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27 見回り

「ラーズ。どうしたのですか?」


 廊下に出てきた人物、その表情を見て、ひとまず危険はないと判断する。


「リーナ様、えっとロドが目を覚ましまして……」

「それはいいことなのでは?」


 だがポポトさんがいる部屋の中に怪我人とゼニーヌの二人だけにするのは感心しない。


「何故部屋の外に? 周囲の見回りですか?」

「それもあるのですが、少しの間だけ二人っきりの時間を作ってあげようかと」

「えっと……それはつまり?」


 ラーズは曖昧な笑みを浮かべた。


「あっ、そういうことですか」


 あの二人が恋仲だったとは気が付かなかった。


「はい。ポポトのこともありますし、自分が宿の周囲を見回る間だけですが」

「それなら私も付き合いましょう」


 呪術の触媒は強力なものであればあるほど見る者が見れば一眼でわかる。よって建物全体に呪術が掛けられている可能性は低いが、警戒は必要だろう。


「ピピナ、そういうわけですからちょっと出てきますよ」


 私の声に反応してドアから黒髪ショートカットがひょっこりと現れた。


「ついていかなくて大丈夫?」

「平気です」

「安心してくれ。何かあってもリーナ様は僕が必ず守ってみせる」

「ふーん」


 何故か半目になるピピナ。


「な、何だい?」

「ローズマリーの婚約者だが何だか知らないけど、リーナに手を出したら許さないからね」


 それだけ言ってピピナは頭を引っ込めた。


「まったくあの子は、気にしないでくださいね」

「えっと……は、はい」

「では見回りをしましょうか」


 そうして私はラーズと宿の周りを探索した。


「何だか貴方とこうしていると昔に戻ったようですね」


 昔は城から抜け出して妹のローズマリーを入れた五人でよく遊んだものだ。


「そうですね。あの時からリーナ様は強かったですが、更にお強くなられた」

「王家の者として恥ずかしくない修練を積みましたから。……でもきっと、師に恵まれただけですね」

「確かグロウさんでしたか。そんなに強い方なんですか? 呪術で操られたポポトを無傷で制圧したリーナ様もかなりの腕前だと思うのですが、グロウさんはリーナ様以上の実力者なのでしょうか?」

「冒険者としての強さは一対一の力比べだけではありません。彼の凄いところは……」

「凄いところは?」

「どんなことがあっても決して死ななそうなところですね」


 落とし穴に落ちても、魔物に丸呑みにされても、毒で心臓が止まりかけても次の日にはケロリとしている彼の姿を思い出すと、つい口元が緩んでしまう。


 そこでふと、ラーズの視線に気が付いた。


「な、何ですか?」

「……リーナ様はグロウさんをお慕いしているのですか?」


 真剣な彼の表情にドキリとする。


「好きとか……尊敬はしていますが、その、それだけです」


 あの夜のひと時も、単に契約を履行したに過ぎない。これからのことを考えると、そう思っていた方がいいのだ。


「そうですか。僕は……いえ、自分はリーナ様のことをお慕いしております」

「ラーズ!?」

「それだけは伝えておきたかったんです。……戻りましょう」


 返事も聞かずに私に背を向けるラーズ。私は何と言って良いのか分からず、ただ無性にグロウさんに会いたくなった。


 彼は今、何をしているのだろうか。

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