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ども、読者の皆様こんばんわ。ここまでご愛読有難うございます。
さて、今回でやっとプロローグ的な話は終了となります。そして閑話をはさんで次回からやっと冒険が始まります。
それでは本編をどぞ!
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「さて、そろそろ転移部屋へ移動となりますが、後聞いておきたい事は御座いますか?」
「ああずっと気になっていたんですが、どうやら地球、それも日本をメインに異世界転移をされているようですね。ですが、何が目的で転移をしているんですか?」
「それも説明していなかったんですか、あのポンコツ上司が……本当に申し訳有りません。では僭越ながら私が説明致しましょう。さて……」
話が長かったので、要点だけまとめる。
・異世界で大規模な戦闘・災害が起こり、人口激減。知的生命体が有る程度存在しなければ世界の維持が出来ない。ゆえに非常にまずい状況に有る。
・ならば、別世界“地球”の住民を異世界へ移転させればいい!あわよくば、地球の発展した文明を用いて争い減少、そんで人口増加が望めるかもしれない。
・別世界から移転・転生する=別世界への介入は、“他世界”の存在についての概念が有った方が行い易く、“移転・転生”等についての概念を持っていればなおの事実行にかかるコストが減る。
・ならターゲットは“現代社会に不満を持ち、なおかつ異世界転移の概念を持っている人”。それが多いのが現代日本だから、日本人の割合が多い。
つまり、今回俺達クラス全員が一気に転移する事になった訳は……恐らく俺も含めた多くの人が自分の生活に不満を持っていたからだ。
くじ運が悪かった?そんな事では無かったんだな。
ならば何で最初からそう説明しなかったか。これは俺の予想でしか無いが、多分俺の元クラスメート達を黙らせる為だろう。
元クラスメート達は変な団結力があった。リーダー格の高梨が右と言えば右に、左と言えば左に。兎に角強い奴に付き従って自分の意見を極力言わない所があった。
そこで今回の移転。多分内何人か、特に高梨達リーダーグループの連中は非常に不満に思っただろう。だってそれまでの生活には満足していたはずだからな。
それが例え何人もの犠牲の上で成り立っていようが。
……本人は“常に自分が正しい”と信じているし、そんな事は気にも止めないだろうけどな。
だからその考えを当然押しつけ、連中は“団結力”を遺憾なく発揮しただろう。もしこんな事情が分かっていれば。大方『何で我々何だ?何も不満に思っていないのに。』とかほざいていただろう。
………やっぱり油断ならない上司だと思うんだが…まあいいや。
「話して下さって有難うございます。出来る限り戦争は無くしたい所ですが、自分が大事なのでその辺はそうですね……無駄に正義感有る奴がやれば良いと思います。」
「まあ命あっての物種ですからね。それにこちらとしても、折角高いコストでもって移転させたのに無茶して死んでしまうと言うのは最悪なケースですから。」
うん、命は大事。そうだよな。それが例え命の軽い世界でもね。
「ではお世話になりました。」
「いえいえ、お力になれて光栄です。頑張って行きて下さいね。」
こうして俺達は分かれた。
さて、ここが移転部屋か。後は宮本武蔵先生の剣術指南書を返してもらわないと。“貸し”はしたが、“あげて”はいないからな。
トントン 「失礼します。」 ガチャン
「設定お疲れ様です、それでは転移門の方に移動……」
「その前に、指南書返して下さい。それから移動します。」
「うっ……分かりました。少々御待ち下さい。」
渋い顔をしながら取りに行くフランクの上司……どうやら貸してあげた事自体が失敗だった様だな。まさかねこばばしようとするなんて……
「こちらですね?」
「確認させて頂きます。」
