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それでいいのか異世界転移?!(仮)  作者: 小型漂流者D
第1章 冒険前の事前準備に遺恨は無いか?
19/62

7 鬼灯家の過去・現在

 読者の皆様どうもこんばんわ。


 今回はかなり長めです。それと、宗教的な話が入ってきますが、”作者”は”現代の若者”の如く、かなりその辺りの宗教観が適当な人です。だから、”現実とは違う”事を書いているかも知れません。賛否両論有ると思います。ご不快に思われた方、申し訳有りません。


 ここで、良く有る”物語”における一言。


「この物語は”フィクション”です。物語に登場する”団体”や”個人名”は存在しません。もし似た様な名前が出て来ても、きっと読者の”気のせい”です。」


 それでは本編をどぞ!

 何故か目の前には母親がいた。卓上に湯気の立ったお茶を起きながら、こちらを見てニヤリと笑い通り際に


「お、遥!彼女さんできたみたいね?」


と爆弾投下した。そしていつの間にかいた父親が、意外そうな、何と言うか、珍獣を見る様な目で俺の顔を覗いていた。


「マジか…お前がなぁ〜…………明日は槍や爆弾でも降るかな…」


 ………失敬な。


「何だよ、悪いか?」


「いや、お前に彼女とかマジで想像出来ねぇわwww」


 笑う父親。


「まあ確かに堅物だし鈍感だしね?」


 笑う母親。


「うるせぇ。」


 そして怒る俺。


 これは当然現実ではない。だって2人とも死んでいるし。考えられる事は、地球と違ってこちらは死人も存在出来るってことか?差詰め“概念生命体”として。


 まあどちらでもいい。色々聞きたい事も有るし。


「で、どうして夢に出て来た?」


「ん?彼女出来たらしいから冷やかしに来た。昨日はお楽しみでしたねw」


 良い笑顔でサムズアップしながら言う父親。………相変わらずだな。


「……帰れ。」


「そんな冷たい事言うなよ!」


 そう言いながらいきなり十文字固めを決めて来る父親。…腕が曲がっては行けない方向を向いて、つか、間接から出ては行けない音が…痛い。やばい。


「絡・む・な!!つか、折れるかやめろ、痛い、痛い!!ギブギブ!!!」


「へっへっへ〜、父親に酷い事言ったお仕置きだ〜」


 得意げな顔でプロレス技を決める父親。ここ辺まで平常運転にしなくていいから!!!


「あ・な・た?遥に何をしているの♡」


 そして背後に夜叉と瘴気を背負って現れた母親…何故か包丁に鮮血がベットリ………ホラーだ…


「か、かあさん、ゴメン、やり過ぎました、すいません……あの、だから包丁こっちに向けないで?」


 慌てて飛び退いた父親は“トリプルアクセル土下座+地面にめり込み”を決めた。見事な土下座。これぞDOGEZAだ。


「………今は時間もないし、後でしっかり反省してもらいましょうか。」


 蒼い顔をしながら口からエクトプラズムを放出している父親をあっさり無視して母親はこちらを向いた。先程と違って真剣な表情だ。


「良い機会だから今日は、色々話そうと思う。“鬼灯家”の本当の役割と、貴方と血の繋がった両親の話。あの日、私達が死んだ時に何が起こったのか。それらの事実を今の貴方にならば話していいと思ったの。あの子、シエルのお陰で過去の事は有る程度清算できそうでしょう?」


「彼女が受け入れてくれたからな。だけど、まだ完全に納得はしていない。」


 いや、出来る日が来るかどうかが怪しい。


「私はそれでも良いと思っている。だけど、今の遥には異世界の新境地でまで過去の事を引きずって欲しくは無いの。」


 心配そうな顔で俺を見る母親。さっきまで情けない顔をしていた父親もまた然り。…………心配かけてしまった様だ。


「だからまあ、俺達の話を聞いて行け。」


「……分かった。教えてくれ。」


 それから話が始まった。


……………(???語り)……………………………


 鬼灯家。


 それは日本に置ける現代にまで生き残った“武家”の1つ。“士族”とも呼ばれているが、この際武家と言う事にしておく。


 だが、“武家”としての側面とは他に、“古神道”信仰を代々行った家だと言う事をここに記しておく。


 名前の由来。それは、純白の花が朽ちて出来る鮮血や炎に似た緋色をした果実、お盆に精霊棚に飾られるあの果実…では無い。あれらの原産は東南アジア。鬼灯家が出来た当初はまだ日本に存在すらしていなかった。


