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幼馴染と剣士生活  作者: 春風ラノ
一章 冒険の始まり
1/3

0話 プロローグ

初投稿となります!春風ラノです!

それでは、まずは0話のプロローグからお楽しみください!

 4月9日誰もが憂鬱と思うであろうこの日。

 高校二年になる始業式なのである。

 俺の名前は晴れの人と書いて晴人はるとという至って普通の名前だ。

 両親が晴れた天気のようにいつも光輝いて情熱的な人になってほしいと名付けられたそうだ。

 その由来とは裏腹に晴れの人ではなく、いつも光をもらっている側で、しかもテレビの光を浴びている俺を申し訳なく思う。


 チリチリチリチリチリチリ


 この音は……毎朝聞く眠気という脅威に立ち向かう時のスタートのコングだ。

 前夜まで絶対に一発で起きると意気込むが何故か朝になると負けてしまう。

 それ故、そのゴングを止めてまた二度寝というのは定番の立ち回りなのである。

「晴人全然起きないわね、晴香はるか、起こしに行ってあげて」

 母の声がうっすらと遠くから聞こえる。

 寝ぼけて頭が空っぽところに妹が部屋に入ってきた。

「晴人起きて!私も忙しいんだけど!」

「もうちょっとだけ……」

 朝から元気な声で起こしてくれる妹がいて羨ましいと思うかもしれない。

 だがこの日ももちろん特有の言い訳で布団から離れる気が無かった。

「早よ起きんかいキモオタ兄貴ィ!」

「グハッ!」

 何故か妹は関西弁でうるさいくらいの声量で俺の太ももを蹴って俺は目が覚めた。

「中々起きないのは悪かったけどさり気なくdisっていくなよ」

 妹とは反対に弱々しい朝のテンションで言葉を発した。

 妹は鼻で笑ってきた。

 絶対小馬鹿にしている。

「良いから早く朝ご飯食べてきたら?」

「へいへい」

 何故こんなにも俺の妹は生意気なんだよ……

 おっとこのままでは義妹との恋愛ラノベみたいな雰囲気になるではないか。

 だがそんなことはない、俺の家は離婚もしていなければ再婚もしていない、安心してほしい、それでは話を戻そう。

 怒る気力もなく、朝食に食パン一枚とヨーグルトを食べる。

 これはごく普通の朝の忙しい時間に最適なメニューだ。

 それから顔を洗っての身支度を済ませて7時20分から録画してあるアニメを1話だけみて線香を上げて登校する、これは俺の朝のルーティーンだ。


「いってくるー」

「いってらっしゃい、気を付けてね」

 学校という監禁所に行く前のいつものような変わらない掛け合いだ。

 まさかこの会話が母との最後になるとは思ってもいなかった。


 この日の天気は快晴、桜が満開に咲き、風が吹き、春だなと感じさせるっという堅苦しい文が脳裏によぎる。

 実に僕は気持ち悪い。

 だから朝から妹にキモオタと言われてしまうのだ。

 せめてキモいはやめてくれよキモいは。

 自分でも分かってる、だけど何故か傷付くんだよな……。

 そんなオタクは特に去年と変わりはないのだが唯一変わるとしたらクラスぐらいだろうか。

 そんなことを考えるが友達少ないし、春休み中ぐーたら生活していた俺には関係ないことなんだよなぁ。

 でもこんな俺にも高校一年から気になる人がいる。

 それが津田美月つだみづきだ。

 小学校からの幼なじみで、唯一女子で話せるのは美月くらいだろう。

 その可愛い姿を見るためだけに登校しているようなもの。

 "普段"は大人しく!美しく!肌が白くて誰もが羨む顔立ちをしている。

 その子を毎日登校中頭で考えてはニヤニヤしている。

少し周囲の痛い目も感じるが、そんな事も気にせず、いつも通り徒歩10分程度の道を進む。

すると、今日は視線の先の交差点に美月がいた。

「おはよう」

 少し勇気を出して落ち着いた雰囲気で僕から話しかけてみた。

 それに気付いた美月が振り向いた

「おはよう、晴人から話しかけてくるなんて珍しいね」

 そう、普段はぼっちの俺を気遣って話しかけてくれていて、俺の学生生活は"まだ"保てている。

 しかし間近で見たらこの可愛さ!

