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それでいいのか異世界転移?!(仮)  作者: 小型漂流者D
第2章 北の大陸(珍道中開始)
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3 クロエとの約束①

 読者の皆様どうもこんばんわ。今回はクロエとの決闘が……まだ始まりません。多分次回?だと思います。


 それでは本編をどぞ!

 朝、日の出前に俺は目が覚めた。


 ……寝室に一人でいる状態で目を覚ますのは久しぶりだ。つい最近まではシエルかリサラが隣にいたからな。


 そしてここは“鬼灯邸”の寝室ではない。


 海賊船“黒鴉”の船室の1つだ。


 恐らく『宝泉寺の盤桓園(別名額縁庭園)』を模したものだろう。何しろ見事な庭が有るからな……一応襖と障子は有るので、あの解放感は残念ながら無いが。


 部屋は、全体的には色彩のみ質素になっている。だが、欲目を凝らすと、全て高級感溢れる一級品だと分かる。


 例えば、墨汁のみで描かれた“松林”の匠の襖。


 —まるで本物の松が作る影の様な画と構図

 —墨の濃淡で醸し出す松林の静寂で爽快な雰囲気


 以前何処かの博物館で現物見た様な気もするが………これってもしかしなくとも“長谷川等伯”の手がけた作品では?


 次に床の間に目を遣る。


 掛け軸には、何処までも続く静に佇む渓山と、人々が生活する賑やかな漁港が同時に描かれた作品があった。


 そして、注意深く見て見ると……“与謝蕪村”の印が押されている。


 これってまさか…『渓山漁隠図』か?でもあれって確か国の重要文化財だったような………本物ではなくレプリカだよな?


 ……うん、きっとそうだ。そうに、違いない。…つか、そう思わなければやっていられない。


 気を取り直して再び床の間の床へ目を落とすと…今度は黒く渋い茶器が1つ、そしてそこに……朝顔が一輪活けてあった。


 花弁は全体的に蒼色だが、中央は薄紫になっている恐らくは『野朝顔』と言う品種……母親の趣味が園芸だったので、良く覚えている。


 だが、普通に花壇で見る様な朝顔では無いな……花弁の形が面白い趣向になっているので、恐らくは交配を重ねて得た一世代で終了なタイプ。


 そして、活けるのに使われている茶器は……多分相当値が張ると見た。


 何処かの博物館で”名物(茶器)”として飾ってあった様な気がする。


 布団等は多分普通のものだろう。…手触りが異常にいい事は、今は無視しておこう。……その方がきっと幸せだ。


 だが、そんな“日本の国宝”らしき作品の数々に囲まれて………昨晩は寝返り等で壊さないか内心ヒヤヒヤしていた為、結局全然寝られなかった。それ処か……目が覚めて暫く起きている羽目になった。


 やっと眠れたと思ったら、眠りが浅かった為か中途半端な時間に起きてしまったし(現在)。


 ………まあいいや、気を取り直して朝の鍛錬しますかね。


 つか、移動中はずっとこの状態って……いつかはきっと慣れるよな?…望み薄だが、頑張ってみよう。つか、こういう時こそ固有能力”適応”よ、仕事しろ!


……………………………………………


 船の方の訓練所入ると、先客が一人居た………


 —黒く濡れた様な束ねられた髪

 —全身漆黒の所々“海”の匠が見られるスーツ姿


 奴……クロエが西洋剣を振るっていた。


「………」


 鋭い太刀筋だが……これは我流だろうな。まあでも動き方は分かっている様だしいいとは思うが。


 邪魔しては悪いので、俺も自分の鍛錬を始めた。


 まずは軽いストレッチを2時間かけてゆっくり行う……この作業が結構大事で、ストレッチを怠ると鍛錬中の怪我に繋がる。

 

次に腹筋背筋を2000回、腕立て1500回。これで大体1〜2時間。……”昔”と比べればまだ全然軽い方だ。


 それが終われば走り込みを3時間。


 持久力は特に重要だ。あって得な事は有っても損には絶対にならない。その上しなやかな筋肉を付けるためにはこの動作は大事だと言う事を師匠達から学んだ。


 ………ピータみたいなゴリマッチョは御免だからな。


 大体“走る”と言う行為は何をするにしても基本中の基本。…敵が来た時体力無い事が原因で対抗出来ませんでした何て言い訳は通じないからな。


 そして型の練習を2時間。姿見が有れば、それを使ってちゃんと正しい姿勢で居るかどうかを確認する方がいいだろう。


 それから……相手が居れば、組み手をするのだが………まあいいか。


 そう思って、一旦ジャージの上着を脱ぎ捨ててからタオルで身体を拭いていたら……視線を感じたので振り返った。


 クロエが何故か俺を凝視しながら固まっていた……もしかしたら“あの”件か?


「……決闘の件なら“今”やってもいいが?」


「…あ、ああ。」


 若干動揺した様に答えるクロエ。余りに挙動不審だったので、聞いてみた。


「……どうした?」


「いや、少し気になっただけだ。」


 どう言ってから、少し気不味そうに尋ねて来た。


「……いつもなのか?」


「何が?」


「だから…訓練内容。」


 ………ああ、成る程。そう言う事か。


 以前、同級生から同じ様な事を聞かれた上で、正直に答えたらどん引きされた事があった。


「いいや、前の“普段”はもっと過酷な事をしていた。今の鍛錬ははっきり言って序の口だ。」

 

そう言うと、何故か納得した様な顔をした。そして唐突に頭を下げて来た。


「今まで“弱い人間”だと馬鹿にしていて悪かった……お前は他の“転生者”や“転移者”と違ってちゃんと自力でそこまでの実力を得ていたのだな。」


「まあ、俺の場合”家”が特殊だったからな……それより他の“転移者”“転生者”に遭った事があるのか?」


 すると、一瞬身体を一際ビクリとさせた後、暗い表情をした。


「……無理して言わなくていいから。それより今なら決闘できるんじゃないか?」


「いや、気が変わった。試合にしてくれ……とてもではないが、決闘だとお前に瞬殺される………あの訓練内容を温いとほざいた所と、その筋肉の付き方を見れば、そんなの明白だろう?」


 ……負ける自信は始めから無かったが、それでもいい勝負が出来るとは思うのだが…まあ本人がそう言うのなら、それでいいか。


「……そうか。なら一旦“生活空間”に移動するか…あそこは俺の魔力で出来ているから壊れても俺が死なない限り修復されるしそれに……まあ見てからの楽しみって事で。」


 怪訝そうな顔で頷くクロエに俺は自分の口角が上がるのを感じた。


 そう、実は皆に黙って“生活空間”のカスタマイズを行ったのだ…再度言うが、“昨日”は眠れなかったので。


 何?鬼灯邸の部屋に帰れば良かったって?……目が覚めていたんだから結果は同じだ。


 そこで、日本とほぼ同じ領土面積になった“生活空間”に色々これから必要だと思われる“施設”や“自然環境”を設定したのだった。


 …早速役に立ちそうで重畳、重畳。


 皆へのお披露目が、楽しみだ。


 次回も宜しく御願い致します。

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