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01.秘密の場所
最寄りの駅の大通りを右に曲がって、
いつもでっぷり太っている猫が居る家を左に曲がって、大きな桜の木の左側。
そこに、『愛』があった。
――――チリンチリン、
「「「いらっしゃいませー!!」」」
店内にひっそりと入って来た私をすらりとした身長の高い金髪の人が見て、笑顔で言う。
「おひとり様でしょうか?」
「あ…ハイ。」
無愛想な(既に自覚済み)返事でもニコリと笑って「こちらへどうぞ!」と言ってくれる。
彼の名前は、空井さん。
笑顔が可愛いこのお店で一番のムードメーカー。
そんな彼を見に、この店に来ている――と言っても過言ではないのかもしれない。
「どうぞ」
一番奥の2人席にいつも座る私。