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罰ゲームで黒髪清楚な高嶺の花に告白した僕は、百合属性だったカノジョに女装させられて、誰にもヒミツの関係になった。  作者: きたみ詩亜


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⑧ 身バレの回避。太鼓判の和奏。『多分バレてないわよ?』

「お待たせ……」

「大丈夫よ」


 用を済ませ、トイレから出てきた僕。

 ベンチに座っていた和奏が立ち上がる。


「じゃあ、服見に行こうか……?」

「えぇ、服見るの楽しみだったの! 行きましょっ」


 和奏のテンションがあがる。

 僕の心も、すこし上向いていくのを感じた。


◆◆◆◆


 服売り場へと移動する道中、すれ違った女子中学生に女装がばれたかもしれない、という話をした。


「そんなことがあったのね……」

「やっぱり、リップの塗り方下手だったから、女装って、ばれたのかも……」

「……その子たち、多分ばれてないわよ?」

「え……?」

「だって、その子たち、あなたがトイレから出てくるのを待ってる間に目の前を通ったけど、

『さっきのピンクのリップの女の子、可愛かったねーッ!』って、はしゃいでたから」

「ほ、ホント……?」

「もうッ。あたしが太鼓判押すから、もっと自信持っていいわよ?」


◆◆◆◆


「いらっしゃいませぇ〜」


 アパレルショップに入ると、店員が独特の声であいさつしてくる。気圧され、思わず身構えた。

 現在は、肌寒くなってきた十月後半。秋物服のコーナーへと足を運ぶ。


「これいいわね……あっ、こっちも!」


 僕の体に服を当て、楽しそうにしている和奏。


「……和奏の服を買うんじゃないの?」

「あなたにぴったり合う服が欲しかったのよ……。

 あっ、店員さん!」


 傍に居た店員さんがこちらへと振り返る。


「試着するのは、この子なんですけど、一緒に入って見てあげてもいいかしら?」

「大丈夫ですよ。今は混雑してないので、ごゆっくりどうぞ」


 和奏に試着室へ押しこまれる。

 狭い空間の中、彼女と差し向かいになる。


「近くて、はずかしいんだけど……」


 もじもじと、ボブカットの毛先をいじる僕。


「なによ、今さら……あ、でも、ポロリはもうやめましょうね……?」


◆◆◆◆


 なりきり制服のブレザー、ブラウス、インナー、スカートを脱ぐ。ブラジャーとショーツだけになった。

 ショーツの中が膨らんでいるため、和奏しか見ていないものの、気恥ずかしい。


「どこからどう見ても、女の子にしか見えないわね……下以外は」


 ──彼女の視線が、僕の口元で光るピンクのリップ、それに、パッドで僅かに膨らむブラジャーへと注がれる。


「……下以外は完璧、女の子よね……」


 膨張を続ける僕のショーツに、はずかしそうに目をやる和奏。はずかしいなら見なきゃいいのに……。


 とりあえず、ブラウスを手に取ってみる。そしてブラジャーの上からそのまま羽織ろうとする。


「あっ……素肌だと汚しちゃうかもしれないから、インナーは着てから試着してね?」


 ──なら、ブラだけになることなかったじゃん!


◆◆◆◆


 姿見に映る僕の姿。

 上はディープグリーンのブラウス、下はダークレッドのフレアスカート。華やかな秋の装い。


「……おお。割と似合ってる……?」

 

 華やかな組み合わせの色柄。口元のピンクのリップにもよく映えている。 

 ──鏡の前でくるっと一回転。スカートの裾がふわりと翻る。


「かっ、かわいいっっ……♡♡」


 和奏から歓喜の声。

 僕の上半身からつま先までをひと通り見た彼女。テンションのあがった和奏が、飛び跳ねて僕の胸に抱きついてくる。

 彼女の、スタイルのいい体が密着する。僕の胸に彼女の大きな胸が押しつけられる。

 ──や、ヤバっ……!


「ちょっ……危ないって!」


 慌てて身を離す。


「ぶぅ〜〜〜っ」


 子リスのように頬を膨らませ、不満げな和奏。


(……かわいい……)


「……もうっ、和奏……ぶう、じゃないってば……」


 照れ隠しに、苦言を呈する。


「……まあ、いいわ。

 似合ってるから、この服にしましょうよ?」

「じゃあ、いま着替えるから……」

「大丈夫よ。そのままで……」


 和奏が手を引っ張り、更衣室を出ようとする。

 しかし、僕の格好は試着したままだ。


「せっかく着たんだし、そのまま会計行きましょ。

 店員さんに言えば対応してくれるから」

「んー……まあ、和奏が言うなら……」

 

 躊躇いつつも同意しておく。

 和奏、なかなか頑固そうだし……


◆◆◆◆

 

 試着室から出て、そばにいた店員さんに、

『試着したまま会計したい』と伝えると、レジ係の人に連絡してくれた。


「──円になりまぁす」

 

 着たままタグをはずしてもらう。

 値段を告げられ、僕が財布を出そうとする。


「大丈夫よ。この服は、あなたが着ない時はあたしが着るんだから……あたしに甘えて?」

「う、うん……」


 微笑む和奏に、思わず頷く。

 先ほどまで着ていた制服は、紙袋をもらったのでそれに入れた。


「ふたりだと時間があっという間ねっ。早く次行きましょうよっ」


 弾む和奏の足取り。自然と僕の足も軽くなる。

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