 “鬼灯家”は先祖が古代執り行っていた事に因んでそう呼ばれた。


 鬼、つまりは祖霊や地霊。そして彼らが持つ松明から出る灯り。それが“鬼灯”の名の由来だ。


 鬼灯家の祖先は半人半霊であり、“実体を持った霊”という存在であった。つまり、常世と隠世で同時に居られる存在の事。


 そして彼らは先祖代々有る事を行っていた。それは、例の”緋色の果実”の名前の由来となった事。


 鬼灯家の役割。それは“死んで霊になった者達”を自然界へ還す為の道案内。誘導者。同時に“武家”としてそんな霊を襲う“邪”な気配を斬る。そういった事を行う存在だった。


 松明を持ち、その灯りに導かれて毎年彷徨える魂が何億何兆と、森や山、湖や川や海、土や砂等、様々な所へ安全に還って行った。新たな生命となる為に。産まれて来る生命の糧になる為に。


 “土に還る”とは、そんな様子を表した言葉だった。死んでしまえば全てが母なる地球の大地へと還る。


 ちなみにその考えの名残がネイティブアメリカンやイヌイット、アイヌ等で見られる。


 さて、現代風に言うなら“黄泉送り”と呼ばれるその儀は、遥の育ての両親の代までちゃんと残っていた。


 そんな“鬼灯家”には1つだけ制約があった。それが、“大陸側”から入って来た宗教を信仰する家系の者と交わる事を禁止する事であった。


 その制約が始まった切掛けは祖先が“半霊”になった代償ではない。それは、過去に“霊”の性質を持った者が普通の人間と同様の生活を送れなかった事から始まった事だ。


 理由は、“神道”以外の宗教を信仰している嫁の産んだ子供が“人”の形に産まれる事も出来なかったからである。それも一代だけではなく、何代もそんな事が続いた。


 原因が究明されたのは戦国時代。当時の当主が“信仰の歪み”を“現世の歪み”から考察し、それと今までの記録から証拠を得て証明した。現代では“帰納法”と呼ばれる証明方法をしていた。


 “九十九神”は、他の神も受け入れる懐の深い性質がある。だが、だからと言って自分達の教えに“こじつけ”をする様に介入されると信仰の形は“歪められ”、その結果何処かでひずみが生じる。


 つまり、ひずみが生じて“人の形”を保てなくなった赤子が産まれてしまっていたのだった。新たな生命の形が“現世”のゴタゴタに巻き込まれる。これ程悲しい事は無いだろう。


 ゆえに、仕方が無くその様な制約を作った。


 そしてそれもまた現代まで続いた。


……………………………………


 遥の両親は、父親が平将門の血筋と源氏の血筋、母親は鬼灯家の分家筋の血筋だった。2人は家の反対を押し切って追っ手から逃れてひっそりと生活していた。


 だが逃亡生活もそう長くは続かず、2人は母方の“鬼灯家”に捕まってしまった。


 捕まった当初、まだ厳重に幽閉されていない状態だった時、遥の“母親”が妊娠している事が発覚した。そして相手が“源氏・平氏”。つまり、仏教等の信仰をしていた武家。


 先祖の課した制約に反する。そう言う理由から、堕胎させる事が決定された。


 しかしこれに黙って従う訳も無く、遥の“父親”が命懸けで“母親”を逃がした。結果、“父親”は殺され、また存在ごと“日本”から抹消された。


 母親は何とか逃げ切り、隠し財産を使って何とか生き延びた。だが、やはりそう長くは続かない。ある日、そう、遥が産まれる直前、弱っていた所を見付かった。頑張って逃げたが結局追い着かれ、橋の下で射殺された。