 まじでドキドキするなぁ……。

 非常に短い距離ではあるが二人で登校できるという幸せ! なんということだ!

 っと心の中ではテンション高めだ。

 これはオタク特有のポーカーフェイスというやつだ。

 皆んなも覚えていてほしい。

 誰に話しかけてんだ俺…(今更)

 だが少し歩くと何かを忘れてたかのように慌て始めた。

「あ、そうだ! 今日は朝早くに予定があったんだった、ちょっと急ぐね!」

「了解。また学校でな」

「うん、また学校で!」

 そう言って、美月は走り出した。

 その後ろ姿を見ながら、少しだったけど幸せな時間だったなー、こんなこともあるんだな、たまには運が良いぜ俺‼︎ っと自画自賛していた。

 その運もつかの間、突然美月の右から黒い軽自動車が猛スピードで入ってくる

 ここままでは跳ね飛ばされてしまう。



「危ない!」



 ダッシュで美月の元へ。

 考えるより先に体が動いていた。



「うおおおお!間に合ええええええ!」

 


 バン!



 その瞬間だけ時間がゆっくり動いた感じがした。

 大きな音と悲鳴がほんの少し聞こえるぐらい耳も遠く感じた。



「大丈夫ですか!?」



 誰かが俺に必死で声をかけている。

 車は雑に跳ね飛ばし、晴人の意識は朦朧もしていた。

 ここで"俺の人生は終わる"んだな。

 そう感じた時、誰かの叫び声がどんどんと小さくなり、俺は息を引き取った……



「ここはどこなんだ……」

 辺を見渡すと、薄暗く緑の光が所々照らされた壁のないどんよりとした広い空間だった。

 すると、そこには1人の"女子"が居座っていた。

「あの、ここどこだか分かります?」

 俺は勇気を出して喋りかけてみた。

 それに気付きその人は振り向いた。

 だが、予想外の顔だった。

「なんでお前が……?」

「私もなんでここにいるかわからないんだけど‼︎」

 そこには助けたはずの津田美月が居座っていた。 

 すると、遠くから足音が聞こえてきた。

 誰かが来たようだ。

「異世界空間へようこそ!」

 白と青を基調とした服を纏い、長い赤髪に赤い円な瞳、そしていかにも女神と言わんばかりの魔法の杖のようなものを持っている。

「あんたは誰?」

「私はここの管理人をしている女神、ルビーよ!」

「女神⁉︎ でもなんで俺達が……あ、夢か」

 戸惑いながらも無理に脳を整理しようとする。

 その女神は晴人の戸惑いとは反対に、落ち着いた立ち振る舞いだ。

「夢ではありませんよ?」

「だったら何だって言うんだ」

「普通の人間であれば死んだら記憶も感情もなくなり二度と目を覚ますことはないです、ですが……」

「ですが……?」

「あなたは良い行いをして亡くなられた。つまり、選ばれたのです」

 信じられないような言葉だった。

 とりあえず俺は死んだということなのか……?

「でもなんでその良い行いをして助けたはずの美月がいるんだよ」

「ギクっ」

 女神は痛いところを突かれた時の分かりやすい表情をしている。

「それはそのぉ……」

「なんかあるんじゃねえの?」

「というかまずなんで晴人が偉そうなの!」

 何か裏があるかのように美月は反発した。

「ん? どゆことぉ?」

「女神さん、説明してあげて」

「……わかったわよ」

 そう言うと、事故の時の映像が映し出された。

 まず、美月に向かって車が来る。

 それを助けようと晴人は走って美月を押し出す、その後跳ね飛ばされる。

「ここまでは良かったのよねぇ……プププ」

 ルビーが笑いを堪えている。

 まるで俺を軽蔑するかのように。

 だがここで何か言えばまた笑われるかも知れない、だから話を変えてみよう!

