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異世界転移の……説明なし!  作者: サイカ


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 翌朝……猫にはなれませんでした。ちぇ――


三毛猫さん達とゴロゴロしたりペロペロしたりじゃれあったりニャンニャンしたかったなぁ――――――


気を取り直して髪の毛。

こっちはどうかなと試したら……出来ました。

ショートにも出来るし前髪パッツンも出来る。ちゃんと元の長さに戻すことも出来る。やった!


三毛猫さんにみてもらうと少しだけ驚いていたけれどすぐに毛繕いを始めてしまった。

ココさんは……何故かいつでも走り出せるような体勢をとっている…………


……まぁ家にいる時とか……庭仕事をする時なんかはいいかもね、魔法ですぐ終わっちゃうけれど。


魔法…………これについても思うところはある。


使える魔法をどんどん増やしていきたいとも思ったけれど、便利だからいつの間にか魔法にばかり頼る生活をしてしまう。

だから太っ…………コホン、結局魔法を使わない生活がしたくてメイドとして働いているし。


試しに……使えるようになった魔法の力を使えなくなるようにして欲しいと願ってみたけれど、それは出来なかった。


使えるようになる魔法と願っても使えるようになれない魔法とではどういうルールがあるのかはよく分からないけれど、どちらにしろ私が願い続けると使える魔法はどんどん増えていく。制限もあるのか無いのか……


それが少し怖い。


元の世界では、もし異世界に行けたら――――


とよく考えていた。たくさん読み漁った異世界モノの作者様で神様な方々が考えたワクワクするような魔法。


発動する時の詠唱とか魔方陣。カッコイイ。

無詠唱でいきなり大魔法の発動。カッコイイ。

チートで無敵で無双な主人。カッコイイ。


私もそうなりたい! と異世界に行った自分の姿をアレコレと想像して楽しんでいた。


自分が本当に異世界に来てしまうまでは。


いまだに何の説明も受けずに異世界での生活をしているけれど………………それが不安なんじゃい!!


何か使命があると神様に言われたのならそれに向けて魔法も選べるし頑張れる。

召喚されて聖女だと言うならそれなりに振る舞える……と思うし、力にもなりたいと思う。

(状況によっては力にならないかもしれないけれど)


まぁこの世界で生きていくと決めているから今さらなんだけれど。


要は自分には過ぎた力が怖いのだ。

運動不足も怖いのだ。


人の為と言うよりも自分が便利だと思うことしか考えていない。


私だって人間だ。何の使命も役割もなく使える魔法を増やしていって性格が変わらないとも言いきれない。


そのうち気に入らないことは全て魔法で解決する魔王になってしまうのでは……

そんなパワハラCEOみたいな魔王に異世界でなりたくはない…………


それこそが私の役割だとしたら悲しすぎるぞ……

そしたら勇者が生まれるか召喚されるかして魔法を使える人も出てくるか召喚されるかして聖女も生まれるか召喚されるかして私は倒されるのか……

三毛猫さんだけは助けてもらおう……


この世界は盛り上がるかもしれないけれど私は嫌だ。


そんな思いもあって思い付くままに使える魔法を増やすのはためらわれる。


とはいえ便利だから使うし必要とあらば増やす。

それが三毛猫さんと動物達の為にもなればいいかな。とりあえずは。


そんな事を考えながらも仕事をこなすと、今日は早めに上がらせてもらえた。

だから街に三毛猫さんとココさんのリボンを買いに行こうと思った。


せっかくザイダイバにいるのだからザイダイバの街へ買い物に出る。


可愛い雑貨屋さんを見つけては入ってみたりしてブラブラと歩いて噴水のある広場へいくと、前に来た時と同じように手作りの小さな花束を売る子供達がいる。


その中に敷物を敷いて小さなお店を開いている子供達もいた。

お店にはたぶん子供達が刺繍を施したハンカチや竹のようなものを編んで作った様々な大きさのカゴなどが並んでいる。

その中に手作りのリボンもあった。


シンプルなリボンやフリルのリボン、3色のリボンを編み込んだものもある。


「こんにちは、これはあなた達が作ったの?」


「こんにちは、お姉さん。そうだよ、私たち孤児院の子供が協力して作ったの」


ちゃんと挨拶が出来るコは好きだぞ。


周りを見ると離れたところでシスターらしき女性が子供達を見守っている。


お店のコに視線を戻し


「そっか、どれも素敵だね」


「これとこれは私が作ったの!」


少し得意気に教えてくれた彼女の名前はタニア、12才だそう。


孤児院にいる間に色々なものをたくさん作っていたら将来何かの役に立つかもしれないし、雑貨屋さんも開けるかもしれないわ、と目をキラキラさせて語ってくれた。


夢を持っていて素敵なコだな。


私はリボンを彼女のお店で買うことに決めてタニアにも選ぶのを手伝ってもらった。


結局リボンは10本全種類全色を選んでリボンを入れるカゴも買うことにした。


それからハンカチ! 子供達が自由な発想で選んだ糸で刺繍されたものの中になんと三毛猫さんがあった!


「そんなネコちゃんがいたらステキだなって思ったの」


エヘヘと少し照れながら話すタニアの発想こそ素敵だ。


もちろん買いますとも。

ココさん色の猫さんが刺繍されたハンカチと一緒に。


そしてそんなステキなネコちゃんはいるのですよ。

と言いたいけれど三毛猫さんにちゃんと伝えておくからね、と心の中で話しつつお金を払い商品を受けとる。


「ありがとう。とても素敵な買い物ができて嬉しい」


「こちらこそ、たくさん買ってくれてありがとう」


バイバイと手を振りその場を後にする。


山の家に帰りみんなでご飯を食べて温泉も済ませてから三毛猫さんとココさんに買ってきたものを広げて見せる。


タニアっていうコが噴水の広場でお店を開いていてね……と話している間三毛猫さんはじっと聞いていてくれてココさんは買ってきたものに興味津々な様子。


まずはリボンを選んでもらおう。


並べたリボンに鼻先を近づけたり肉球で触ったりしている。


ココさんは真っ白な毛並みによく似合うライトグリーンとピンクと水色の3色のリボンを編み込んだものを選んだみたい。


三毛猫さんはシンプルな……森みたいな深い緑色のリボンを選んだ。シブイな。


今回はこのリボンを夜会につけていこうね、ヨシヨシと三毛猫さんとココさんをナデナデ。


これで三毛猫さんとココさんの夜会の準備も大丈夫。


それからハンカチ! ハンカチの隅に小さいけれどネコさんの刺繍がしてある。


みてみて! と三毛猫さんとココさんに見せる。


三毛猫さんはこの世界にはいない三毛柄のネコさんだからこの色合いで想像できたタニアはやっぱり凄いと思う。


ハンカチの刺繍をじっと見つめてタシッと肉球で触って見ている三毛猫さん。

それから私の方を見て「ニャ――」と鳴くとゴロンとハンカチの上に身体をのせてゴロゴロと自分の匂いをつけているよう。


ウンウン三毛猫さんのだからね。気に入ってくれたみたいで私も嬉しい。


ココさんもそれを見て同じ様にハンカチにゴロゴロしている。夜会でシュゼット様に会ったらこのハンカチを渡しておこう。


ヨシヨシと撫でてそんなに気に入ったのならといつも寝ているキャットタワーのてっぺんにそっとハンカチを置いておく。

今夜はハンカチと一緒に寝てもらおう。


三毛猫さんとココさんにお休みといい灯りを消す。



今夜は私も何だか良い夢がみられそう…………



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