 だが、最期の瞬間まで“遥”となる赤子を守り抜いた。


 殺された彼女の遺体をその場で焼却処分しようとしたのを止めたのは、遥の育ての母親“鬼灯紅”だった。理由は、“母親”の遺体の腹部から“歪み”の見えない純粋な“生命”を感じたためらしい。


 そして“遥”は産まれた。誰よりも“人間”で有りながら“霊”に近い存在、“現世の人間に嫌われ易く、霊に好かれ易い”存在として。


 ちなみに遥自身は“仏”と“神道”を信仰出来る状態である。まあ本人は現代の若者らしく“宗教観”は軽く、殆ど“無宗教”状態だが。


……………………………………


 “黄泉送り”を行う家である鬼灯家は、普通の“宗教”と違って信者等を持たない家であった。その代わり、代々“家”に使える“家臣”が存在した。それが遥の修業の“師匠達”だった。


 彼ら、そして“邪”と呼ばれる瘴気に似た“ナニカ”を斬る鬼灯は、“武人”としての才覚を求められた。“邪”は不意打ちで、しかも強力な存在だ。それに“勧善懲悪”の概念が“邪”自体には無いので、“共に存在する”事しか出来ない。


 何しろ“邪”自体は“常世”に存在する穢れ。全ての“現象”には“理由”が有る様に、“邪”も存在する“理由”があり、全部を否定し切る事は“生命”が居る限りは無理な話だ。


 それは“過ちを犯すな”と言っている様なもので、人間は常に“過ちを犯す”存在なのだから。


 そしてそんな“鬼灯家”へ様々な家と魂が恩義を感じたと同時に、“黄泉送り”が出来ない程穢れた魂を持った者達には恨まれた。


 “恨み”という概念もまた一種の“邪”で、それを抱え過ぎた魂は“現世の命”が終わると同時に世界から拒否され、粉々に分解される。最終的には新たな“霊”の原料になる様だ。


 余談だが生命の欲求等は“邪”に含まれない。何故ならそれは“自然界”を否定している事になるからだ。そして、“邪”に含まれるのは欲求そのものではなく、欲求や状況等が原因で生じた“濁った感情”である。


 そして、“恨み”という“邪”だけがどんどん世界に貯まって行き、それが八つ当たりの如く“鬼灯”を襲った。


 その結果、遥以外の人々は“概念”に捕われた人々に殺されてしまった。元々“信者”を募らなかった事から少人数でいた事も殺された理由かも知れない。


 集団対個人では、余りに分が悪かった。


………………………………………


 遥はその日、学校へ普通に行っていた。“隠世”の影響を受けているために“現世”の生命には嫌われ易かった遥は、どちらにも存在出来る“鬼灯”の人々とだけは仲が良かった。


 だからその日も散々嫌がらせを受け、帰宅出来る事を楽しみにしていた。


 そして帰宅してまず目に写ったのは………“鬼灯邸”の焼け跡。跡形も無く建物自体が無くなっていた。


 そして恐る恐る中を見ると、そこには知っている人々の死体があった……知らない人々の死体と一緒に。


 それは毎日食事を作って出迎えてくれた母親。普段はふざけているが稽古の時は真剣で一所懸命な父親。そして、今の“遥”になるべく様々な事を教えた“師匠達”。


 彼らの変わり果てた姿を見て、“遥”は“一時的”に“半霊化”した。


 鬼灯家の人々は年齢が20歳を過ぎると皆“半霊化”出来る様になり、それまでは“霊”自体とも接する事は出来ない。当然遥も15・16歳位だから無理であった。


 だが無理矢理、“霊”に近い存在だからか“半霊化”した遥。彼は産まれて初めて“常世”と“隠世”を同時に見た。


 黒いモヤに囲まれた透明な何か、そして様々な色の光を発して地球上に存在する“全て”へ溶け込む光の粒。


 一瞬見とれたが、“遥”は見た。両親と師匠達を皆殺しにした“実行犯”と“黒幕”を。彼らは特に黒い霧が濃くなっていた。


 本能的に何とは無く分かっていた。彼らが全面的に悪くは無い事くらい。だが、それでも目の前で奪われた遥の“大切”は余りに大きな存在であった。


 だから全員その日のうちに、考えられ得る残虐な方法で命を終わらせ、魂を消滅させた。


 そしてその愚かな者達に連なる、今回の件と“無関係”な人々も同様に次々と命を刈り取り、魂を消滅させた。これが“遥”自身の言う所の“過去の過ち”で、後で冷静になった時に自分の行った事を顧みて非常に後悔している事だった。


