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14 お仕置き

「それでご主人様は今日どうされるでありますか?」


 出てきた料理は思った以上に普通だった。普通すぎてこれならもう少し気をてらってくれた方が良かったとか考えてしまう程だ。


「そうだな……なんかギルドの連中がやたらと薬草採取を推してくるから、しばらくは草集めをすることにする。ご馳走さん」

「自分の料理はどうでありましたか?」

「……普通だった」


 それ以上のコメントは控えてソファに移動すると、俺は昨日ラーミアに買わせた本の一つを手に取った。


「しかしご主人様が薬草採取でありますか? ご主人様ならそんなことしなくても、ランクの高い魔物を狩ってすぐにSランクの冒険者になれるであります」

「ん~? ……別に冒険者ランクなんて興味ないからな」


 ページを捲る。内容は料理についてだ。適当な素材を糖や油まみれにしただけの物体。その内こういうのを見て食べてみたいとか心から思えるようになるのだろうか?


「そ、そうでありますか。……あの、質問してもよろしいでありますか?」

「いいぞ」

「ご主人様は現在、どこかの国に所属していたりするのでありますか?」

「昨日答えなかったか? フリーだ」

「では剣王国に士官しませんか? ご主人様ならば破格の高待遇を受けられることを約束するであります」

「ん? あ~。却下」

「ど、どうしてでありますか? 金も女も好きなだけ手に入りますよ」

「暫くはフリーの冒険者として活動するって決めたからな。士官したくなったら、その時考える」


 フリーの活動を十年か二十年くらい楽しんだ後でなら、別の活動を考えてもいい。


「そうでありますか」


 肩を落としたメイドは、しかし食器の片付けを始めるでもなく、こちらの顔色を伺っている。俺は本を閉じた。


「何だよ? まだ他に何かあるのか?」

「えっと……その、ご主人様が外出の際に私が自由に行動するのは許されるでありますか?」

「例えば?」

「友人の助太刀に行ったりとか、そんな感じであります」

「まぁ、メイドの仕事に支障をきたさないなら好きにすればいい。ただしもしも仕事を疎かにするようなら」

「な、なら?」


 ゴクリとラーミアが喉を鳴らす。


 罰を与えるとだけ言うつもりだったから、そんな真剣な顔されると困る。何か具体的なことを言わなくてはならない雰囲気ではないか。


 ふと一冊の本が目に入った。


 ありきたりだし、個体によっては罰にならないが、人間の脆さを考えたらこれくらいがちょうどいいか。


「あれと同じことをする」


 男女の性行(それもやや特殊なもの)を題材にした本の表紙には、それにふさわしい内容の絵が描かれていた。


「……それだけでありますか?」

「そうだな。それだけだ」

「了解であります」


 ビシッと敬礼するメイド。その顔はこれくらいで済むなら全然オッケーと物語ってた。


 ……草取りは明日からでいいか。


 そんなわけで俺は、即行で職務を疎かにする気満々なメイドをお仕置きした。

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