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それでいいのか異世界転移?!(仮)  作者: 小型漂流者D
第2章 北の大陸(珍道中開始)
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15 城、強…奪還編①

 読者の皆様更新遅れてすいません。そして、多分明日明後日も休むかも知れないです…リアルが冗談じゃなく忙しいので………すいません。


 今回は後半遥視点です、やっと北大陸入りします。それでは本編をどぞ!

…………………(???)…………………


 ——スノウデン王国、氷結城(数日前)


「……その言葉は我々“神の使者”への冒涜と受け取っても宜しいのですね?」


「ああ、それで結構だ。即刻この国から出て行け!」


「…必ず後悔する事になるでしょうね。神は常に我々を見ているのですから。」


 気持ちの悪い演技掛かった喋り方をするこの目の前に居る若造は、先日遭難している所を我が国の海上保安部が助けこの城で保護していた者達の1人だ。


 我が国の技術に目をつけ、技術を“神の名の下”に自分の国に只で渡せだと?


 ……冗談じゃない。誰が渡すか。


 勿論保護した連中全員がそんな愚鈍ではなかったが、こう言った者達が占める比率が多い。それもそのはずだ……


「光の教会か……」


 手元に有る資料を見返すと、そこには祈りを捧げる少女の形をした光のシンボルが有る……奴等のシンボルらしい。


 そのシンボルに似合わず、傲慢で愚図な奴等が多い事が今回良く分かった……そして何より奴等の信仰している宗教は、物凄く排他的だ。


 我が国で受け入れられるはずも無い。


 スノウデン王国は以前より、極寒と飢餓に毎年耐えている。特に冬場は降雪量が多いので雪掻きが間に合わず、分断されたり家を押し潰されたりする等の被害が出ている。その上この国に原生する魔獣は大体巨体で凶暴だ。


 そんな厳しい環境下で生きていると、種族や性別等関係なく皆が自分の出来る事をする。その為国民は団結力があり、気の優しく賢い者が多い。


 我々は、そんな良民達を守り導く責務を持っている……一国家公務員として。


「閣下、奴等どう致しますか?」


「……監視させろ。動き出しそうになったら国民に被害が出る前に食い止めるよう命じておけ。」


「御意。」


 現国王、ニコラウスⅤ世が命じると、保安部の隊長オートマタが影に消える。


 そこで俺は、数年前の出来事を思い出した。


…………………………………


 我が国から遥か南に有ると言われる大陸。そこでとある宗教から弾圧を受け、夜逃げしてきたと言う錬金術師サン=ジェルマン。


 亡霊船で力尽きかけていた奴とその使用人数名を保護した時の事は鮮明に覚えている。


 歳若い青年が1人、小型で木造の亡霊船の船室で蒼い顔をしながら横たわり……その周囲で必死に看病する使用人達の姿。


 …この氷河が浮かぶ海域を木造の小型船で渡るのは非常に無謀な事だ……相当の訳有りだと分かった。


 我々が船内に行くと、警戒されて攻撃されかけたな。


 事情を話せば保護を直ぐに求められ…俺達は当然応じた。


 それから数日後、宮廷医師の献身的な治療でサン=ジェルマン元伯爵本人が目覚めた。


 王と共に彼の寝室に赴くと、感謝された後何故あの様な事になっていたのか事情を全て話した。


 王と話し合い、暫く保護する事になって数日……彼の使用人達が全員、機械仕掛けの生命だと分かるのに1ヶ月も要さなかった。


 第一発見者は後に彼と結婚したメイドだった。


 食事を寝室に運んだ時に彼が自分の使用人をばらしている様子を見て、最初は使用人を殺したのだと怖がったそうだ。だが、よくよく見ると、彼は使用人の腕へスパナを当てて何かを確かめていたそうだ。


