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肌と肌がふれあう。
改めて目の前に男性の胸板があり変に意識してしまい赤面する。
女性とは全然違う……逞しく大きな身体に鼓動が早くなる……
避けてと言ったのに………やっぱり言葉が通じないのかな。
どうやって意志疎通をしようか。
…………と、上半身裸の男性に抱き締められながら安定の現実逃避。責めないで。私だってこの癖直したい。
なぜ動かないのだろうと思っていると、突然彼の大きな手で髪を撫でられる。
ゾクゾクと肌が粟立ち震える。
(っな!? 突然何を!?)
反応してしまった事が恥ずかしく、顔に熱が集中する。
離して欲しくて身をよじるともう一度髪を撫でられてからようやく解放された。
自分の男性への免疫のなさに驚くがそれもそうかと思う。
付き合っていた時期はいろいろ必死でほとんどデートらしいことも出来ないまま終わってしまったのだから。
本当に申し訳ない…………
彼から離れると……全身見えてしまう! 自分の今身につけているものを思いだし、焦る。
とりあえず胸と心許ないスリップの裾を押さえて彼の様子を伺う。
おぉ……何となくわかっていたけどイケメンだ。
服装はともかくこの人も王子っぽい。
異世界は王子しかいないのか……
「あ、あの……………」
話しかけようと試みる……が言葉が通じないんだったぁ。
「あの…………」
どうすればいいか分からなくてこれしか言えなくなってる……
「失礼しました、お怪我はありませんか」
「!…………はい」
喋った……通じるんか――――い!
え? なんで避けてくれなかったの?
「俺は……ノクトと申します。お名前を伺ってもよろしいでしょうか」
流暢に日本語を……違和感しかないけど通じて良かった。
じゃぁなぜ避けなかった。ほんとに。
それにしても……この人いつから見てたの?
私、いろいろやっちゃってる気がする。
とりあえず、お話をしてみよう。
この世界で初めて話す人だ。
ノクトさんか、姓がないのかな。異世界モノだと平民ということが多かったけど…ただ言わなかっただけという可能性もある。
面倒事はごめんだ……ここは私も名前だけ名乗るとしよう。
「ノクト……さん……? 私はトウカと申します。……あの……受け止めて下さってありがとうございます。お怪我はありませんか」
避けてくれれば良かったんだけどね――
でも、一応ラッキースケベの件も含めてお礼を言っておこう。
「トーカさん、ですね。私の事はノクトとお呼びください。怪我はありませんよ」
うっ……いきなり呼び捨てはハードルが高いなぁ。
「………本当にありがとうございました。私の事はトウカとお呼びください。」
これは私も言わないといけない……よね?
「では、トーカ。トーカはどこから来たのですか?
名前も髪の色も顔立ちも服もこの国では見かけないのですが…」
っ…………いきなり呼び捨てできるのか。
「…………………」
……何だか平民ではない気がしてきた。
顔が整っているというのもあるけど……話し方とか佇まいとか……なんというか高貴な感じ? 隠しきれない品みたいな?
やはりあえて姓を名乗らなかった可能性が高い気がする。
答えに困る質問をされてしまった。どうしよう。
でもわかった事もある。
やはり私の容姿はここでは珍しいらしい。
「この国では」ということは、他の国なら似たような顔立ちの人達がいるということかな。
困ったなぁ……言葉がわからない振りはもう出来ない。
「突然上空に現れたように見えたのですが……それから湖の上を浮いていましたがあれはどういう………?」
最初から見られてたぁ――――――っ!!
危なかったっ! 下手なこと言わなくて良かった!
どうする!? どうしよう!?
焦っていると三毛猫さんがこちらへトコトコ……
「三毛猫さん!」
ナイスなタイミングです。三毛猫様。
こちらの世界で何度助けられているか。
元の世界でも私を癒してくれていたし。
抱き上げると辺りが明るくなる。
夜が明ける。
湖も朝露に濡れた草木もキラキラと輝いて綺麗だ。
彼の銀色の髪もキラキラしている。
すると私の周りもキラキラと光の粒が舞い始める。
誰だコントロールできるとか言ったのは。
全くの無意識だ。
三毛猫さんよし! ツタよし!
コントロールはできていないけど今は助かる!
目の前で見られるけど………
あとは変なところじゃありませんように!!
彼も私の様子に気が付く。
「トーカ!! 待て!!」
手を伸ばしてくるが届かないだろう。
「私の事は誰にも言わないでください――――」
言い終わると目の前から彼の姿が消えた。
正確には私があの場から消えたのだけど。
言わないでおいてくれるかなぁ……
何となくだけど……追いかけて……きそう……待てって言ってたし。
良くない。こういう良くない予感は当たりやすいから考えちゃダメだ!
ところで……ここどこかな―――