「てか自分の事故現場みるのなんか嫌だな」

「いいから黙って観てなさい!」

「グハッ!」

左足の太ももに蹴りを入れられた。

なんでだよ! こんなにも美月って乱暴だったか⁉︎

そんなに誰かが酷いことしたんだな……

「続けても大丈夫かしら?」

 心配してるか知らないが、ルビーは声を掛けてきたが、そこに間髪入れずに「どぞどぞ」と美月は言った。

 そして一時停止してあった映像はまた動き出す。

 晴人が美月を押し出した直後、美月は立ち上がって歩道に逃げようとする。

 しかし、なんと反対車線からも車がきて美月を跳ね飛ばした‼︎

「そゆことか! まさかの神コンボ!」

「神じゃないわよ! 悪魔だよ!」

 てかどんだけの確率だよ! 

 二台も暴走車とかやばいだろ‼︎

「てか美月、さっき『なんでここにいるか分からなかった』って言ってなかったか……?」

「それは何故あなたに巻き込まれてここにいるのか分からないってことだよ」

 今までにない冷たい目線だ。

 これ以上のものはない。

「でも結局間に合わなかったから巻き込みではなくないか……?」

「押されてなかったら走り抜けれたわよ、こけてないんだから」

 いやいやそれはねぇだろ! お前は陸上世界チャンピオンか何かなのか⁉︎

 それでもあんな暴走車普通反応できねえよ!

 だがここで反論をしたら駄目な気がする。

 女の圧力というやつだ、物凄い狂気を感じる……

 これは少し黙っていた方が良さそうか……?

 でも一つ不可解な点があるんだよな。

「……女神さん、これって俺良い行いしてなくね?」

「だってぇ、てきとーに褒めとけばぁ、異世界で活躍すると思ったもん……」

 てきとーにも程があるだろぉ!

 だが物凄くエロい、こればかりはしょうがない、男の本能だもの。

「可愛いく言えば良いってもんじゃねぇぞおい!」

 思わず反射的に言ってしまった。

「何それ告白ですか?興奮気味に言われても色々キモすぎて無理ですごめんなさい」

「そんなんじゃねえよ!」

「うわぁ、晴人さんキモいわぁ、流石ですわぁ」

 美月までがっつりdisってきてるしなんで勝手に俺振られてんの⁉︎

 俺の事どっちも嫌いすぎだろ!

「まあ、というか誰でも死んだらここに来るんですけどね、プププ!」

 さっきの会話がなかったかのような満面の笑みだ。

 女神はどうやら楽しんでるようだな……

「というか早く異世界に行かせろよ。こんな嘘つきのきめぇがみとはお別れだ!」

「はぃ? あんたのことでしょこのクソキモオタ!」

「キモいは慣れたけどクソを追加するなよ! アップデートすんの早えよ!」

「はいはい、ストップストップ、もうやめにしよう」

 美月は呆れた顔で喧嘩の止めに入った。

「わかったよ……」

「わかったわよ……」

 二人とも反省しているようだ。

「取り乱して悪かったわね、それじゃあここから先の事について話すわ」

 そして改めて説明をしようとルビーは座り直した。

「とりあえずあなた達は死んだの、そして異世界に行ってもらう。以上!」

 とことんてきとーだなこの女神。

「は? それだけ? 何かこう……魔王! みたいな存在はいないのか」

「今は発見されてないわね、でもそれらしき者が居る都市はあるらしいわ」

「何だそりゃ、私あまり異世界とかくわしくないけど、そのらしき者を探せってこと?」

「そういうことよ」

 話の内容は理解した。

 美月は少し気になることがあるかのような表情をしている。

 何か言いたそうだ。

「だけど、言語とか文字とかは通じたりするの?」

「そこのところは大丈夫よ!女神の私が翻訳魔法をかけておいたから」

「そりゃどうも」

 翻訳魔法とか使えるんだな、と感心しながら軽く感謝の言葉を発した。

「それじゃあ、もう時間ないから転送準備するわね」

そして異世界への門が開かれた

「健闘を祈ります。勇者晴人、美月」

 男女二人で最初の門を潜る。

 これは全ての冒険の始りの一ページに過ぎない。

 ここから先どのような困難があろうと、俺は絶対に乗り切ってみせる。







ご覧頂きありがとうございます!

このシリーズは連載としてやっていこうと思ってますので、まだまだ初心者ですが頑張っていきます!

もし良ければ感想などもお聞かせ頂ければ勉強にもなりますので是非ご気軽にお願いします!

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