プロローグ
――贋作師って聞いて皆はどんな反応を示すだろうか。
まあ、あまり良い感情は抱かないだろうな。
なにせ贋作師はその名の通り贋作――ニセモノを生み出すことを生業としているんだから。
俺だって贋作師なんて嫌いだ。アレは人を騙し、不幸にする。
例えば魔剣の話をしようか。
とある贋作師は魔剣の贋作を作り、それを本物と偽って勇者と呼ばれる剣士に売ったんだ。
だけど、それは見た目を似せただけのただのニセモノ。
魔剣本来の魔力なんて宿ってないし、そもそも鉄の剣より丈夫かどうかも分からないような代物だった。
そんな剣を本物と信じた勇者はその魔剣を持って魔王に戦いを挑んだ。
……結果。ニセモノの魔剣はあっさりと砕け、勇者は魔王に殺されてしまうのでした。
めでたし。めでたし。
……な? 最低なオチしか待っていないだろ?
つまり贋作師はロクでもない職業だってことだ。
だから俺は贋作師なんて嫌いなんだよ。
どうせ作るなら本物を越えるような贋作を作れってんだ。俺みたいに。
……ん? どうした?
あ、もしかして今頃気付いたのか?
そうだよ。俺は贋作師だ。
ただし、そこらの有象無象のクズとはレベルが違う。
せっかくだ。お客さんには自己紹介をしておこうかね。
「俺の名前はシグマ・ブレイカー。贋作屋『リアルブレイカー』のマスターです。以後、お見知りおきを。……勿論、お客さんが“本物を越えた贋作”をお求めになるんだったらの話だけどね」