一応偽物を持って来ていないかどうか確認……大丈夫そうだな。“見破る”を掛けたら本物だって判定したし、それに古本屋に来た時おじさんが失敗してこぼしたみかんジュースの匂いが微かにする。
「大丈夫ですね。安心しましたよ。」
「い、一応全部頑張って読んだので……本音を言えば、置いて行って欲しかったですけど。」
ふむ……確かに異世界に持って行ったら巻物自体に危険が及ぶかも知れないし、ここだったら安全だし。何よりこの人なら無下には扱わないだろうな。“歴史的には価値が無い”品だとしても。
「仕様がないですね、その熱意に免じてここに置いて行きましょう。」
「本当ですか?」
滅茶苦茶驚いた顔をしているな。まあ確かにそれもそうか。
「その代わり、何か対価を要求します。後、即行で内容を“記録”しますから。」
「有難うございます。出来る限りの事をさせて頂きます。」
そう言いつつ、俺は“記録”を発動させて内容を全てコピーした。体感時間で1日〜3日位掛かった気がする。
「では対価ですが、〜〜(カクカクシカジカ)〜と言う事を望みます。」
「(マルマルウマウマ)ですか?そのくらいは構いませんよ。それだけですか?」
「後、2つ。1つは、両親や師匠の墓を守ってくれる人を探して欲しいです。後1つは今気付いたんですが、“記録”した内容を“保存”出来る能力を付け忘れていまして、このまま“指南書”が消えるのは絶対嫌なので、それを何とかして頂きたいのですが……」
そう、“記録”して“保存”しないと消えてしまう事が今回の件でよく分かった。危なかった。
「墓守については大丈夫です。貴方の師匠達は別のお弟子さん達が、両親については遠縁の親戚がちゃんと行っていますから。後、“保存”は、今回は特例故、只で差し上げますよ。」
「本当ですか!よっしゃ。有難うございます。」
「いえいえ、こちらこそ。」
これぞwin-win関係だな。
「さてと、そろそろ出発したいと思います。」
「分かりました。最後にこれを御持ち下さい。1週間分の食事と替えの服、後お金が入っています。お金の単位は数年前の転移者によって日本円を各国で採用されていると思います。」
「有難うございます。なるべく頑張って修業して生存したいと思います。」
「ああ、事情を御聞きに成ったのですか。騙した様な形になって本当に申し訳有りません。ちゃんと本当は説明するべきだったんですが……」
「いえ、あのクラスの連中に向けて説明するのでしたら、あれが最善でしたでしょうし。仕方がいないですよ。」
別に俺の場合地球に残して来たモノは特に無いからな。ただ気になる事と言えば、他の剣術指南書や兵法等だけど。
「ああちなみに、もし俺の住んでいたアパートに置いてある俺のコレクションが捨てられそうに成っていたりしたら、是非貰って下さい。あれらも、必要としてくれる人がいた方がいいでしょうから。」
更に驚いた顔をしながらこちらを振り返った職員。
「いいのですか?」
「良いも何も、ちゃんと理解有る人に渡った方が書籍を書いた筆者もきっと草葉の陰で喜びますよ。」
「有難うございます。誠心誠意安全な場所に送らせて頂きます。」
「まああんまり期待はしないけどな(ボソッ」
……この時はまさかこれがフラグになるとは思わなかった。
…………………………(移動)…………………
俺達の前には巨大な門が有り、その奥は闇が広がっている。と言うか、闇が蠢いている気がして非常に不気味だ。まあでもグダグダ言っていても仕様がない。……行くか。
「では行ってきます。」
「いってらっしゃい。」
転移門を潜り、転移門の先の闇が俺に纏わり付いて来た。不思議とそこまで不快には思わなかった。ただ、今心に有るのは新たな冒険への関心と生き残りを掛けた緊張感のみ。
こうして俺の長い冒険へのプロローグが終わった。
いや〜長かったですね、プロローグ。一応プロットは出来ているんですが、その為に色々設定盛って行ったらいつの間にか10話に……いや、本当にすいません。
後、感想頂けたら幸いです。




