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転生先は箱庭ゲーム!? 龍の女帝はただ生きていたい  作者: 光陽亭 暁ユウ
第二部 黄昏の章 ―― 夏秋戦争の幕開け ――
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外伝 ウキウキ☆ドキドキ☆身体測定 中編

 さてさて、わちゃわちゃムードでごった返し状態の身体測定……。

 それもカップサイズや体重の公表など趣味の行為はしないという条件で何とか進み、ケラススの次……アルマに移行していった。


「私は装備などなくて良いのだが」

「まあまあ、あれ……? ええと、身長168の……や、柔らかくてバストが上手く測れない……?」

「言っただろう? 装備などなくて良いんだと」


 しかしアルマは可変式の粘体生物。

 ワルト達のように断り切れずに並んでいたが、そうそうバストサイズなどを測れたものではない。

 粘体故にサイズが不明など未知の感覚にも程があるため、カジは混乱しているようだ。

 その姿を片隅で眺めながら、既に測定の終わったクリムゾンフレア達は一息ついているようだ。


「流石プラケンタ、コーヒーも上手だな」

「えへへ、でしょ?」


 非戦闘要員ゆえ身体測定に参加していなかったプラケンタ。

 彼女のコーヒーに舌鼓を打つケラスス。

 その隣で、クリムゾンフレアはようやく一息つけたと息を吐く。

 今は身体測定用に鎧などを纏っていないだけあって、その豊満な肢体は堂々とさらけ出されている。

 それを見ながらルーヴはふと疑問符を浮かべた。


「そういえばクリム、アンタは卵生なんだよな」

「ん? ああ、そうだが」

「元人間のピーヌスはともかく、なんで純正龍人のアンタもデカいんだ? 使わないだろ?」


 ルーヴの疑問ももっともだろう。

 ユウコと一つになる前から、クリムゾンフレアの胸は大きい。

 というより龍人の女性はみな巨乳だ。

 しかし卵生生物となれば、授乳などは行わない。

 実際龍人もその通りで、そもそも摂食による栄養補給というものを必要としない生物なのだ。

 なのに何故胸が存在するのか、ルーヴは疑問を抱いているらしい。


「ああ、それは……龍人の女は、龍玉に収まりきらない余剰の魔力を胸に溜めるんだ」

「なるほど、だからクリムちゃんの方が私より大きいのね」


 胸の谷間にある龍玉、そこから漏れ出た余剰魔力が豊満な胸になる。

 それ故、龍人の女は巨乳揃い……。

 そういうことならば、納得もいく。

 だが……同時にもう一つ疑問も生じた。


「え……じゃあ、男も巨乳なのか?」

「いや、そうでもないな……男はそんなに大きくない、筋肉はついているからそれで大きくはなっているが……女ほどじゃないな」


 流石に異性の体にはそこまで詳しくないのでうろ覚えだが、クリムゾンフレアはゆっくりとかつてのクリムゾンフレアが持っていた記憶を思い出す。

 確か……男の龍人は余剰魔力が全身に行き渡っていくため、体高といった方向性で反映されていくのだったか。

 若干うろ覚えではあるが、これで間違いはないはずだ。


「余剰魔力ねぇ……ってこたぁ、使えば胸がしぼむってわけか」

「理論的にはそうなるな、もっともここまでの量をしぼむほど使うことはまずないし、そもそも龍玉の魔力が枯渇しないからこそ溢れるのだが」

「なるほど、つまりまだまだ成長するというわけか、ピーヌスからしたらたまらないな」


 ルーヴの下世話な笑みに、ピーヌスは「ちょっと!」と肩を怒らせる。

 だが……こっそりとクリムゾンフレアの胸を見つめると「そりゃ否定できないけど……」と肩を落とした。

 そこへ、アルマがやってくる。


「やっと諦めてくれたか……私もワルト達のように強く断るべきだったな」

「おう、お疲れ! お前さんもするかい? おっぱい談義」

「は?」


 唐突にぶつけられた品のない言葉に、アルマは塩でも投げつけるかのような対応をしてしまう。

 しかし、気を取り直すと咳払いを一つして首をかしげた。


「なんだそれは……」

「龍人の胸の神秘について語ってたんだよ」


 胸の何が神秘なのか、分からんと言わんばかりにアルマは疑問符を浮かべる。

 それも仕方がないだろう普通急に胸の神秘だのと言われても理解できるわけがない。

 ましてやアルマは人間に擬態しているだけで、本来はバストサイズもへったくれもない粘体生物。

