してみんなで食べる。
朝は身体が怠いと言っていたけれど、朝食を食べて寝たら良くなったみたい。
向かいあい席に着く。お話は食後にしよう。
食事をしている姿を見るとやっぱり王族なんだなと思う。
平民の服を着ていても隠しきれないロイヤル感……
「トーカ、おいしいです」
ニコリと微笑む天使な王子様。
「ありがとうございます。でもお城のお食事に比べたら………………」
……あ……
お城って言っちゃった。まぁいいか。食後に話すつもりだったし。
「知っていたのですね……僕が城から来た事を」
「……はい。食事が終わったらお話しますね」
コクリと頷き食事を続けるノシュカト。
そういえば……この家で誰かと食事をするのは初めてだ。
何か嬉しくてフフッと笑うと
「どうしました?」
と聞かれてしまった。
「ここで誰かと食事をするのは初めてだから嬉しくて」
「っ…………そうなのか。トーカはここに1人で暮らしているのですか……」
「はい。三毛猫さんと一緒に暮らしています。今はキツネさん達と時々熊さんも来てくれるんですよ」
「そうか……」
ノシュカトはそう言って少し考え込んでからまた食事を始めた。
王族とはこういうものなのかな?
たぶん聞きたい事がたくさんあるはずなのに私が話すまで待ってくれている感じ。
余裕があると言うか王者の貫禄というか……
こちらは物凄く助かるけれど……。
……いや、ノクトは結構聞いてきたかも……
ノシュカトが動けるなら午後一緒にお城に行こうと思う。
急なことで先触れもなく行くのは申し訳ないけれど、ノシュカトの無事も早くお知らせしたい。
お城に皆さん揃っているようならその時に全て……かどうかはわからないけれど、私の事を話そうと思う。
食事が済んだので、リビングに移動してソファーにかけてもらう。
アンミルのハーブティーを2人分入れて持っていく。
一口飲んでお互い落ち着いたところで、さて、どう話そう。
「今日この後お城に行きましょう」
「……城……ですか」
「はい。貴方を送り届けます」
「……しかし弱まったとはいえまだ雨が降っていて危険ではないですか?」
「一度立ち上がっていたたけますか?」
ノシュカトと向かい合う。
右足は大丈夫そう。
「ノシュカト、昨日お兄さんのノバルトとお話をしました。詳しい事はお城に着いてからお話しますが、まずはノシュカトが無事なことをお知らせしないと雨が上がり次第捜索隊が出動してしまいます」
「ノヴァルト兄上に会った事があるのですね」
「はい」
両手を出し、ノシュカトの手を取る。
「私はまだしばらくはこの家の場所を知られたくないのです。その理由の一つが………」
彼はどんな反応をするだろう。怖がられたら嫌だな……
フライで2人とも宙に浮く。
ノシュカトが驚き目を見開く。ゆっくりと着地して彼を見上げる。
ノシュカトは動けなくなっている。
「君は……そうか、どうやって僕をあの穴から連れ出したのかと思っていたが……そうか……」
「驚かせてしまいすみません。結界も張るので雨に濡れることもありません。この力でお城に向かおうと思います。その間……申し訳ありませんが、周りの景色を結界によって見えなくします。大丈夫でしょうか……?」
ハァ…………
ノシュカトがため息を付く。
「すまない。驚き過ぎて言葉も出なかったよ……わかった。この場所を知られたくないのですね。トーカの思うようにしてください。……でもいつかまたここで一緒に食事が出きたら嬉しいです」
そう言って儚く笑うノシュカトに危うくもう一泊していく? と誘いそうになりながらもどうにか頷くだけに留めた私を誰か褒めて欲しい…………