 報告を受けた俺やウィリス宰相は、王に伝える前に本人へ確認を取った。


 その時滅茶苦茶警戒された事も今となってはいい思い出だ。


 本人曰く、南方の大陸である宗教に“人を創る傲慢な者”と見なされて処刑寸前になったらしく、また同じ目に遭うと思って警戒したそうだ。


 ………そしてそれを何処からか聞きつけた我が王は……………目を輝かせて遭ったばかりの奴を“国家技師”として任命した。


 宰相が円形脱毛症で禿げ出したのはその頃だった為、良く覚えている。


 それから約半年で、スノウデン王国には“オートマタ”と呼ばれる機械仕掛けの生命が多く住む様になった。頑丈で寒さに強い新たな住民として、元々柔軟性に富む我が国の国民に直ぐ受け入れられた事は言うまでも無い。


 そして現在では、ハーフやクオーターの“オートマタ”も存在する様になった。


 この報告には我々も驚いた事を良く覚えている。


 制作者のサン=ジェルマン技師曰く、再生能力の有無と誕生方法が2通り有る事以外は我々と殆ど変わらない生命体らしい。当然食事や睡眠も必要だし、生殖能力も有ると言っていた。


 実際我々も目にしたのだから信じ難いが信じられない話しではない……手足の一部が機械で、時折部品交換等のケアが必要な子供が近年増えている事は医療機関から報告を受けている。


 国民が互いに助け合う寒いが温かいこの国は、こうして新たな住民を向い入れたのだった。


 余談だが、生命体そのものを生み出すその術式について王が問うた所開示してくれた。だが、正直並の錬金術師では真似出来るものではなかった。


 安心した王は、数名信頼出来る技師を弟子に取る事を勧めた……1人でオートマタを創っている事が負担になっていないか懸念していた様だった。


 サン=ジェルマン技師は直ぐに弟子を受け入れ、指導をしたと言う……本人としても、1人で全て作り出すのはかなり大変だった様だ。


 そして近年、弟子入りした数名の技師が難なくオートマタ作成を行える様になった。


……………………………………………


 現在、サン=ジェルマン技師とその弟子達には寒村の隠れ家で身を潜めてもらっている……本人曰く、彼を追放した宗教こそ“光の教会”だったと言う。


 そして逃げる前に本人から詳しい話しを聞いた。


「確かに私が追放された理由は“生命を人の身で創る傲慢”と言う題目でしたが、実際は違います。


 私の創った命を戦争の駒として我々に献上にせよと、私に命じたのです。


 私は私の創った命の親ですから、当然その様な命を命とも思わない命令は無視しました。その結果暫く投獄され……我が娘息子達数名で私を解放してくれたのです。その時亡くなった家族の事は一生忘れられません。


