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52 メガネ

「え? じゃあゼニーヌは魔女だったの?」

「ええ」

「それでブライスが怪しいからラウに力を借りに来たんだ。そこはまず僕のところに来るべきでしょう」

「貴方がどこにいるか分からなかったんですよ」


 ピピナの気紛れぶりは理解しているが、城にもどってきた最初の日くらいは大人しくしていて欲しかった。


「アイスには声をかけたのか?」

「いえ。……かけた方がいいと思いますか?」

「不要だ」

「相手は貴方と同じ守護剣ですよ?」

「それがどうした」


 ラウの全身から闘気が立ち上る。確かに彼とピピナがいれば、ブライス、それに万が一アイスが敵であったとしても簡単には遅れを取らないだろう。


「王妃のメディカルチェックは丁度今くらいに行われているはずだ」


 それだけ言ってラウはさっさと行ってしまう。


「リーナ、本当にアイスさんに相談しなくて大丈夫なのかい?」


 ラーズが幼馴染としてすっかり砕けた調子で聞いてくる。


「ラウさんも大丈夫だと言ってますし、私も戦力的に問題ないと考えています。ラーズは何がそんなに気がかかりなんですか?」

「気がかりというか。僕は君のことが心配で……」

「ありがとうございます。ですが自分の身は自分で守れますので」

「リーナ、僕はーー」

「話は後です。急ぎましょう」


 何か言いたげなラーズの言葉を遮ってラウの後を追う。脳裏をよぎるのはラーズを怪しいと言ったマーガレットの言葉。アイスに助力を求めなかったのは果たしてアイス本人を疑ったからなのか、それともラーズに不信を抱いているからなのか。自分でもよく分からなかった。


「リーナ? 何、ボケっとしてるの?」


 お母様の部屋。その前でピピナが首を傾げた。


「……すみません。中の様子は?」

「あれ見て」


 記憶にあるのと変わらぬ部屋の扉には、しかし記憶にはない大量の術式が施されていた。


「王妃様を守る為のものだろうけど、あれじゃあ外から中をこっそり覗くのは無理そう。どうする? 強行突破しちゃう?」

「もしも本当にブライス卿がお母様によからぬことをしているのであれば、現行犯で捕らえたいところですが……」


 この術式を突破して中を見るのは私たちでは難しそうだ。


「一度戻ってフローナを呼んできましょう。ラウさん。すみませんが、見張っていてもらえますか」

「これを使え」


 ラウは懐からメガネの形をした魔法具を取り出した。


「これは?」

「『千里の瞳』。効果は透視と千里眼だ。これなら術式を透過して中を覗けるだろう」

「ちょっとなんでそんなものを持っているのさ。ハッ!? ま、まさかそれで僕達のあられもない姿を?」

「王宮警護に使えるからと、守護剣は全員渡されている」


 疑うような半目を向けるピピナに対してラウは表情一つかえない。


「ありがとうございます。それでは……」


 ひとまず私はその魔法具を使ってみることに。メガネをかけた途端、目の前の壁がぼやけて向こうの映像がーー


「なっ!? こ、これは?」

「ん? どうしたの? ねぇ、リーナってば。…………もう。ちょっと借りるよ。一体何が……って!? うわぁ、これマジ?」


 部屋の中で行われていたおぞましき行為。かつてない怒りがマグマのように込み上げてきた。


「ピピナ!!」

「オッケー。うらぁ!!」


 ピピナの一撃が魔術で閉ざされた扉を粉々に粉砕する。私は剣を抜き放った。


「ブライス卿。覚悟!!」


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