24 熊(犬)、来たる②
ども、読者の皆様こんばんわ。今回は熊との勝負…のはずが、何故か熊の過去話に……どうしてこうなった?!
さて、本編をどぞ!
土俵作りから一晩明けた。現在、俺は土俵の前にいる。
そして目の前には行司の服装が何故か異様に似合うのが癪な、筋肉兎。それと、今日の試合相手である目を輝かせた二足歩行の熊。2人共寝不足らしく、目を時折こすっている……遠足前の幼稚園児かよ…。
まあいいや。それよりも、だ。
「じゃあやるか?」
「グオン(胸を借りさせて頂きやス、兄貴!!!)」
そう言いながら“仕切り”をした。そしていよいよ……
「はっけよ〜い、残った!!」
立会(兎)と共に、試合開始だ。
熊五郎(仮)はいきなり“張り手”で勝負を掛けて来た。どうやら完全な“力勝負”をしたいらしい。
……本来ならこのまま体格差を利用して相手の懐に入ってから廻しを取った上で陣の外にまんま投げてやりたい所だが、それだとこの勝負は簡単に着いてしまう。
今回は相手の力を見る事が目的だ。だから、俺も“足払い”を敢えてせず、同じ様に“突っ張り”で勝負する事にした。
「残った、残った〜!!!」
……力の強さと肉体の頑丈さは十分だな。一応俺は今15%の力を出しているが、余裕そうで何よりだ…これなら30%くらい力を発揮しても大丈夫そうだな。
まあ暫く様子見だ。
……………(熊五郎)………………………………
……ぼくの名前、違うけど。まあいいや、試合中だし。
それにしてもやっぱりアニキは強い!かっこいい!
今回ぼくは本当に“アニキの胸を借りて”試合しているのが分かる。だって今まで独りで生きて来たから相手と自分の力量くらい読むのは朝飯前だ。
まあでもぼくが比較の対象、いや、アニキを誰かと比較する行為自体、烏滸がましい。それくらいアニキは強い。
もしかしたら、この“魔大陸”で最強かも。
それは勿論持っている“腕力”だけじゃなくて、“生存”を考えて上でそう思っている。
きっとどんな環境でも適応出来るし、それに“群れの長”になってくれたらきっとそこは栄える。
ああ、ぼくと兄弟の杯を交わして欲しい。
そうすれば、ぼくは子分としてアニキに手足になってみせる。……嫁さんを貰ったら、少し休むかも知れないけど。
………………(熊、回想)…………………………
群れが潰れて以来、ぼくを生かした皆への懺悔と期待を裏切りたく無い理由でかなり無茶した。
いつの間にか森の頂点に立っていたけど……独りで孤独だった。
森にはぼくと同じ種族はいたけど、彼らを従えて群れを作ろうとは思わなかった。だって何か違うんだもん……ぼくを強敵から守って死んでいった仲間とは。
…ぼくに襲いかかって来た奴を返り討ちにして、その上で送り返した時に“群れのため”とか言って仲間を売る様な行為をしたんだ。具体的には正直語りたくも無い。
だけどさ、あり得ないよね?
まあそんな訳で、漠然とずっとそのままで死ぬんだと思った。
………………………………………
あの日ぼくは見た。そして知った。“真に強い”とはどう言う事か。
それは……アニキが“ココに現れた”日。
森から見て東の空がいきなりぱっくり割れたんだ。まるで空を壊したみたいに。そこから何かが落下して来た。
気になって近付いて行った。
すると、アニキは……寄りにもよって“宝石亀”を解体していた…着て早々仕留めた様だ。
配下に肉をやると、その場で倒れた…ぼくは一瞬“倒すチャンス”と思った。
何しろ相手は未知数。“ニンゲン”がここに来る事は結構有るけど何故かぼくを怖がった後で攻撃を仕掛けて来る…勿論そんな事をされた場合容赦なく殺っているけど。
だからね、ぼくが生き残る上で邪魔なら排除するのは仕様がないよ…そうは言っても一応ぼくって“晩ご飯”と“迎撃”以外は基本的に手出ししていないけどね?
それでね、暫く観察していたんだ。そしたら驚いた事に、自分を襲って来た連中を“まとめて”迎撃した後、そのまま放置せずに1カ所に埋めたんだよ、燃やした後。
一緒に居たナカマに何をしているのか教えていたのを聴いた。
どうやら“埋葬”しているみたいだ。元敵なのに……
え、今気になるのはそっち?何でぼくが“埋葬”を知っているか?群れ総出で一族の者が無くなったら行っていたからだよ。ぼく達と他の獣で大きく違う部分だろうね。そう言う行動が珍しいらしいし。
さて、ちゃんと首だけは埋葬した理由だけど、ぼくにはちょっと難し過ぎる話で理解出来なかった。だけどそこで1つ分かった。
アニキは“敵”に対しては容赦が一切長いが、“死んだもの”を無価にはしない事が。
そこがぼくとは違うんだな。
ぼくは死んだ敵に敬意を示すって行為はした事が無いし考えた事もそもそも無かった。ただただ行われている生存競争で、自分が負けない様にしているだけ。明日は我が身だからね。
だけど、アニキはきっと“余裕”な程強いんだ。
実際にそうだと思ったよ?……その後彼が何度も行った森における“蹂躙劇”を見ればね…誰だってそう思うはずだよ。
そして、死者にも容赦なく接する奴だって居る中で見せたそんな行動に、ぼくは無性に感動したんだ。
それは同時にアニキに着いて行きたいと思った瞬間だった。
次回も宜しく御願い致します。




