鏡返しを狙うもの1
その日の放課後
私は、真田探偵事務にやってきた。
「やぁ、緑川さんいらっしゃい。ストーカーについてわかったよ。」
そうじゃなかったら何のために呼んだんだよ、と心の中で突っ込みながら、
「ありがとうございます。それで誰だったんですか?」
真田さんは、写真を見せながら、、
「こいつだよ。島崎克季っていうんだ。君の通う大学の3年生だよ。見覚えはあるかな?」
「あっ、この人!」
私は、1か月ほど前に告られた1つ上の先輩であるその人の写真を見つめた。
「見たことがあるんだね。何かその時、トラブルでもあったのかな?」
「はい、実は・・・」
そこで私は彼を振ったことを話した。
「それが原因か。おーい太陽君、この島崎という男をここに連れてきてくれないかい?」
「わかったぜ、所長。」
そう言って答えた人こそが、六方太陽という元SPの探偵である。
それから10分ぐらいたっただろうか。
「連れてきたぜ、所長。」
「ありがとう。島崎君だね、君はなぜ緑川さんをストーカーしたのかな?」
「・・・・・・」
島崎先輩は黙ったままだ。そのままなかなか話そうとしないので、真田さんは切り札の言葉を言った。
「警察に言っちゃおっかな~。」
「‼それだけは…」
「じゃあ、理由を教えて。」
「それは、組織を裏切ることになるから…。」
「その組織って、ひょっとして、八色隊という名前じゃないかな?」
「⁉」
「まったく、八色隊もよくこんなやつを雇ったね。」
「雇ったんじゃないですよ。そいつは下っ端です。」
いきなり、入口のほうから声がした。そこには神代の姿があった。
「神代‼何でここに?」
「黙ってて、ごめんね。所長から、ストーカーから守るために言わないで見張っててって言われたの。」
「所長⁉まさか神代も・・・。」
「そっ。私、音羽神代は、真田探偵事務の探偵なの。」
「まぁ、その話はまた今度。それに、下っ端ってことは、傭兵と一緒じゃん。」
「そうじゃねえ!俺は3等員だ。下に4等員が3人いる3等員だ!俺らが、緑川鏡子を狙っていたのは、 そいつの術が目的だ。」
「私の術?」
私には何のことかわからない。
「そうだ。お前の叔父でもう亡くなった緑川仁芭の術であった鏡返しの術を受け継いだのは、お前だろうと隊が判断したのだ。」
「鏡返し…」
真田さんは、何やら知っているようだった。
「師匠…」
何やら真田さんはつぶやいたが私には聞き取れなかった。
「島崎君だったね、真田探偵事務所に来て、八色隊の情報を教えてくれないか?あっ、これは強制で。そ して、緑川さん。君を守るためにも真田探偵事務所の探偵になってほしい。お願いできるかな?」
一週間後
真田探偵事務所には、1人の探偵見習とポンコツの姿があった。