 根本的に胸のことは理解できないのだ。


「お、次に移行してる」

「ああ、背の順的には今がソヌスで次がカントゥスか」


 165くらいのソヌスと、163くらいのカントゥス……。

 非戦闘要員ではあるが、彼女達も身体測定に参加している。

 軍楽隊は戦場に出ることになる、そのためある程度の装備は用意しないといけないのだ。

 そこは完全に裏方のプラケンタとはまた違ったポジションだと言えるだろう。

 そんな彼女達を見ながら、ルーヴは目を細めた。


「背丈に対して小さいな、胸」

「鳥人はみんなそうなのさ、卵生で授乳の必要がないってぇのと……あと、飛行時に胸がありゃあ余計な空気抵抗が生まれるからな」

「なるほど、理にかなっているんだな」

 

 空気抵抗を排した流線型ボディ。

 それこそが飛行する種族としてもっとも適した肉体のあり方。

 となれば、もはや賞賛するほかないだろう。

 ブラボー、鳥人族ブラボー!


「そういえば……あたしは人間に詳しくないんだが、ラクエウスの胸が小さいのもそういう理由があるのか?」

「アイツは単純な貧乳だ」


 ソヌスとカントゥスの測定が終わり、次に測定されていたラクエウス。

 15歳、156センチ、そして……バストサイズは……。

 本人の名誉のため、伏せるとしよう。

 何はともあれ彼女の胸は、飢餓による発育不足などもあって大きくない。

 むしろ小さいくらいだ。


「わたくしは! まだ! 15歳! 今後いくらでも発育していきますわよ! ねえ、そこの年齢も体格も私と同じくらいであろうあなた!」

「えっ、私!?」


 唐突に話を振られ、驚愕するルーチェ。

 確かに、175くらいのワルトより頭一つ小さいということは、身長は150くらい……。

 つまりはラクエウスと同じくらいの身長なのだ。

 ついでに、胸も同じくらいである。

 だがルーチェは心底複雑そうに歯がみしている様子。

 その隣でワルトは珍しくコーヒーを噴き出すほど笑っていた。

 それもそうだろう、なんといってもルーチェは25歳、ラクエウスとは実に10歳差だ。

 奴隷時代、山賊時代とろくな栄養を補充しなかったためこの体格だが、年齢差はかなり有るのだ。

 怒れば良いのか、泣けば良いのか、ルーチェは複雑な感情を胸に黙り込む。

 そして……。


「と、とりあえず……栄養をしっかり補給しなさい、良いわね?」

「ええ、分かりましたわ! 一緒に大きくなりましょう!」


 成長期を成長できず過ごした年上としてのアドバイスを送るルーチェに、ラクエウスは同年代だと思い込んだまま笑顔を返す。

 訂正したかったが……その気力もないので、ルーチェは黙り込むのだった。


「ふ……オレもまだまだだな……」

「眼鏡をコーヒーで濡らしながら言ってもカッコつかねぇぞ、剣術馬鹿」


 ケラススに指摘され、ワルトは眼鏡を布で拭う。

 そしてかけ直すと、ゆっくりルーチェを見つめた。

 クリムゾンフレアへの憎悪から、ルーチェはワルト以外と基本的に距離を置きがち。

 そんな彼女が、ああしてラクエウスと接している……。

 無論、あちらから絡んできたという理由もあるのだが、それでも接していることに変わりはないだろう。

 それがワルトには嬉しくて仕方がないのだ。

 憎しみも悲しみも、決して消えはしない。

 それでも新たな関係を築いていくことは出来る。

 少なくとも、ワルトが内心で一番危惧していた事態……。

 いつか憎しみが堪えきれなくなって、壊れてしまった彼女が破滅へ向かう。

 そんな事態だけは決して起こり得ないはず。

 そう信じることが出来るのだ。


「脱貧乳宣言! えい・えい・おー!」

「お、おー……!」


 勢いに流されるルーチェを見ながら、ワルトは静かに微笑む。

 その表情は、人斬りと呼ばれた剣士とは思えないほどの温かな母性に満ちていた。

 そんな彼女に、ケラススは「ゾッコン、ってやつね……」と肩をすくめる。

 そして……ふと、身体測定にクルテルがいないことに気がついた。

 背丈で言えばラクエウスの次が順番なのだが。


(しょうがねえ、探してくるか……ったく、問題児が)


 言葉とは裏腹に、笑みを浮かべながらケラススは立ち上がる。

 ワルトの母性とは対になる、一種の父性とでも言うのだろうか?

 そんな愛情を抱きながら歩くケラスス。

 その表情はどこか優しさに満ちていた。

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