表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

第5話


「薫、今日……その、一緒に帰らない?」

「あ、ああ」


 放課後。それは、つかさからの誘いだった。

 一瞬ビクついたが、せっかく誘ってくれたのを断るのも悪い。よし、今日はつかさと帰るか。

 ん?でも確か、今日は部活があったはずじゃないか? 

 ちなみに、つかさは陸上部のエース。種目は――たぶんハードル……。いや、忘れた。 


「薫さん、一緒に帰りましょう」

「なっ!」


 放課後。それは、奈々からの誘いだった。

 背後からの声に、一瞬ビクついた俺。すぐさま自分の机を挟んで迎え撃つ。奈々の表情はいつもと同じく天使のような笑顔だ。俺にとっては悪魔だが。


「私が先に薫を誘ったんだけど?」

「あら、そんなはずある訳ないじゃないですか。薫さんが同学年の同じクラスの女子、出席番号34番の鈴桐つかさから、帰宅を一緒に――なんて薫さんが言われるはずないじゃないですか」

「残念!それが今、午後3時56分に言ったの!」


 バチバチと火花を散らすのが見えるのは、俺だけだろうか?

 そんな二人を放っておいて、俺はソロ~とスカスカの鞄を手に教室を出ていく。

 放課後の誰もいない教室に女二人に、男一人。俺にはきつすぎる。

 それに、なんか二人が怖い。


「あら、薫さん……どこに行くんですの?」

「わ――」


 俺の肩を掴み、無理矢理振り向かせる奈々。一瞬ゾクっと奈々にありえないものを感じた。


「わ、わぁぁぁぁぁ!」

「ちょ、薫っ!」

「薫さん!」


 ダッシュ。奈々の手を振り払い、全速力で教室を出て廊下を叫びながらダッシュ。

 ヘタレと言うなら、否定はしない。それでもこれが俺だ!椿薫(つばきかおる)だ!



「薫……」

「薫さん……」

 

 薫が教室を出て行き、たぶん一人で帰った頃。

 教室に取り残された二人の女子。奈々、つかさ。互いに手を教室の出口に伸ばしたまま固まっている。

 ゆっくりと自分の真横にいる“敵”へと振り向く。

 

「もう!今日は部活が休みになったから、久しぶりに薫と帰ろうと思ったのに!なんで邪魔するのよ!」

「邪魔は鈴桐さん。貴方の方です。何故薫さんにそこまで付き纏うんですか。薫さんが女性恐怖症だって知っててやってるのですか?」

「っ! 昨日転校してきたばかりの貴方に薫の何を知ってるのよ!神凪さんこそ、なんでまだ初対面同然の薫にそこまで付き纏うの!?」


 つかさに怒鳴られた奈々の繭がピクっと動いた。

 そして次には、自分の鞄を薫の机にバンッと叩きつける。そして――


「私が薫君の何を知ってる?全部知ってる。薫君の事なら全部知ってる。だって、私は小学校の頃までずっと薫君の傍を離れたことなんてないもん。鈴桐さん程度にそんな事言われたくありません!私と薫君は――」


 下を俯き、怒りを表すかのように両の手で拳を作りギューと握り締める。

 その事につかさは、変らずの怒った表情で奈々を上から見下すかのように見つめる。

 つかさは、奈々の言葉の中に薫の事を薫さんではなく、薫君と呼んだことに気がついた。


「だからなによ。もし、本当に小学生の頃までは一緒だったからってなによ。貴方は中学の三年間、薫がどれだけ怯えてたか知ってるの?今でもまだマシになった方よ」

「…………」


 奈々はつかさの言葉に無言。それを見たつかさは話の続きをする。


「一年の頃なんか、女の子から怯えて自殺までしようとしてたのよ……」

「自殺?薫君が?そうだったんだ。私がいなかったから、薫君は――」


 小さく。つかさには聞こえない。自分にだけ聞こえる程度に小さく呟く奈々。

 そして、何かに取り付かれたかのように、奈々は薫の机の上にある鞄を持つとフラフラと教室の出口へと向かう。

 

「なによ……もう……」


 一人教室に取り残されたつかさ。

 奈々がもっと言い返してくるのかと思っていたが、拍子抜けだ。

 つかさは『はぁ』とため息をつきながら、横にあった薫の席に座るなり机に突っ放す。

 今日は部活が休みのはずなのに、凄く疲れた様子のつかさ。

 