……………………………………………


「……これが私達の知っている事。」


「…………。」


 ある種の後悔と悲しみを同時に噛み締めた様な顔をしながら話した鬼灯紅。遥は返事も出来ず、沈黙していた。


「それでね、私達はずっと“遥”が心配で見ていたんだ。“鬼灯家”は元々どちらでも存在出来るから、他と比べて“地”に還りにくいの。だから“種族”を変更した事も知っている。だけど“人”で有る事を完全には辞めなかった様ね。それも出来たのに。」


「……それが、俺が自分に課した“罰”だからね。もしそんな意識が無かったら、“普人族”にしないで“精霊族”にしていたかもしれない。でも、俺は多分それ以前に……“人”で居たかったんだと思う。」


 自嘲気味に話す遥。


「そうね。遥は元々人が好きだったからね。」


 笑顔で語る紅。


「………俺は20歳越えたら“半霊”の性質を受け継ぐのか?」


「それは決定事項ね。“普人族”を残した故。だから、あの時の光景を近いうち、後5年で見る事になる。それまでに過去に決着を付けなさい。そうでないと………貴方自身が消滅するわよ。」


「?!」


 驚いた顔をする遥に苦笑しながら紅は語った。


「そうそう。実はね……」


「…本当か?」


「そうよね、あなた?」


「ああ、俺も見ていたから分かるが、お前はあの時確かに“暴走”したが、そのお陰でお前の同輩の、歪みの無い“命”を救った。それにな、お前の“分解”した存在はひずみが数多に生じた今にも“消える”状態だった。だから殺して消滅して良いとは言わない。それは“犯罪”だからな。他者の“命”を奪った事については。だがな、そのお陰で“導かれた”存在、“歪み”に圧迫されていた存在は今も多分生きている。だから自分を責めすぎないでくれ。……俺が言えた事ではないが、お前は“鬼灯家”として良く職務を全うしたと思うよ。“常世の魂を隠世へ導く”存在として。」


 そう。余りに“歪み”が多いと“霊”は巻き込まれて還られなくなるので、時々その“発生源”を断つ。それも彼らの“武士”として自然界と言う“主”に仕える事だった。


 だから、結果論でしか無いが“遥”は“鬼灯の仕事”をしただけとも言えるのだ。


 だが、“死者”を弔う心を持った遥は一生背負って行くのだろう。自分の手にかけた者達の事を。


「……少しだけ、ほんの少しだけ気分が楽になった。ありがとう。でも俺は多分一生涯忘れられないと思う。だから、殺した者達の事はちゃんと背負って生きて行くよ。」


「ああ、それでこそ俺の子だ!!」


「そうね!」


 “異教徒だから殺していい”と言う意見に賛同しかねる日本人の心は、“異世界”に行こうが何をしようが未来永劫変わらないのだろう。


 死んだ者は皆平等に弔う。大事な事だ。


 それは食事等を通じて自分に”命”をくれた存在に対する”頂きます”と言う言葉に込められている。


 ついつい忘れがちだが、時々思い出してみるのも良いのかも知れない。



 長々と書いてしまいましたが、これが一応この物語を書いている時に思いついた”鬼灯家”の事情です。何となく有りそうで絶対にない様な設定にしました。


 それとご報告ですが、以前出そうと思っていた”従魔”についてです。”活動報告”でコメント頂きました、有難うございます。どうしようか迷って”あとがき”の方には入れなかったのですが、筆者も”骸骨”割と好きでハムスターにするか迷っていたので入れたいと思います。具体的には今週中に。


 それでは次回、また宜しく御願い致します。

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