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詩集

虚春

作者: 立春


虚春


霧雨の中で 真紅のバラは

プラム色になりまして

ハラハラと 散っていくのであります


花びらが一つ落ち また一つ落ち

小指ほどの欠片は

澱んだ沼と同じ緑の体に

しがみついているのであります


窓の外から ポトリポトリと

縁についた薄い水が

小さな水溜りに 波紋を浮かべており

そこに映し出された空は 

白い顔をして 誰も知らずに

泣いているのであります


春を知らない空は

地上の喜びを見ると 独りになつて 

静かに 泣いているのでありました


虹というものは

雨の後に咲くものでありますが

春の涙は深夜まで降り注ぎ

月の下で やっと 落ち着いたのあります


プラム色のバラは 消え入りそうな光を浴びて

水溜りに虚ろう

夢の春を 見たのでありました


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