閑話
引き続き閑話を入れました。
もしかしたら宗教関係者は不快に思うかもしれません。御詫び申し上げます。ゆえに、あとがきの方に次回以降必要になる事項だけ記載しておきます。
では本編をどぞ。
閑話
「ついに行きましたか。」
僕は今しがた転移した少年について考えていた。
彼は転移ID9083246の元〇〇学園高等部、2年×組の学生だった。クラスごとこちらに来たタイプだ。
今まで色々な人を見て来たが、若年層で彼の様に冷静な人を見るのは極稀だった。クラス全体を見ても、表面上冷静ぶっている人はいたが、彼の様に精神的にも冷静な人は余りいなかった。
まあ日本のサブカルチャーを考えれば仕方ない事かもしれないけどね。“異世界転移”に少なからず憧れを覚えている人は多いはずだから。
もっとも、鬼灯遥が冷静だった理由は“精神的苦痛耐性”のおかげと言う面は有るけどな。これを持っている同年代、いや、日本人は今どれ程いるのか。殆どいないな。
そこで僕は彼の生い立ちが気になり、改めて読み飛ばした資料に目を通した。
・19××年1月6日、橋下で死んだ母親の遺体から誕生。直後、第45代目鬼灯家頭領の妻、鬼灯紅に拾われ養子となる。
・1歳で喋りはじめると、読み書きを日本語・英語・仏語・独語・スペイン語・中国語・タイ語・アラビア語で教わった。同時に鬼灯家に伝わる家訓の勉強と、体術の訓練開始。
・3歳で、鬼灯家の跡継ぎとしての修業が始まる。まず手始めに、世界各国の秘境に放置されて、自力で帰って来る訓練を行わせる。青木ヶ原樹海から始まり、冬のアラスカ、雨期のスペイン、バミューダ諸島付近の海、サハラ砂漠のど真ん中等々、命に関わる危険が有る場所にも身一つで放置された。これが6歳になるまで続く。
・6歳から小学校に通いつつ、毎日道場で扱かれる。中学生になる頃には鬼灯家の技を全て修得させた。
・中学になってから毎日道場破りをする事になった。同時に小学校の頃から発現していた“運が無い”“人に嫌われ易い”兆候が顕著となる。唯一鬼灯家の面々は厳しくも優しいまま。
・中学卒業の日、学校から帰ったら鬼灯家と師匠達の全員殺されていた。犯人は分かっていたのでその日の内に静粛した。その日から、一人暮らしが始まる。
・無事高校生になれたが、酷い嫌がらせを受ける。だが家の方針“堅気には技を使わない”を律儀に守り、我慢。またアルバイトの裏稼業(賭け試合の選手)で生活費を稼ぐ。そして異世界転移で現在に至る。
………何と言うか、物凄く壮絶な生き方をしていたみたいだな。ヘイトを集め易く不幸体質で有った理由は“母親の屍から産まれた”為か。母親の庇護を全く受ける事が出来ないとこうなるよな。
それにしても“第46代鬼灯家当主”か。確か戦国以前から武士をしていた名門中の名門の家系だったな。まあ遥本人は直接血を受け継いで居ない………いや、何の因果か分からないけど違うみたいだ。
調べて見ると、色々面白い事が分かった。
何と、鬼灯遥の産みの両親は、父親が平将門の血と源氏の血を、母親は鬼灯家の分家筋の血を受け継いでいた様だ。
ちょっと出来過ぎの様な気もしなくは無いが、もしかしたらそうなる運命だったのかもしれない。或は………
「誰かが干渉した可能性か………」
僕たち“管理人”の干渉は禁止されているが、不可能では無いし有る程度は黙認されてしまう。
そして何処の組織にも汚点が有り、多額の賄賂を上層部に送る事で自分の気に入らない人の人生を変えてしまう事、逆に全て上手く行く様に調節する事を黙認するケースも少なく無い。
“見付からなければどうってことは無いし、小規模の影響しか与えないから大丈夫”なのだそうだ。
僕には理解が出来ない。大体彼らは“僕らの存在”を知らない。僕らの存在を予測した人間は“聖人”とか呼ばれたりしていたが、正確には知らない。だからこそ、彼らの崇める対象は僕らと違う。地球の“神”は概念生命体で、実体を持たないのだ。
兎に角、僕らの住んでいる次元が違うため“認識出来ない”のだ。
相手は会話している様に感じていると思うが、実際僕らからしたら違う。そうだな……彼らの認識で言えば、“漫画や本を読んでいる”感覚と思えば良いのだろか。
まあ本・漫画の登場人物と違い、“生き”ていて“自立的な行動を取れる”のだが。だけど、僕たちは簡単に消したり足したり出来る存在で有る事は事実。しないけど。
そんな連中達は毎日何京人規模で誕生し、そして死亡している。
その原因やら生い立ち等を一々見る事は無く、興味の持たれない存在は勝手に産まれて勝手に消えて逝く。当然“創作物”の様に裁いたり救ったりも出来ないし、一部を除いてしていない。流石に“世界が消滅する危機”に陥った時は干渉するが。
僕は思う。自然体の方がいいと。
僕らが勝手に介入しすぎるのは良く無いと。
それにそんな事をしたら、僕らの唯一の娯楽“人間観察”が面白くない事になる(切実)。
まあかく言う僕も、流石に鬼灯遥から僕も尊敬する“宮本先生”の剣術指南書の写しや、山本勘助先生の残した“兵法”の写し、等々貰えて嬉しかったので、つい肩入れしてしまったが。