 今回もきっと献上する様に命令して来るでしょうが、どうか誰一人として渡さないで頂きたい。」


 そう涙ながらに語っていたが、元から俺達は国民を売る様な事は絶対しない。


 増して、我らの同胞をどんな形であれ傷付けたのだから、我々は徹底的に交戦する気で居る。勿論国王自身も乗り気だ。


 そして先程の無礼な“使者”を名乗る遭難者達……生きて還れると思うなよ。


……………………(数日後)……………………


「やはり楽勝だったな。」


「ああ、この国はチョロいな。」


 …王が人質となり、城があっという間に占拠されてしまった。


 相手は妙な結界を使ってオートマタを殺し、我々をいとも容易いと言った様子で拘束し……その結果僅か一日でこんな様だ。


 …一応外部で活動していた『ワイルドバンチ海賊団』の知り合いにサン=ジェルマン製の使い捨て通信機で依頼したが、一体どうなる事やら………


 一軍人として、侵入を許してしまった不甲斐なさに項垂れていると……牢獄の番人をしている狂信者の1人がいつもの様に話し掛けて来た。


「おい、お前……確かホーキンス元大将だったか?」


「………。」


「おいおいおい、こっちはお前らみたいな薄汚い異教徒へ話し掛けてやっているのに無視かよ!!!」


 そして、独房の鍵を開けると……俺をまた拷問室に連れて行く気か。


 そう、数日前からここにサン=ジェルマン技師が居る事を嗅ぎ付けたらしく、何処に居るのか尋問しているのだった。


 唯一知っているのは俺と王、それから宰相のみ。宰相と王は流石に国民の反感を買いたくないのか無価にはしていないからまだ安心出来る。


 だが、俺ももうそろそろ体力の限界だ……数日間に渡り食事は薄味の具無しスープに黒パン一欠片のみ。


 もしこれが冬場だったならば、俺は既に死んでいただろう。だが、後数ヶ月もすれば秋。


 牢獄は日が当たらない場所に有るので、これ程薄い格好で食事も碌に与えられていなければ………凍死するだろう。


 ………そして俺は拷問部屋へと連れて行かれた。


「今日も生意気な面だ……異教徒は皆死ね。」


 鞭を取り出し俺へと打ち付ける……正にその時だった。


「おい、何だよ!!お前、何処から来た?!!」


「誰か呼べ!!!侵入者だ!!!!!」


「おい、駄目だ。強過ぎる…ギャアアァァァ!!!!!」


 部屋の外が一瞬騒がしくなったと思ったら……静かになった。


「お、おい。一体何だよ!」


 尋問官は部屋の鍵を開く。すると……


「あ。あそこみたいです、遥師匠。」


「なら、折角だしこの前教えた技を実践してみろ。見ていてやる。」


「オッス!!」


 そんな声が聞こえた。


 見上げると、そこにいるのは年端も行かない程の子供に少年。それも、牢屋に似付かわしくないのほほんとして雰囲気で日常会話を交わす様に喋っていた。その様子に呆気にとられた。


 尋問官を見上げると、奴も口を半開きにして呆然と立っていた……人の事は言えないが、軍人としては敵前固まる程馬鹿な事は無いのだが……まあ、案の定直ぐ奴は退場した。


 ………トトトトトと音がしたと思ったら、緑髪赤目の子供が拷問官相手に見事なシャイニングウィザードを決め…地面とキスさせていたのだった。


 一瞬の出来事だった上、それをしたのが小さい子供だった事も相まって、思わず俺も固まっていた。


 そして、気付いたら近くに居た“師匠”と呼ばれていた少年……よく見れば、只物では無い事が分かる。


—切れ長の鋭い目つき

——覇者だと言われても納得する佇まい

———禍々しい雰囲気の得物を完全に従えている様


 だが、この少年が次に告げた事で俺は脱力する事になった。


「あの、便所って何処ですか?」


 ………………この状況で聞くか?俺が可笑しいのか?いや、違うよな?


 ……うん、絶対俺は可笑しくないはず。


 でもまあ、流石に少し切羽詰まった様子だったので教える事にした。


「……右端曲がって奥に行けば有る。」


「有難うございます。…自分で行けるな?」


「はい、師匠!」


 そう言うと、緑髪赤目の子供は走って俺の差した方向へ向かった…子供の方だったのか………


 そして再び少年は俺の方を向いた。奇麗な笑顔を浮かべながら、攻国級の大魔術発言を投下した。


「では参りますか、“ジャン・ジョルジュ・J・ホーキンス軍部大臣”。」


「………まさか。」


「ええ、我が『八咫烏』の傘下の海賊『ワイルドバンチ盗賊組』の祖国ですから。無事無血で奪還しますから、ご安心下さい。」


 ??!!!?!!?!


 ……八咫烏だと!!!


「だが、八咫烏は既に数百年は…」


 口角を上げ、俺の質問を遮る様に少年は話した。


「申し遅れました。俺は鬼灯遥、5代目『八咫烏』の船長です。」


 ………あの伝説の海賊団の…後継者だと!?!!


 そして、俺はその証拠を見た。奴の頭上に止まっている黒い鳥…足が三本有り、全身奇麗な漆黒で……知性の宿った瞳をしていた。


 …そうか、本物か。


 『八咫烏』が支援してくれるのならば、もう俺が心配する事も無い。奴等は“無敗”と言われていた。少なくとも、それ程強いと実際交戦したと言う俺の祖父から昔聞いた事が有った。


「後は任せてくれ。」


 安心させる様な強い声を聞き…


「ああ頼んだ…(ガクッ)」


 俺の意識はそこで途絶えた。


 次回も宜しく御願い致します。

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