109 エイベル コリンヌ
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涙の晩餐会から1週間後、リアザイアとザイダイバの騎士団の合同演習が始まった。
10日間程続けて行われるらしくそのうちの8日間で国境近くのあの街まで行って帰って来るらしい。
「これが第二の引き金になるわ」
そうリアザイアの王妃様が言っていた。
そしてそれは私の知らないところでその通りになっていた…………
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―――― エイベル ――――
息子達を送りだし、ノイガルトと私も動き出した。
向こうが動き出す前に完成したトンネルの内部とそこからこちらの王都へ真っ直ぐに続く道を調べておいた。
トンネルは全てが繋がった時点で何も知らずに掘っていた者達は全員引き上げている。
そして計画を立てた「彼ら」が仕掛けを完成させてその後は少数のみが残っているはず。
思った通りになるのはいつもの事だけれど、そうはなって欲しくなかったわ。
間に合わなかったこともある。そのせいで…………
孤児院のジェイドという少年にも辛い思いをさせてしまったけれど、有益な情報を得られたわ。
ザイダイバにはこちらの2/3の兵を向かわせると言ってあるけれど実際半数は残ってもらっている。それからオリバーの故郷で王都の隣のカーティス領や周辺の領からも兵を動かしてもらっている。
ザイダイバで合同演習が始まりこちらにも動きがあった。
夫のノイガルトが兵達を率いて必要な武器と有効な武器を持って街から洞窟へ真っ直ぐ続く隠された道を使い向かっている。
リアザイアに残った兵の数が少ないと思っている彼らはこちらに対する数を増やしてはいないから心配ないとして……
今日中にこちらのことは片がつく。
長引けばこちらが不利になるからと夫には伝えてある。
彼ならば完璧な作戦を立ててくれるわ。
騎士団の合同演習で国境の街までオリバー達が来た時に合流できるようにトンネルを使ってこちらの兵の半数を向かわせる。それから……
どちらにしろザイダイバの方が苛烈な戦場になるのだからトーカさんにはこちらに戻ってきて欲しいところだけれど……念のための対策もしてあるし息子達が守ると言っていたのだから信じることにしたわ。
まずはこれからの事に集中しましょう。
出来ればザイダイバ側にこちらの状況が伝わる前に動き出したいところだけれど……まずは兵達には城に戻ったらしっかりと休んでもらって今後の作戦の説明をするつもり。
トンネルを移動する時にやって欲しいこと、オリバー達と合流する事、その後の展開。
こちらもタイミングを計らなければ。
皆無事で帰って来られるように……トーカさんの心がなるべく傷つかないように…………
命の危機は彼らの方にこそあるのだから。
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―――― コリンヌ ――――
いよいよだわ。長かった。
長年の計画……計画を立てた最初の世代はもう生きてはいない。始まりは過酷なものだっただろう。
それから少しずつ人も増え計画は賢いもの達により改善されていった。
お金を持ってこちら側に来るものも増え、身分もお金もない無知な平民を使うようになった。
全てはこの時のために。ようやく繋がった。
タイミング良くリアザイアの王子達がザイダイバへ来た。
ゆっくりと気付かれないように私たちも動き出した。
騎士団の合同演習が始まり、この王都から十分離れたところでまずはリアザイアに仕掛ける。
半分以上の兵がザイダイバに来ているはずだからリアザイアを落とすのは簡単でしょう。
王妃の先読みの力を恐れていた者もいたけれど、ここまで気が付かれずに進められたのだから大したことはないのだわ。
この後の事を考えるとゾクゾクする。
あの人達を降伏させてからどうしよう? 牢にでも入れておこうか?
自分の命が危険に晒された時、いつも澄ましている彼らは命乞いをするのかしら。
今はまず作戦通りに進むように考えなければ…………
晩餐会に出席していた留学生……ノーマ・クロエルだったかしら……彼女が死んだら問題になる……? それとも助けたと言い恩を売った方がいいかしら。
どこの国からの留学生か聞いていなかった。
面倒だから戦場のどさくさに紛れて行方不明になったといい他国に売り飛ばすのがいいかもしれない。
美しい娘だったから高く売れそうだ。戦後はお金がいくらあってもいい。
それならば彼女以外にも売れそうな娘を見繕っておこう。シュゼットはかなりの高値がつくでしょうから傷が付かないようにしなくては。
ティナも可愛らしい顔にいかにもわがままな貴族令嬢という感じ。扱いやすいから近くに置いてもいいかも知れないけれど…………まぁまぁな値はつくかしら。
フフフッまるで娼館の女将になったみたいだわ。
私のように今までの生活が一変する苦しみをこれから彼女達は味わうのね。
可哀想に……きっと私よりももっと悲惨な生活が待っているわ…………