それにこれまでの生い立ちにもちょっと思う所が有ったし、それにこれからも楽しませてくれそうだ。
さて、どんな冒険をしてくれるのだろうか。
「おや、フランク?どうした?」
「ああ———様、鬼灯様はどうなりました?」
「ああ彼ならもう異世界に移転したよ。…(カクカクシカジカ)……と言う事があってね。」
「彼らしいですね。」
「あ、もしかしてフランクも興味持った?」
「当然です。だって面白いじゃないですか。ポイントやたら残しているのにステータス設定で“敢えて”Lv.0の状態のままにしたり、亡霊や“生きる呪い”相手に全く動じていなかったり。後、殆どの従魔が始めから使えない件を御伝えした時も驚きはしましたが、他の方々と違って終始冷静だった事等。よくよく後で考えて見ると、“若い人間”なのに凄いと思いましたよ。」
「多分それは彼の生い立ちが影響しているね。ほい。」
「これは………個人情報じゃあないですか!!また勝手に持ち出したんですか?!」
「…………」
「人間観察も良いが仕事しろ〜!!いつも、いつも尻拭いをしているこっちのみにもなって下さい!!!大体……(ガミガミ)」
………………………(SE☆K☆KYOU☆中)………
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、……」
「……もういいですよ、次回から気を付けてもらえれば。さて、何々?………これはまた。何と言うか、壮絶ですね。」
「やっぱりそう思うよな?誰の介入だと思う?」
僕復活。
「多分、××様が行った事が原因かと。鬼灯様の肉親は、彼の贔屓している人にとっては邪魔な存在でしたから。」
あいつか……確かにあり得るな。と言うか、ほぼ確定だな。
「その余波か………何と言うか。」
「………我々ではどうにも出来ませんからね。まあでも時間の問題ですよ。これだけ酷い汚職をしているのですから。以前も介入のせいで“国”が消滅しましたからね。」
あの後何で静粛されなかったのか、未だに謎だ。
「まあ確かに。でも彼ら“人間”からしたら数百年後何だけどね。」
「それまでは我慢してもらう他……」
「まあ鬼灯君なら笑って“別に、勝手にしていろ”とか返しそうだけどね。」
実際怒りはするかも知れないけど。
「ああ確かに。理由は不明ですが、彼は我々に近い感覚を持っていましたからね。もしかしたら“かぐや姫”計画の被害者かもしれないですよ?」
特に世界に対して達観視している所があるからな。同じ“人間”も観察対象扱いだから、嫌がらせをされても気にも止めていない所とか。
「あああれか。退屈だから“現世”に憑依して暇を潰そうとか言う計画の事か。あれ、俺も応募したけど「……応募していたんですか(呆)。」ま、まあね……今思えば抽選外れて良かったよ。だって、試した奴等は相手に存在を喰われて消滅したからね。まあ喰った連中は色々性質が変わってしまったけど。」
「あれも立派な“介入”ですから多分静粛されたのでしょうね。それも“世界”が拒否する形で。」
「“世界の拒絶”か。未だに謎の多い現象の1つだったね。そう言えば、フランクの研究テーマの1つだったっけ?」
「はい、俺はこの現象へ魅力を感じたので。だって、もしかしたら“世界”自体に意識があって生きている事を証明出来るかもしれないじゃないですか!」
「あ、う、うん。そうだね。」
「それに、もしそれが証明されたなら、今度は“俺達”を観察している対象が見付かるかも知れないのですよ。」
「僕たちを観察している者か……僕らみたいにか?」
「はい、多分今の会話も聞かれているかも知れないですよ。」
それもそれで面白いな。
「さて、仕事に戻るか。」
「そうですね。俺もコレら《・・・》の後始末を付けないと行けないですし。色々好き勝手して下さったので、仕事が増えて大変です。」
「………結局それらは移転しなかったんだ…」
「出来ないし、出来たとしてもさせる訳が無いでしょう?害悪にしかならないですし。データごと破棄処分しておきますね。」
フランクはそう言うや否や、“元生徒”の謎物体を持って消えた。多分データを“ゴミ部屋”に置きに行ったのだろう。
さて、僕も休憩は終わり。最後の一仕事をしますかね。即ち移転先の確認………大丈夫みたいだね。さて、別の仕事に……ん?
?!鬼灯君ごめん。移転先、約束通り”修業出来て安全地帯も有る”秘境にはしたけど……難易度SS級の怪物の頭上に設定しちゃった……今からは変更出来ないよね…。ああでも一応能力追加機能のコードは消されていなかったな(”保存”あげたから)。これから必要になる可能性の高い能力あげるから許して。
慌てて僕は“自動防御”、“生活空間Lv.5”を追加で付加した。…まあこれくらいなら介入にはならないし。それにこれは僕のミスが招いた事だし……減給は免れないな。
まあ強く生きてくれ、僕も頑張るから。
概要
・鬼灯遥の生い立ち(かなり壮絶)
・”管理人”の世界への介入
・遥の転移先設定ミス→能力”自動防御””生活空間Lv.5”追加
次回はやっと異世界入りです!これからも宜しく御願い致します(_ _)