「ハァ……ハァ……」


 学校から家まで、一度も休まずずっと走って帰ってきた。

 家に入るなり、背をドアに預けて息を整える。

 

「なんだってんだよ……奈々は分かるけど、つかさまで」


 つかさと知り合ったのは中学だから、小学6年の最後に転校した奈々とは面識がないはず。

 なのになんだ、あの二人の仲の悪さ。相性が悪いのか?でも、そんなに二人共話してる所も見たことないが。

 てか、奈々は昨日転校してきたばかりだし。


「あら、薫。奈々ちゃんは?」

「分からん。先に帰ってきた」

「そう……。あ、元耶さん帰ってくるの明後日だって」

「ふ~ん」


 俺は別段興味なさそうに、階段を登っていく。正直言うと、興味ない。どうでもいい。

 仕事だから仕方ないとは思うが、家をほったらかしておいて。

 母さんだって、元気に振舞ってはいるがきっと何か思ってるだろう。

 昔はそんな母さんを見るのが辛かった。


 二階にある自分の部屋の取ってに手をかけた時。俺は気づいた。

 物置部屋になっていた部屋の扉が開いている事に。 少し気になり、中をのぞくと――


「どこだよ、ここ」


 そこは一言で言うならば、女の子の部屋。

 いやいやいや。あの大量のダンボールの山はどこいった?

 そこは気にしないにしても、もしかして奈々がこの部屋を使うのか? うん。たぶんそうだ。

 いくら母さんでも、ここまで可愛らしい部屋を使う訳がない。

 しかし、奈々の部屋を作ってくれたのは助かった。なにせ、昨日の晩のように俺の部屋で寝られたらたまったもんじゃないからな。うん、グッジョブ母さん。

 

『あ、ただいまです。お母さん』

「げっ!」


 一階の玄関から聞こえる、奈々の声。もう帰ってきたのか。

 奈々の部屋(たぶん)のドアを閉め、逃げ込むようにいつもと変らない平凡男子高校生である自分の部屋へと戻りドアの鍵をガチっと閉める。


 ――ドッドドド!

 

「ひぃっ!」


 階段を凄い勢いで駆け上がってくる足音がした。そして次の瞬間。

 ガチャガチャ、と鍵が閉まったドアを開ける音が背後のドアから聞こえる。


「薫君!薫君! 開けて、私だよ奈々だよ」


 そんな事は分かっている。お前だから開けないんだよ。俺の無言の返事に、奈々は何度も何度もドアをノック(叩いている)する。

 一分、五分、十分。このままじゃ、永遠とドアを叩き続ける可能性がある奈々。

 仕方なく。仕方なくドアの鍵をそっと解除。 

 同時に、勢いよくドアが開かれ奈々が飛び込んできやがった。


「あ、あ……あ、ああ――」

 

 今の体勢を説明しよう。飛び込んできた奈々は俺を押し倒し、胸に自分の顔を埋めている。

 俺は途切れ途切れに言葉を発する。いや、もはや言葉ではない。ただ平仮名でいう一番最初の文字を連呼しているだけだ。


「薫君、私がいなかって寂しかったんだね。ごめんね、ごめんね。でも、これからは私が傍にいるから。高校を卒業してもずっと一緒だよ。一生、私は薫君の傍から離れない。そしたら、薫君の女性恐怖症なんてすぐ治るよ」

 

 は?意味が分からん。これはなんだ。告白か?プロポーズか?

 にしても突然帰ってきていったいどうしたと言うんだ。明らかに異常じゃないか。


「そうだ。ずっと一緒にいるんだから、私達結婚しようよ。だったら、早い方がいいに決まってる! 薫君が18になったらすぐしよ?結婚て、高校生でも出来るんだっけ?もし無理なら、高校卒業してからでも。あ、でも薫君はこれでいい?ね、どうなの?いいよね。うん決定。丁度お父さんも明後日に帰ってくるてお母さん言ってたし、その時に言おうね」


 俺→『チーン』




まずは更新が凄く遅れてすみませんでした。


自分、夏休みなんかは遊びまくってて。その後もテストだったり・・・


でも、これが自分ですので。


ヤンデレ・・・適当といっていいほどに、自分勝手に書いてしましたがこれはヤンデレでしょうか?


さて、次回の更新は・・・?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