1話 職業選び (1)
是非お楽しみください!
(1)
「ここがいつもアニメとかで見る異世界かぁ!」
そこには商店街のような光景が広がっていた。
街中に響く馬車の音、異世界特有の人種も行き交っている。
「現実は半分死んでたのにやけにテンション高いね、おまけにバカだったくせに」
「それは今関係ないだろ! 後、今日からここが現実なんだから俺の方が知識は上だぞ!」
っとよくわからないマウントを取ってドヤ顔を決めていた。
「キモっ、じゃあなんであの人、耳があんなに横にトンガってるの? キモっ」
「キモっを言葉の間にサンドイッチすんなよ……」
そう言いながらも美月の視線の先を追ってみると、そこには金髪のショートヘアに緑のカチューシャをした美しい女性が歩いている。
「あれは獣耳だな、てことはエルフだ! 色んな人種がある中の一つだよ!」
「そうなんだぁ……」
少し悩ませている表情で、こちらを向かず、美月はエルフのことをずっと遠くから見つめている。
どうやら美月はエルフ自体を始めて見たらしい。
確かに俺も実際見るのは初めてだけど、画面越しにはお世話になってるからなぁ。
べ、別に! 変な意味なんかじゃないんだからね!
「話しかけてみるか?」
「え、そんな、できるの?」
「質問を質問で返すなよ、あと遠回しに悪口言うな」
本当に何も知らないんだな、こいつ。
「ちょ、ちょっと! 待ってよ!」
美月の呼び声などは完全に無視をして俺はエルフの元へ駆け寄る。
「ねぇ、そこのお姉さん。集会所的なところを知らない?」
振り返った時、円な青眼とすっとした鼻、それに何と言ってもこの唇、すごい、なんかすごい! 一言でまとめるとすれば…………無理だ、まとめられん。
「あー、それならそこの角右にをずっと行ったら大きな建物がドン! っと立ってあるからそこが集会所だよ!」
「ありがとう、助かるよ」
感謝の言葉を伝え、その集会所に行くことにした。
「やけに慣れてるねぇ、一回死んだの?」
「アニメでよくあるシーンさ、この世界はあんな感じでフレンドリーで良いんだよ。後、勝手に俺を死なすな!」
「ソンナコトヨリハヤクイコウヨ」
「今行ってる途中だろうが!」
全くこの女、自分勝手にも程があるだろ、さっきの美しいエルフ様を見習えっつうの!
というか、本当に俺はこいつの事を好きだったのだろうか? まあ、この文ならもう好きじゃないみたいだな、でも実を言うと俺は……
「着いたよ!」
あ、空気を読めないのも付け足しておこう。
「すごい! 意外と綺麗な外見なんだねぇ」
そこには真っ白で立派な建物があった。
まるで神殿みたいだ、でもなんか、想像してた物と違う気がするんだが……
「入ってみるか?」
「当たり前だよ! じゃあなんでここまで来たのよ!」
「おお! 気合入ってますね! どうぞお先に!」
「ぐぬぬ……ハメたな……!」
これには返す言葉もないようだ。
仕方なしといった表情で俺を睨めつけた。
「失礼しまーす」
扉を開けるとそこには外見とは全く違い、古くから使われているかのような懐かしさも感じる雰囲気を醸し出している。
何故内装も綺麗にしなかったのだろうか、でも、ゲーマーの俺からすればこの雰囲気は悪くない。
集会所には冒険者のような人が多く、皆杯を交わしていた。
「おー、活気ある若者と美少女の登場だぁ! ハッハッハッ!」
「しっかし見ない顔だねぇ! ハッハッハッ!」
ここは随分小規模な集会所らしい、大規模だったら普通そんなのも分かんねえくらい人がいるもんだ、盛り上がりだけは大規模なくせに。
「ま、まあな。俺らは少し遠くから来た旅人なんだ。よろしく頼むよ」
軽い挨拶を済ませた俺達は、無意識に早足その場から立ち去った。
「ねえ! 何でこんな酒臭い所なんかに来たの! もしかして、晴人の仲間!?」
「いや仲間だったらこんなすぐに逃げたりしねえよ! 流石に手に負えないぞあれは!」
そんな二人にふと、天使の降臨かのような看板の文字が目に止まる。
「あ! あそこ! 受付って書いてあるよ! あのお姉さんに聞いてみようよ!」
そう、集会所にはクエスト受付があるのだ。
まあ、このためにわざわざエルフにまで聴いてここに来たんだ! ここから俺のヒーロー物語が始まるんだな! おさらば過去の自分! こんにちは新しい俺!
「グへへへへへへへへ……」
「なに笑ってんの、速くクエスト行こうよ気持ち悪い」
「ああ、すまん、つい今後の俺の輝かしい未来を思い描いてしまってな」
「ここから待っているのは絶望だよ、勘違いして調子乗らないでよ気持ち悪い」
「もう気持ち悪いにはツッコまんからな! あと笑顔で縁起の悪いこというな!」
「なんだぁ……つまんないなぁ……」
この女は本当に判りやすく不貞腐れる、そんな反応見せたら一部の男子は惚れてしまうぞ。
っと、いつも通りの会話をしながら歩いていたらいつの間にか受付のカウンターまできていた。
「すいません、僕たち遠くから来た旅人なんですが、クエストお願いできます?」
「大丈夫ですよ! でもその前に、ハンター登録をお願いできますか?」
そう言って一つの紙を俺達に見せてきた。
名前を書いて職業を選ぶという、いたってシンプルな内容だった。
「ハルトさんとミヅキさんですね……改名もできるんですがどうします?」
「……僕たちの名前、変ですか?」
「いえいえ! そんなつもりではないんです! でも例えばミヅキさんなら、真ん中を取って……ミ〇キーなんてどうでしょうか」
「いやアウトだろおおおおおおお! 」
何処の夢の国の番人だよ! このお姉さんも転生してきたのか!? そうなのか!?
「良いじゃないですか~、鼠っぽくて可愛らしいですし!」
もう確定だよね! 遂に動物の種類も言っちゃったもんこの人!
「……良いですね! その名前!」
何で納得してんのこいつ! もうこいつって言うよこいつ!
「と、とりあえず職業を先に選ばないか? な?」
なんとか二人を納得させ、職業の項目に目を向ける。
剣士とか魔術師とか定番のもあれば、最近人気らしい盾使いってのも職業候補紙に入ってある。
いろいろ悩んだ末、俺が出した答えは……
ご覧頂きありがとうございます。
アドバイスなどももらえると幸いです。