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46 呪いの短剣

「ぐ、グソぉおお!! こ、この私を切ったな。よくも、よぐもぉおおお!!」


 鮮血を撒き散らしながら床を転がり回るゼニーヌ。鬼のようなその形相には気弱を演じてた時の面影はカケラも残っていない。


 右の肩から入って左の腰まで真っ二つにしたつもりだったが、直前で上手いこと回避された。だがあの傷ならばもう戦えないだろう。それよりも今はーー


「ラーズ、大丈夫ですか?」

「は、はい。平気です」

「動かないで。ジッとしていなさい」


 心臓を一突き。ラーズが普通に話せていることが不思議なくらいだ。


「今すぐ治療師を呼んできます。それまで気をしっかりーー」

「い、いえ。本当になんともないんです」

「いいから。動いてはダメです」


 短剣を今抜くのはどう見てもまずいので、ひとまず動かないよう固定だけでもしようとナイフに触れる。途端ーー


 パキン!!


「ぐわっ!?」

「ラーズ!?」


 不吉な音と同時にラーズに突き刺さっていたナイフ、その刀身が消えた。落ちた柄が床を叩く中、ラーズの全身を呪力が駆け回る。


「これは……ラーズに一体何をしたんですか?」


 ゼニーヌへと剣の切先を向ける。


「キヒヒ。知りたいか? 知りたいだろ? なら私のあそこを舐めな、クソビッーー」

「答えなさい」


 魔女の肩を剣で刺し貫いた。


「ぎゃあああああ!? ぐ、グゾォおお。こ、この野蛮な血め! 蛮族の王めぇええ!!」

「たとえ蛮族であっても、悪魔に魂を売って人類を裏切るよりは何倍もマシです。そんなことよりも早く質問に答えなさい」


 肩の次は太ももを刺す。そして刃を動かして傷口を抉った。


「ぐがぁああああ。わ、分かった。呪いだ。それは呪いの短剣なんだよぉおお!!」

「呪い? どんな呪いですか?」

「ギシシ。それはな、術者の体液を一定期間摂取しないと死んでしまう、そんな呪いだよ。それでお姫様を私の性奴隷にしてやるつもりだったのさ」


 見かけは変わっていないのに、正体を表したゼニーヌは随分と老け込んで見えた。


「彼女のような奴が、まさか王妃の従者をやっていたなんてね」

「フローナ。大丈夫ですか?」


 捕まっていたのだろう。フローナは一糸纏わぬ姿で頰に張り付いた己の髪を払った。


「ええ。不意をつかれたわ。これがなかったら危なかった」


 白い五指が下腹部で輝く紋章を撫でる。


「ピピナは?」

「話に飽きて途中で出て行ったわ。その後に襲われて……」

「全くあの子は、いえ、彼女の立場なら仕方ないかもしれませんね」


 部屋にいなかったことを考えると、ひょっとしたら城を抜け出して街に繰り出しているのかもしれない。どうにかしてピピナを呼び戻せないものかと考えているとーー


「ぐぁあああああ!!」


 魔女の呪いにかかったラーズが胸を抑えて苦痛の声をあげた。


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